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【第11回:経営●●に基づく経営こそ人件費を増やさずとも自社を人材の宝庫にする!】

SPECIAL

ファミリービジネスコンサルタント

MKUコンサルティング

代表取締役 

グループ経営の最適化により、オーナー経営を永続的なファミリービジネスに変える専門家。
 上場・非上場の企業グループオーナーの側近として、20年以上にわたり、企業グループの設計と経営、事業会社の経営、事業会社の創業、M&A、PMI、事業会社の事業承継、事業会社の撤退を手がけてきた。
 現在は、「オーナー社長のための骨太な事業成長を実現するグループ経営の最適化」についてのコンサルティングを行っている。
1969年生まれ、慶應義塾大学商学部卒。兵庫県立大学院経営研究科卒(MBA)。

【第11回:経営●●に基づく経営こそ人件費を増やさずとも自社を人材の宝庫にする!】

 

人材難が叫ばれる昨今、自社に必要な人材が残ってくれるために何ができるのか?

このことは、全ての日本企業に共通の課題と言えます。

 

自社に人材が定着しなければ、会社は存属できません。

自社を人材の宝庫にして、コングロマリッドビジネスを実現することもできません。

 

大手企業が大卒の初任給アップや賃上げを発表する中

原材料価格高騰や金利が上昇する中

中小企業が、大企業並に給料を引き上げて、人材を引き留めることには限界があります。

 

日本は国際的に見ても、社員の定着率が高い国と言われてきました。

ただ、世界には、日本同様、社員の定着率が高い国々があります。

 

社員の定着率が高い国々が抱える共通の歴史的経緯を見いだすことで

日本企業が、足下の人件費を増やすことなく、自社に必要な人材を残していく方法について、模索して参りたいと思います。

 

因みに、日本以外に社員の定着率が高い国といえば、どのような国だと思われますか?

 

2024年、独立行政法人労働政策研究研修機構のレポートによりますと

日本企業では、全社員におけます勤続年数10年以上の社員の割合は46.5%です。

 

また、日本以外にも勤続年数10年以上の社員が多い国は

イタリア46.1%、ベルギー42.9%、フランス40.9%、スペイン40.0%、ドイツ37.8%でした。

 

日本とこれらの国々において

社員の定着率が高くなったことと関係する歴史的経緯とは、一体、どのようなことだと思われますか?

 

この答えに辿り着くため、梅棹忠夫の名著「文明の生態史観」で書いてある比較文明論からアプローチして参ります。

 

まず、「文明の生態史観」では、世界を第一地域と第二地域で分類しています。

 

第二地域は、中華帝国、ロシア帝国、インド帝国、ペルシア帝国の4大帝国から成り立っています。

これらの国々は、陸を通じた拡大を志向し、政治体制は基本、専制主義です。

 

第二地域の周りに第一地域があります。

 

第一地域は、日本と西ヨーロッパです。

これらの国々は、海を通じた拡大を志向し、

政治体制は封建制を経験した後、民主制に移行しました。

 

かつてモンゴル帝国がヨーロッパや日本に侵攻しようとしたときのように

第一地域と第二地域は、第二地域の国が拡大する過程で衝突します。

 

強大な第二地域の国が迫り来る中

日本やヨーロッパがモンゴル帝国を撃退できたのは、封建制度の賜と言えるでしょう。

 

封建制国家は、幕府や王家を背景に、一定の封じられた権力の集合体と言えます。

個々の権力(=藩=オイエ=御家)のもとには、仕えている人達がいます。

 

第一地域にある、日本では、国家ではなく、「御家=会社」に仕えるという発想が受け入れやすいのです。

だから、第一地域にある他の国々の企業は、国際的に見て、社員の定着率が高いのです。

 

第一地域の国々にある会社では、

経営指針により「御家=会社」の安泰を保証することで、社員一人一人の将来の安泰を保証するという構図を創りやすいのです。

 

逆に、第二地域の国々やアメリカにある会社では、

社員一人一人の将来の安泰は、社員一人一人が自己責任で担保するという考えが受け入れやすいのです。

 

我々が中国やアメリカに生まれていたら、

人材難における大企業の賃上げ攻勢に対しては、賃上げで対抗するしかなかったかもしれません。

 

ところが、我々は今、幸せなことに日本で事業活動を営んでいます。

 

日本企業においては、

前回のコラムで書いたように、社員の願望を数字とリンクさせて説明できる仕組みを導入し

その上で、会社が経営指針書に会社の将来を示すことは、

社員一人一人が、自らの発展のために、会社の発展に向けて頑張るという構図につながりやすいと言えます。

 

日本企業においては、

経営指針書の最適運用こそが、人件費を増やさずとも必要な人材を企業内に残し

自社を人材の宝庫にすることが可能なのです。

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