事業承継を成功させる同族会社の必要条件

「事業承継」と聞いて、多くの社長が最初に気にするのは「税金」についてです。確かに税金対策は重要ですが、同族会社の事業承継の場合は、税金対策以外にも重要な問題が、たくさんあります。
しかし、目の前の税金だけに焦点を当てて、事業承継をしてしまう同族会社がほとんどです。特に、顧問税理士のアドバイス通りに進めた結果、想定外の問題が次々と発生して、親族間で揉めに揉めてしまう…ということもあるのです。
なぜなら、同族会社の事業承継は、単に「社長が交代する」だけの話ではありません。それから、税金の問題だけでもありません。
例えば、銀行借入の連帯保証問題、自社株式の集約、長年勤めている古参社員だけでなく、同族ファミリー社員への対応、相続対策など、多くの複雑でデリケートな課題がたくさん潜んでいるからです。
特有の人間関係や組織の問題の難しさは、人の感情が絡むことにあります。そのため、一歩対応を間違えると大問題に発展してしまうのです。
だからこそ、問題の火種が小さいうちに対処することが、スムーズな事業承継には必要なのです。
ここで問題なのは、多くの社長は、税金の事ばかり心配して、事業承継を顧問税理士に完全に任せてしまうことです。そうなってしまうと、思わぬ落とし穴に陥ることがあります。
恐ろしいことに、「税理士のアドバイス通りにしたら、経営状況が悪化してしまった。」「税金対策を優先したら、社内の人間関係がこじれてしまった。」という、会社経営において致命的となる問題が起きることも珍しくありません。
その結果、会社を存続させるために行なった事業承継が原因で、会社がなくなることや、分裂することだってあり得るということです。
とはいえ、税理士だって、悪意を持ってアドバイスをしているわけではありません。税理士の専門はあくまでも「税金」です。当然ながら、「無駄な税金を支払わない」という視点からアドバイスします。
重要なのは、社長自身が、「税理士のアドバイスは税金面のみ」ということを、正しく理解しているかどうかです。
同族会社の事業承継は、税金だけではなく、会社の5年後、10年後を見据える「財務の視点」が必要不可欠です。
多くの税理士は「税金」の専門であって、「財務」の専門家ではありません。だからこそ、税理士のアドバイスをもとに社長自らが、財務の視点を持って総合的な判断をすることが大切なのです。
その結果、親族間の争いを防ぎ、財務的に健全な状態で、次の世代に事業が引き継がれていくのです。
事業承継は会社の「未来」を大きく左右する重要な取り組みです。そのため、さまざまな角度から判断し、慎重に進めなければなりません。
その上で、事業承継の過程で会社の財務状況は一時的に不安定になることが、往々にしてあります。だからこそ、財務の視点が不可欠なのです。
会社を守ることは、社員や家族を含めた、多くの人々の生活を守ることにつながります。その責任を負うのは、社長だけです。
だからこそ社長は、事業承継の際に、「どうすれば安定して、儲かる会社になるか?」「どうすれば潰れずに、永く続く会社づくりができるか?」という、未来を見据えた経営判断が必要になります。
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