カメレオンパプリカに見る環境適応の極意
「経営環境が変わって今までイケイケだった事業が冴えなくなってきたので、次の事業を模索している」。先日お会いした経営者の方の言葉です。「それ、ありますよね」と共感することしきり。
実際のところ、企業は環境適応業と言われるくらい、環境変化に追随して新しい市場を開拓すべきです。でも、時々それができない。その理由は、古くなってしまった事業に思い入れや成功体験、もっと言えば経営者自身のアイデンティティが深く根ざしてしまっていることにあります。
趣味ならばいつまでもこだわっていればいい。でもビジネスであれば、お客さんの支持を得て利益を出さなければいけないわけなので、こだわりすぎるのも考えものです。
ここで紹介したいのが「カメレオンパプリカ」のお話し。
パプリカは通常、成長とともに緑から赤へと色づきます。ところが、近年の気候変動の影響で、緑と赤がまだらに混じった状態のパプリカが多くできるようになりました。味は同じ。栄養価も変わらない。それでも「色が揃っていない」という理由だけで、市場では規格外として扱われ、廃棄されていたのです。
ここまでは、よくある話です。
ところが、この緑と赤が混ざったパプリカに「カメレオンパプリカ」という名前をつけ「最初からそういうブランドとして売り出したところ、状況は一変します。見た目の個性が「欠点」ではなく「特徴」として受け取られ、結果として売れる商品になったのです。
この話、経営に置き換えると非常に示唆的です。
多くの会社が環境変化の中で、「以前と同じようにいかなくなった部分」を抱えています。売り方が合わなくなったり、客層がズレてきたり、強みだと思っていたものが、評価されにくくなったり。
そのとき、多くの経営者はこう考えます。
「これは失敗だ」
「もう使えない」
「規格外になってしまった」
でも、カメレオンパプリカの事例が教えてくれるのは、問題は中身ではなく“意味づけ”のほうにあるということです。
緑と赤が混じったパプリカは、環境が変わった結果、生まれただけです。事業も同じで、環境が変われば形が変わるのは当たり前。それを「想定外」と切り捨てるか、「新しい前提」として捉え直すかで、未来は大きく変わります。
特に中小企業の場合、過去の成功体験が強く、無意識のうちに「これが正解」「これが普通」という基準を握りしめてしまいがちです。その基準から外れた瞬間、自社の価値が下がったような気持ちになる。
でも本当にそうでしょうか。
カメレオンパプリカは、色が混じったから価値が下がったわけではありません。「従来の基準」で測ったときに、はみ出しただけです。
経営において必要なのは、無理に元の色に戻そうとすることではありません。新しい色を、新しい価値として言語化することです。
何をやってきた会社なのか。なぜ選ばれてきたのか。
今の環境では、それをどう言い換えれば伝わるのか。
事業の転換期に必要なのは、こうした視点のずらし方だったりします。中身を大きく変えなくても、見せ方や意味づけを変えるだけで、事業は「規格外」から「新商品」になります。
さて、あなたの会社の中にも、「これはもうダメかもしれない」と思っているものはありませんか。それは本当に価値がなくなったのでしょうか。それとも、まだ名前がついていないだけでしょうか。
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