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現場が変化への適応力を持つために必要なこと

SPECIAL

工場の自動化経営コンサルタント

株式会社さくらブルー

代表取締役 

 社長不在でも社員だけで現場が回る仕組み構築により、社員だけで利益を出す「工場経営の自動化」のノウハウを提供する、経営コンサルタント兼2代目工場経営者。工場経営の傍ら、がんばる中小工場経営者向けに、経営コンサルタントとして工場経営の指導を行う。「工場経営の自動化」により、現場は社員に任せ、次のビジネス展開に専念する経営者を多数輩出。

よく話をする工場の役員さんから、在庫管理システムの導入後の話を聞く機会がありました。

いつも通り、ボヤキが始まります。

「在庫管理システムを導入したんですが、社員の作業が導入前より増えていて、省力化どころじゃなくなってるんです。それどころか、ピッキング間違いでトラブルまで起こしてしまって、こんなはずじゃなかったんですが・・・」

この手の内容、システム導入の失敗例としてよくある話です。

多くは、社長や役員さんが、ITベンダーの営業さんに勧められたものをそのまま導入していたりして、現場がそれに対応できないというものや、現場の業務の流れが不明確なままシステムに合わせて業務をしなければならなくなった、というもの。

簡単に言えば、現場が置き去りの状態で進められたシステム導入だということです。

この話を聞いた時に、ふと、昔子どもと遊んだ時のことを思い出しました。

最近の子どもたちの遊びといえば、スマホでゲームがほとんどではないでしょうか。

親としては疑問や罪悪感を感じながらも、ゲームに集中してくれている間に自分のことをしてしまおうとか、いい子にしてくれていると錯覚したりしています。

まだスマホがそれほど普及していない時期には、スマホを持たせることはもちろん、テレビゲームをすることも、わりと親の制限が効いていたりして、それ以外のことをして遊ぶしかないという状況があったものです。

そのような状況になっても、子どもたちは遊ぶことはやめません。

何かを探して遊び始めます。

ひもを両手に持って引きずって電車ごっこのように、家中を歩き回ったり、

おもちゃのじょうろに水を入れて、ただただ何かに水をかけたり、

付箋に絵をかいてパラパラまんがを書いてみたり、

などなど、それの何が面白いんだ?と思いつつも、子どもたちの想像力はすげーなーと思ったモノです。

トランプ遊びの相手をさせられたときのことです。

ババ抜きは、普通、隣の人から1枚取って同じ数字が揃ったら場に捨てて、手持ちのカードが早くなくなった人が勝ちで、ジョーカーを持っている人が負けですね。

子どもはそれを何となく理解してはいるのですが、「勝ちたい」「早く手元のカードを捨てたい」というのが先で、ちゃんとルール通りにしようとしません。自分が勝てるようなルールをその都度考え適用してきます。

子どもの遊びですので、別にどうなってもいいのですが、友達がいたりすると話は別です。

大人として子供たちにルールを守らせなければいけないという想いや、子どものやることだから自由にさせて楽しければいいと考えてみたり、その葛藤があったものです。

ここで急にシステム導入のはなしに戻しますが、

子どもたちが、自分勝手にルールを作っていきそれを運用するという状況が、まさにシステム導入の際に現場の社員のみなさんがやっていることに当てはまるということです。

社員のみなさんは、システムがどういうものかなんとなくはわかります。在庫管理システムという日本語を聞けばそれがなにをするものなのか見当はつくものです。

しかし、その何となくわかるというレベルの社員のみなさんに、システム屋さんの「こうすればこうなる」「こうしなければならない」という言葉がすんなり受け入れられるでしょうか?

ババ抜きのルールはこうだ!と言っているのを、子どもたちは簡単には理解できません。

その点で同じだと言っているのです。

子どもたちと社員のみなさんと違うところがあるとすれば、子どもたちにとってババ抜きは初めてかもしれませんので、初めて教えられるルールは時間が経てば自然と受け入れられて行くでしょう。しかし社員のみなさんにとっては、これまで特に問題なく行ってきた在庫管理のやり方や手順などが、システム導入とともに全く違うやり方に変わってしまうのです。場合によっては、在庫管理のルールや判断基準も変えなければいけません。今まで”ざっくり”考えておけばよかったものが、システムにより数値化され”きっちり”やらなければならなくなるのです。

この変化への対応は、社員のみなさんにとってはかなり苦痛を伴うはずです。

このような状況になるのは、社員のみなさんのITレベルが子どもレベルだから、ということでは絶対にありません。

システム導入で現場が混乱するのは、社員の能力の問題ではありません。

これまでのやり方が通用しなくなる変化に、どう向き合うかの準備ができていないだけなのです。

その準備を整えるのは、現場ではなく、社長の仕事です。

システムを入れる前に、社員がその変化を受け入れられるような「ルール」や「仕組み」を整えていますか?

子どもたちにババ抜きのルールを教えるように、社員にも「なぜそうするのか」を丁寧に伝えていますか?

システム導入の成功は、ツールの性能ではなく、人と仕組みの準備にかかっているのです。

最近では、IT導入どころか、AI導入が必須の世の中になってきました。

みなさんの工場では、そのような世の中の変化を受け入れることができる仕組みやルールになっていますか?

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