見えない価値を力に変える──透明資産経営の５つの構造を支える「イメージの4本柱」

 

こんにちは、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。

 

企業の空気をおカネに変える──この一見不思議な言葉の正体こそが「透明資産」経営です。空気感は、数値化こそ難しいものの、経営においては間違いなく業績を左右する見えない資産。その空気感を意図的に設計し、戦略的に運用することで確実に業績に影響します。まさに、これからの企業に求められていることなのです。

 

その中核を成すのが透明資産の5つの構造。今回はその一つ、「イメージの4本柱」に焦点を当て、企業の“顔”となる4つの要素──①ロゴ、②キャッチコピー、③キャラクター、④イメージカラー──がどのように企業価値を引き上げるかを、中小企業の実例を交えてお伝えします。

 

―１、ロゴ──企業の「顔」が語る、信頼と存在意義

 

ロゴは単なるマークではなく、企業の理念や歴史、信頼を凝縮した象徴です。たとえば京都の老舗「笹屋伊織」のロゴ。円の中に菱形と「笹」の文字が収まったデザインは、伝統と格式を視覚的に伝えています。

このように、ロゴは無言で価値を語ります。店舗の外観、商品パッケージ、名刺、制服など、あらゆるタッチポイントで一貫して使うことで、お客様の記憶に深く刻まれ、ブランドへの安心感が育まれていきます。

ロゴを見るたびに想起されるのは、商品そのものではなく「この会社なら安心」という信頼です。中小企業でも、デザインの一貫性と継続性を保つことで、信頼という透明資産を積み上げていくことができます。

 

―２、キャッチコピー──理念を言葉に変える“約束”

 

キャッチコピーは、企業の想いや理念を短く、強く、心に響く形で伝えるものです。たとえば「まちの電気屋さん」というアトム電器のコピー。これだけで「近くにいて頼れる存在」というメッセージが伝わります。単なるサービスの説明ではなく、“姿勢”や“人との距離感”までも言葉にしているのです。コピーは顧客だけでなく、従業員にも理念を再確認させる力があります。毎日その言葉を目にすることで、「私たちは何のために仕事をしているのか」という意識が自然と育ち、行動や空気感に反映されていきます。

 

―３、キャラクター──企業に“人格”を与える存在

 

キャラクターは、企業のイメージを「感情」で伝える装置です。たとえばアオキスーパーの「アオキちゃん」。青い鳥をモチーフにしたこのキャラクターは、チラシやPOP、Webサイト、エコバッグなどで活用され、地域の人々に親しまれています。キャラクターは企業に「人間らしさ」を加えます。とくに中小企業においては、「親しみ」「安心」「地域とのつながり」を可視化する存在として強力です。SNSでの拡散効果も高く、従来の広告とは異なる形でお客様の記憶に残り、感情的なつながりを育ててくれます。

 

―４、イメージカラー──感情を操り、記憶に残す色の力

 

色には、感情を揺さぶる力があります。たとえば、「スマイル薬局（仮）」が温かみのあるオレンジ色を基調とした店舗づくりをしていたとしたらどうでしょう。白や青が多い業界の中で、親しみやすさとやさしさを直感的に感じられる空間になります。オレンジは「元気」「安心」「ぬくもり」を印象づける色。このように、色は言葉にしなくても企業の個性を表現し、顧客の感情とブランド体験を強く結びつけます。

大企業でなくとも、色の一貫性を徹底すれば「見た瞬間に思い出される企業」になれるのです。

 

―５、「セット」で伝え続けることの意味

 

これら4つの要素──ロゴ、キャッチコピー、キャラクター、イメージカラーは、単体でも効果を持ちますが、真価を発揮するのは「統一して」「継続的に」発信されたときです。それぞれが同じ価値観を語ることで、一貫性が生まれ、社内外に深く浸透します。さらに、繰り返し接触することで、顧客の中に「親近感」「信頼感」「安心感」という無形の資産が蓄積されていきます。社内においても同様です。ロゴ入りの制服、オフィスの壁に掲げられたキャッチコピー、親しみあるキャラクターが描かれた掲示物──それらが従業員の意識を統一し、「自分たちは何のために働いているのか」という軸を育てていきます。こうしたイメージの一貫性と浸透力こそが、模倣できない「透明資産」として、企業の持続的成長を支えてくれるのです。

 

―おわりに──中小企業こそ「イメージの力」を経営に

 

「ロゴは顔、キャッチコピーは心、キャラクターは個性、カラーは感情」。この4本柱が揃い、日常のなかで繰り返し発信されることで、あなたの会社はお客様にも従業員にも「なんだか感じがいい」という印象を与えられます。そしてその空気が、信頼・共感・選ばれる理由となり、数字に表れない強さ──透明資産となっていくのです。中小企業こそ、大きな広告予算をかけずとも、この「イメージの力」を武器にできます。自社の価値と空気をデザインし、地域に、顧客の心に、深く根を張る存在になりましょう。

 

── 勝田耕司