資金繰り悪化は「潰れない会社づくり」のチャンス

会社を経営において、資金繰りの悩みは「必ず経験する試練」だと言っても、過言ではありません。なぜなら、成長している過程でも、経営が圧迫されている時でも、資金繰りの悩みは訪れるからです。
そういう意味では、お金について悩むこと自体は、決して悪いことではありません。大切なことは、「資金繰りの悩み自体は、表面的な問題でしかない」と、社長がしっかりと理解していること。
その上で、『資金繰りが厳しい』という症状に対して、「財務の視点」を持って社長自らが考え、実行することが重要になります。
財務中心の会社づくりにシフトできれば、安定した経営の第一歩を踏み出すことができるのです。
一方で、根本的な課題に向き合うことなく、銀行借入に頼るだけの「表面的な対処療法」を繰り返す社長もいます。
一時的な対応をしても、いずれまた、資金繰りは厳しくなります。そのたびに借入に頼っていては、借入依存の状態から抜け出せません。
最終的には、経営状態が悪化し、最悪の場合、資金が底をつき倒産です。
つまり、「資金繰り」の問題の本質を捉えて、根本的な改善に取り組むか、それとも対処療法的な対応を繰り返すかで、会社の未来は大きく変わっていくのです。
会社を経営していると、たくさんの問題が起こります。そして、その問題は往々にして、氷山の一角であって、根本的な問題点ではないケースが多いもの。
大切なことなのであえて申し上げますが、会社経営で起こる問題に、「時間が解決してくれる」ものは一切ありません。むしろ、放置すればするほど、問題はどんどん悪化していきます。
もし仮に、一時的な資金繰りの問題を銀行借入で凌ぐことができたとしても、根本的な経営課題が解決していなければ、繰り返し、資金繰りの問題で悩み続けることになります。
本やセミナーなどで学んできた社長からすれば、「当たり前」に聞こえるでしょう。しかし、いざ、当事者になってみると意外と気付けないものです。
なぜなら、誰しも自分自身のことを客観的に見るのは難しいからです。だからこそ、優れた経営者は、信頼できる第三者や専門家に相談できる関係を意図的に構築しています。
うまくいっている社長ほど、常に、「自社の成長を妨げているのは、自分自身かもしれない」と自覚しています。
特に同族会社の場合、会社と社長自身の人生がほぼイコールの関係性になっています。ですから、どうしても、社長自身の感情的な判断や思い込みによって、意図せず会社の実態を正確に把握できなくなってしまうことがあるのです。
資金繰りの「根本的な問題」を解決するための、具体策を考え出せる社長は意外と少なく、実行に移せる社長となると、ごくわずかです。
大切なことは、社長自身が「これは一時的な対処療法」「これは根本的な課題解決」と、財務の視点から経営判断できているかどうかです。
社長が財務の視点を持ち、理解した上で対処療法を行うことももちろんあります。それは、本質的な改善を行うための時間稼ぎです。しかし、多くの社長は、目先の資金繰りがちょっと良くなると、そこで解決した気になってしまいます。
その結果、本質的な問題を改善せず、「売上を伸ばせば、資金繰りの問題は解決する」と、売上至上主義の考え方で資金繰りの改善を目指します。
しかし、売上が全ての経営課題を解決するわけではありません。その結果、数ヶ月後にはまた、資金繰りに悩まされる…という、負のスパイラルに陥ります。
この行動パターンから抜け出せるかどうか、財務の視点から根本的な経営課題に向き合えるかどうか、これが、資金繰りの悩みから卒業できるかどうかの分かれ道となるのです。
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