会議の空気が意思決定を変える!?生産性を2倍にする5つのデザイン

会議の空気が意思決定を変える!?生産性を2倍にする5つのデザイン
こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
会社の成長を妨げる最大の時間的損失は何か。
多くの経営者が口を揃えて言う。「会議である」と。
会議とは本来、意思決定を行い、方向性を定め、行動を生み出す場である。ところが、現実には会議が単なる“報告の場”になり、参加者が黙り、温度が低く、前向きな意見が出ず、結局何も決まらない──そんな空気が企業の中に蔓延している。
ハーバード・ビジネススクールの研究では、「会議の空気の悪さは、内容そのものよりも意思決定の質に深刻な影響を与える」と結論づけている。つまり、会議が停滞している会社は、会議のやり方ではなく“空気の設計”が間違っているのである。
では、なぜ会議の空気は意思決定の質にこれほど大きく影響を与えるのか。
理由は、会議が“空気を最も強く共有する場”だからである。
会議には、会社の現状認識、未来への期待、不安、社長の温度、管理職の力量、挑戦する意欲──すべての空気が集約される。だからこそ、会議の空気を変えれば、組織全体の空気が変わり、意思決定の質が2倍、3倍と向上する。
本稿では、会議を生産性の高い場に変えるための“空気デザインの5つのポイント”を解説する。
―1.会議がうまくいかない本当の理由は「空気」にある
多くの会社が会議改善のために、アジェンダを細かく作成し、進行役を決め、資料を整理し、ルールを定める。しかし、これら“形式の改善”だけでは会議は生まれ変わらない。
本質的な問題は、会議室に漂う“目に見えない空気”にある。
・反対意見を言いにくい
・上司の顔色をうかがってしまう
・社長が発言しすぎる
・結論ありきの雰囲気がある
・ミスが責められそうで発言が控えめになる
・沈黙が続いても誰も声を出さない
このような空気が存在する限り、どれだけ形式を整えても、会議からは本質的な意見も新しい発想も生まれない。
会議の空気は脳の状態を左右する。
空気が良いと、前頭前野が活性化し、創造性・判断力・柔軟性が高まる。
空気が悪いと、扁桃体が優位になり、守り・沈黙・思考停止が起きる。
つまり、会議を改善したいなら、まず空気を改善する必要がある。
会議は「空気の総量」で決まるのである。
―2.会議の空気を2倍改善するための5つのデザイン
これから紹介する5つの空気デザインを取り入れるだけで、会議は驚くほど変わる。
意思決定の質が上がり、行動量が増え、組織の空気が前向きになる。
① 会議の“目的の空気”を最初の3分でセットする
会議の空気は「最初の3分」で決まる。
最初の3分で空気が温まらなければ、その会議は最後まで冷たいままだ。
スターバックスでは、朝のミーティングの最初に「今日何を達成したいか」「この場をどうしたいか」を簡単に共有する。これが目的の空気をつくる。
会議の冒頭で社長が「今日は未来をつくるための会議です」と語れば、社員は“創造モード”に入る。
逆に「今日は問題点を洗い出します」とだけ言うと、“防御モード”に入る。
目的の空気が会議の脳の状態を決める。
② 発言しやすい“心理安全の空気”を設計する
会議の発言量は、空気の質のバロメーターである。
心理的安全性が高い会議では、参加者の85%が発言し、低い会議では20%未満に落ちると言われている。
発言量を増やすために社長ができることは、実は非常にシンプルだ。
・発言した人に必ず肯定のリアクションを返す
・社長が最初に結論を言わない
・小さな意見も拾い「ありがとうございます」と返す
・沈黙の時間を恐れず、余白をつくる
・否定ではなく“問い”で返す
例えば、「それってどういう意味?」「なぜそう思った?」と返すだけで、会議の空気は一気に軽くなる。会議は“質問の質”で空気が決まる。
心理的安全の空気をつくることは、会議の生産性を2倍にするための最短ルートである。
③ 会議を“情報の循環”の場にする
