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「チャンスの女神は後ろ髪を持たない」——循環経済と脱炭素がもたらす新たな可能性

SPECIAL

循環経済ビジネスコンサルタント

合同会社オフィス西田

チーフコンサルタント 

循環経済ビジネスコンサルタント。カーボンニュートラル、SDGs、サステナビリティ、サーキュラーエコノミー、社会的インパクト評価などへの対応を通じた現状打破と成長のための対案の構築と実践(オルタナティブ経営)を指導する。主な実績は、増客、技術開発、人財獲得、海外展開に関する戦略の構築と実現など。

 「西田さん、ぜひとも当社のクライアントに対してサーキュラーエコノミーに関する専門的な知見を供与いただけないでしょうか。」

 

 そんな言葉をきっかけに、私は短期の大型プロジェクトに助っ人として参画することとなりました。依頼元は業界でも知らぬ者のない大手コンサルタント会社。そのクライアントもまた、日本を代表する大企業でした。

 

 驚いたのは、そうした企業群がこぞって循環経済に目を向け始めていることです。かつては「環境配慮=コスト増」という認識が根強く残っていたこの分野も、今や「競争力の源泉」として本格的に捉え直されようとしています。なぜ今、循環経済なのでしょうか。その原動力は明らかです。気候変動対策、すなわち脱炭素の実現がもはや待ったなしの状況にある中で、省エネや再エネだけでは到底達成できない削減目標に対し、循環経済の実践が新たな突破口となる可能性を秘めているからです。

 

 たとえば、古くなった施設をリノベーションするケースを考えてみてください。新築であれば解体・建設に伴って大量のCO2が排出されますが、既存建物を活用すればその多くを削減できます。また、製造における原材料も同様です。バージン材の使用は高い環境負荷を伴いますが、再生材に置き換えるだけで大幅な排出削減が可能となります。

 

 エネルギー起因の排出削減には限界があります。再エネへの切り替えやEMS(エネルギーマネジメントシステム)の導入は、すでに多くの企業が手を打ち尽くしつつあります。しかし、設備投資や資材調達、生産活動に目を向ければ、まだまだ大きな可能性が眠っているのです。

 

 この流れは、大企業にとどまりません。最近では中堅メーカーからも、「石油由来の原材料を植物由来に切り替えると、どの程度の効果があるのか」といった相談が増えてきました。単に取り組むのではなく、数字による裏付けをもって顧客に訴求したい——こうした姿勢は、循環経済がビジネスの最前線で語られ始めたことを象徴しています。

 

 循環経済に対する関心は、一過性のブームではなく、明らかに持続的な潮流です。かつてのリサイクルが廃棄物対策の延命措置であったのに対し、循環経済は経済構造そのものを変革する試みです。地下資源に頼る「リニアエコノミー」から、資源を何度も活用する「サーキュラーエコノミー」へと、ゲームのルールが変わりつつあるのです。

 

 この変化を、経営者の皆さまはどのように受け止めていらっしゃるでしょうか。変化は常に「機会」と「脅威」の両面を持ちます。しかし、もしもこの流れを確かな持続可能性への一歩として受け止めることができれば、脅威に怯える必要はありません。むしろ、今こそが勝つための先手を打てるチャンスなのです。

 

 循環経済の中には、未だ誰も気づいていないブルーオーシャンが広がっています。新しい価値の創造、新市場の開拓、そして持続可能性への貢献。そのすべてを同時に成し遂げる鍵が、ここにあるのです。

 

「チャンスの女神は後ろ髪を持たない。」

 

 この言葉が今、あらためて私たちの耳に響きます。企業経営者として変化の波をいち早く読み取り、具体的な行動に移せるかどうか。それが、次の時代の勝者を決めるのです。

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