現場の知恵が企業を変える社内学校が生み出す「透明資産」経営の5つのパワー

 

こんにちは！企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。

私が提唱する「透明資産」とは、数字には表れない空気感を、意図的に設計し運用することで、経営の成果に結びつける独自の仕組みです。人財力、組織文化、理念浸透、チームの一体感、、、これらはすべて、企業の中に蓄積される透明資産の構造の１つとなり、目に見える業績やブランドの礎となります。

この透明資産経営を高めるうえで、近年注目すべき取り組みが「社内学校」の存在です。社長塾が企業の「あり方」を共有する場ならば、社内学校は「やり方」を全社に広げる実践の拠点。社員一人ひとりの力を引き出し、組織全体の成長を促すこの仕組みは、まさに現場から透明資産を育てる装置です。

今回は、社内学校が企業にもたらす5つのパワーについて、具体的な事例を交えながらご紹介します。

＜透明資産経営のパワー①＞生きたノウハウの蓄積と継承

社内学校の最大の価値は、現場で培われた生きた知恵を、次世代へと体系的に継承できることです。

外部研修では得られない、自社独自の成功パターン、失敗からの学び、お客様とのリアルなやり取り、、、そうした現場知が、ベテラン社員の口から語られることで、若手に深く浸透していきます。

たとえば、ある食品卸会社では、地域に精通した営業部長が講師を務め、商談術や提案方法をレクチャー。地域の特性や競合との違いまで踏み込んだ指導は、若手社員の即戦力化を加速させ、営業部門全体の底上げにつながりました。

こうした社内に眠る知恵を形式知化することは、社員の力＝企業の財産として透明資産経営をすすめるうえで極めて有効な手段なのです。

＜透明資産経営のパワー②＞リーダー育成と次世代の土台づくり

社内学校では、教える側である社内講師もまた大きな学びと成長を得ています。

教えるには、経験の棚卸し、思考の整理、伝え方の工夫、相手の理解度を見極める観察力が求められます。これはまさに、リーダーに必要なマネジメントスキルの総合力です。

家具メーカーF社では、熟練の職人たちが若手に木材の見極め方や手加工技術を教えるだけでなく、仕事への姿勢や誇りまでも伝えています。職人たちは自身の技を言語化することで、リーダーとしての力量を磨き、後進を導く意識を高めていきました。

このように、社内学校は育てながら育つ場であり、未来を担う人財の土台づくりそのもの。知識や技術だけでなく、精神的なバトンも受け渡すことで、透明資産経営をすすめる中で人財づくりの仕組が継続的に確保されていくのです。

 

＜透明資産経営のパワー③＞部門間連携と組織の一体化

社内学校の場では、普段は交わらない部署同士の交流が生まれます。営業と開発、現場と管理部門、、、お互いの業務を学び合うことで、部門間の理解が深まり、連携がスムーズになります。

たとえば、ある設計事務所では、営業と設計の各リーダーが交互に講義を担当。それぞれの観点からプロジェクトを解説し合うことで、社内での共通言語が増え、提案から納品までの流れが一貫性を持つようになりました。

組織内における部署や役職を超えて情報の還流が良くなることは、無駄な誤解や遅延を減らし、業務のスピードと質を高めます。これはまさに、組織の透明性という見えない資産が整っている状態。その資産が、日々の業務を下支えしてくれるのです。

 

＜透明資産経営のパワー④＞理念浸透と価値観の共有

社内学校は、企業の理念や価値観を、社員一人ひとりの行動レベルへ落とし込む場所でもあります。

たとえば、介護事業を展開する企業では、「ご利用者様とご家族への最高の寄り添い」を理念に掲げ、ベテラン職員がその寄り添い方を指導しています。単なる技術ではなく、心の扱い方まで含めて伝えることで、社員の行動に哲学が宿っていきます。

理念が現場の言葉で語られ、共感とともに根づくこと。それが、ブレない判断軸や自律的な行動を生み、企業文化としての透明資産を強固なものにしていきます。

 

＜透明資産経営パワー⑤＞エンゲージメントの向上と成長実感

最後に、社内学校は社員のエンゲージメントを高め、「この会社で働いている意味」を明確にしてくれます。

自分の成長を実感し、未来のキャリアが見えると、人は前向きに挑戦できます。会社が自分の成長に投資してくれている、、、このメッセージが伝わることで、社員は働かされているのではなく自ら働いている、会社に貢献したいという意識に変わっていくのです。そうはいっても反応しない社員や変わらない変わろうとしない社員も一定数います。そこに引っ張られないようにしましょう。

ある製造業の現場では、技術者たちが分野ごとに講師となり、若手にスキルを継承。講師自身も教える中で再発見があり、「自分の仕事に誇りが持てた」と語るようになったといいます。このように、教える・学ぶ両者が互いに成長し合う場が、組織に活力をもたらします。

結果として、離職率の低下、スキルの定着、技術の進化といった成果が現れ、企業の人財力という透明資産経営で大切にしている仕組が着実に積み上がっていきます。

 

～「社内学校」は、企業の空気を変える装置である～

社内学校は、単なる教育制度ではありません。それは、現場の知恵を資産に変え、リーダーを育て、理念を行動に転換し、組織を一つにまとめ、社員の成長を後押しする──そんな多層的な力を秘めた透明資産の構造の１つであり、業績に影響する貴社ならではの「空気感」を生成する装置に他なりません。

社長塾で語られる企業の「あり方」を、現場の社員一人ひとりが具体的な「やり方」として実行に移すこと。そこに社内学校の真の意義があります。

変化が激しく、不確実性が高まる今こそ、企業が大切にすべきは人と組織に宿る見えないチカラです。その力をいかに育て、いかに繋ぎ、いかに活かすか──社内学校は、その答えを持っているのです。s

── 勝田耕司