会議が停滞する会社の特徴は、「情報が流れていない」ということだ。
情報が巡らなければ、意見の深まりも生まれない。
会議を情報の循環の場にするためには、
・事前に社員から現場情報を集める
・成功事例を必ず共有する時間をつくる
・失敗を責めずに学びとして扱う
・情報をまとめる“情報局”が必要
といった仕組みが不可欠である。
特に重要なのは、「成功事例の共有」である。
成功事例には“空気を温める力”がある。
パタゴニアでもスターバックスでも、成功事例を共有する文化があり、会議の空気をポジティブに保っている。成功事例が循環している会社の会議は、自然と前向きな空気になり、意見が生まれやすい。
情報が流れる会議は、空気が流れる会議である。
④ 会議の“未来の空気”をデザインする
会議が重くなる理由のひとつは、「過去の延長線で議論している」からだ。
過去の分析は必要だが、会議を未来につなげるためには、
「この議論を未来のどこにつなげるのか」
「我々はどんな未来をつくりたいのか」
を明確に示す必要がある。
例えば、ユニクロの役員会議では、必ず「3年後にどうありたいか」を議論の軸に置く。これが会議の空気を未来に向ける力になっている。
未来の空気を感じられる会議ほど、社員の脳は前頭前野が活性化し、柔軟な発想が生まれる。
逆に、過去中心の会議ほど、扁桃体が優位になり、挑戦が減る。
未来を語る会議は、自然と空気が明るくなる。
⑤ 会議は“儀式化”すると空気が整う
組織において、儀式は空気をそろえるための強力な装置である。
儀式とは、毎回必ず行う“空気の調整行為”である。
千葉ジェッツでは、会議の最後に「今日の気づきと次の一歩」を参加者全員が口にする。これにより、会議の空気が“行動モード”で締まるようになる。
スターバックスでは、会議前に“アップスピーチ”を行い、感謝や前向きな話を共有する。これにより、会議室の空気が柔らかくなり、発言が増える。
儀式とは、空気を整える“型”である。
型が整えば、空気も整う。
空気が整えば、意思決定も整う。
会議は、儀式化することで初めて組織の資産になる。
―3.会議の空気が変わると、会社の意思決定の質が変わる
透明資産経営を導入した企業では、会議の空気を設計しただけで、
・意思決定のスピードが上がる
・発言量が2〜3倍に増える
・現場の課題が早く共有される
・社員の主体性が増える
・会議の数が減る
・売上の伸びが安定する
といった変化が起きる。
これは不思議でも何でもない。
会議とは、組織の頭脳であり、空気の中心である。
会議が変われば、組織の思考が変わる。
思考が変われば、行動が変わる。
行動が変われば、成果が変わる。
重要なのは、会議の空気は“つくれる”ということである。
―4.社長の空気が会議の空気を決める
会議の空気を最も強く決める存在は、もちろん社長である。
社長が真剣に耳を傾ければ、会議は深まる。
社長が未来を語れば、会議は前向きになる。
社長が怒りを抑えれば、会議の温度は安定する。
社長が小さな意見を拾えば、発言が増える。
社長が余白をつくれば、創造性が生まれる。
社長は会議の空気の“気候変動装置”である。
社長の空気が穏やかであれば、会議は豊かになる。
社長の空気が荒れていれば、会議は荒れる。
会議の改善とは、社長の空気の改善である。
―まとめ|会議とは「空気をつくる場」である
会議を変えたいなら、形式ではなく空気を変えること。
アジェンダや資料ではなく、“場の温度”をデザインすること。
空気をデザインする5つのポイント──
1.最初の3分で目的の空気をつくる
2.心理的安全の空気を高める
3.情報を循環させる
4.未来の空気を感じさせる
5.儀式化で空気を整える
これらは会議のテクニックではない。
空気を経営資源として扱う、透明資産経営の実践そのものである。
会議の空気を変えれば、会社は変わる。
会議は、空気を育て、未来をつくる最重要の場である。
―勝田耕司
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