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経営の可視化・透明性におけるとても重要なこと

SPECIAL

工場の自動化経営コンサルタント

株式会社さくらブルー

代表取締役 

 社長不在でも社員だけで現場が回る仕組み構築により、社員だけで利益を出す「工場経営の自動化」のノウハウを提供する、経営コンサルタント兼2代目工場経営者。工場経営の傍ら、がんばる中小工場経営者向けに、経営コンサルタントとして工場経営の指導を行う。「工場経営の自動化」により、現場は社員に任せ、次のビジネス展開に専念する経営者を多数輩出。


ある工場の息子さんとの会話です。
 
「うちの社長は経営状態を一切社員に公開してくれない。世間では経営状態の可視化、透明性が重要と言われている中で、粉飾とか悪いことをしているわけでもないのに、コソコソ経営しているようで・・・。」
創業社長がワンマンで、後継者になる方によくある不安・不満です。
 
冒頭の息子さんも当然後継者なのですが、決算書をすべては見せてもらえないのだとか。
最近生産数が減っているから経営状態は良くないだろうとか、大きな設備投資したからお金が減っているのではないか、赤字具合や負債の程度などは想像の範囲。生産数が増えているようだけど社員の給与への還元具合を見ると、経営状態が良くなったとまでは考えられない・・・。
良くても悪くても想像の域を超えないわけです。
 

そのようにして、創業者が亡くなって初めて決算書を見た、経営状態を知った、返済額を知った・・・という後継者の方は少なくありません。私もその中のひとりです。

 

・・・このまま続けると事業承継問題の話に反れてしまいますので、経営状態の可視化・透明性のはなしに戻しますと、
 
 
 
創業者のご子息・ご息女、そうでなくても後継者という立ち位置であれば、常務とか専務とかの肩書きのつく取締役になっていることがほとんどです。
そうなると、社内の問題解決や社外との交渉など、社長よりも実務を行っている立場であることも多くあります。
そのような立場であれば、過去にどんな取り組みをしてどういう結果になったのか、過去の実績から予測を立てて今後の取り組みを考えたいところで、実数を見れないことはとてもストレスになるのは当然で、ちゃんと決算書見せてくれ!と言いたくなる気持ちはわかります。
 
一方で、社員のみなさんはどうでしょうか?
世間的に決算書は公開するべき、経営の透明性が大事だと言われていますが、この言葉に引っ張られ、社員に決算書を見てもらうことが目的になってしまうことがよくあります。
 
 
一度、次のことを確認してみてください。
「決算書を社員に見せて、社員に何をしてほしいですか?」
「社員はそれをできますか?」
 
社長と後継者は、決算書くらい当然見ておかなければいけません。
 
企業理念やビジョンなどこの会社でこんなことを実現したい、という野望のようなものがどんな経営者にもいくらかあります。それはとても重要なことで、そんなことを考えてくれるのは経営者くらいで、経営者がそういう理想を持ち実現しようとしてくれるから、この世の中は回っています。
 
そして社員をやっている人たちより圧倒的に少ない貴重な存在です。したがって、経営者という存在はとても貴重で重要だと私は思っているのですが、その野望の実現・継続のためには経営状態がよくなければならず、野望の実現ができるかどうかを表すわかりやすい指標が見れるものが決算書だからです。
 
そんなに重要で会社を継続できるかどうかわかりやすい資料なのに、社長はなぜ社員に決算書を公開しないのでしょうか? その理由は2つあると考えています。
 
 
ひとつは「プライド」です。
 
決算書を見られるのは、通知表を見られるようなものです。会社の頂点に立つ社長が悪い通知表なら見られたくない、自分をよく見せたい、と思っていることでしょう。
そんなつまらないプライドなど・・・と言わないでください。
社長とはそういう生き物です。
 
 

もう一つは「社員をはじめ自分以外を信用していない」。

後継者には、良い経営状態になるまでは自分が何とかしなければと考えます。 社員は経営には無関係な人だと思っています。経営に関することは自分の役割です。話そうとも思いません。 責任感が強すぎるのです。
 
さらに言うと「社員に決算書を見せれば何を言い出すかわからない」といった、疑心暗鬼とも取れる心配や不安を抱きます。
決算書を全公開して、役員報酬だけ見られ、ありもしない噂が広まってしまったという社長もおられます。
 
そのような人たちの中に、自分が思い描く野望やビジョンを納得してくれる社員がどれだけいるでしょうか? 経営状態の悪さを知ったところで、どれだけの社員が協力してくれるでしょうか?奮起してくれるでしょうか? そして、決算書を見て経営の何がわかるでしょうか?
このような思考の中で、決算書を見せる気が起るはずがありません。
 
社員の無知によるところもありますが、社長のプライドにより、社長と社員との信頼関係に疑心暗鬼を生じさせています。それでも、こればっかりは誰かに言われてできるものではないのですが、しかしこのまま「社長ー後継者ー社員」の疑心暗鬼の状態を続ければ、いつまで経っても現場を社員に任せることはできません。
 
 
私から言えるのは、状況を打開できるのは社長しかいませんが、決算書をすぐに見せろと言っているのではありません。
決算書の社員への公開の仕方、言い換えれば疑心暗鬼を取り払う方法は、社長室や事務所、決算書にはありません。答えは現場にあります。
 
決算書が読めなければ経営ができないということはありません。
現場の話を聞いてみてください。そして現場の事実を拾ってみてください。

工場経営を自動化するためには、経営側と社員側の情報格差はなるべく少なくしなければいけません。決算書を公開し経営状態を共有することは、重要な情報共有のひとつです。
 
 
そして冒頭の後継者さんへひと言。
 
決算書を引っ張り出すこと、親子関係だと特に難しいことと思います。しかし、やはり聞き方、言い方っていうもんはありますよ。正論だけで経営はできません。

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