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AI時代に必要な「行動する組織」へのバージョンアップ

SPECIAL

マインドポジション経営コンサルタント

株式会社アトリオン

代表取締役 

マインドポジション経営コンサルタント。社員と顧客の心に占める貴社の位置づけ―「マインドポジション」をアップし、業績向上を目指す仕組み構築のスペシャリスト。30年にわたる中小企業のブランディングと組織開発の経験を背景に、マインドポジション経営実践プログラムをオリジナル開発。時代に合わせて組織を刷新したい経営者や、2代目、3代目社長、社員の力を引き出して社内の体制を再構築したい経営者に高く評価されている。新しい切り口に基づく事業の見直しと組織の再開発を通して業績の2ケタ成長を実現するなど、持続可能な企業の成長に向けた力強い支援に定評。株式会社マインドポジション経営研究所代表取締役

先日、ある起業家と話をしていた時のこと。「AIがやるべきことは全て組み立ててくれる。でも全て仮説の選択肢ばかり。試してみてどれが当たるかは自分でやってみるしかわからない。」という話題で盛り上がりました。

アメリカではエッセンシャルワーカーの給与が爆上がりし、日本でもホワイトカラーから高レベルのエッセンシャルワーカーへの労働移動が議論され始めています。バーチャルの世界でできることは、人類の知を集めたAIの方が格段に優れている。そうなると、人がAIよりも優れている領域はますます絞られてきます。

残されたのは、現実世界で行動し、フィードバックを受け取り、そこから次の最適解を探り当てる力。この点だけは、人にしかできません。

では、こんな時代がすでに始まっているとしたら、私たちはどのように事業を進め、生き残りを模索すべきなのでしょうか。

「なぜ多くの人が行動をためらうのか。」――まず考えたいのは、この単純な問いです。

失敗が怖い――この言葉の裏側には、いくつもの感情があります。

「評価を下げられるのでは」という恐れ
中小企業では距離が近い分、「失敗=評価の低下」と感じやすい。「怒られるのでは」「無能と思われるのでは」という不安は、行動の速度を奪います。

「迷惑をかけたくない」という遠慮
同僚との関係が密であるほど、「自分の失敗がチームに迷惑をかける」と考え、挑戦を控えがち。

「前例がないことへの不安」
新しい取り組みほど、正解がない。“正解探し”に慣れてきた人ほど、この不確実性に心が揺さぶられます。

「成功しなければいけない」という完璧主義
「やるなら完璧に」という思いが強いほど動けない。完璧主義は行動の初速を奪う代表的な心理です。

このように「行動できない背景」は決して能力不足ではなく、多くは“心理的な抵抗”です。だからこそ、会社として“挑戦を許容する文化”をつくる必要があります。

AI時代は、これまでの「正解を探す仕事」をAIが肩代わりする時代でもあります。
となれば、人間に残る価値は次の4つです。

・行動する
・挑戦する
・失敗する
・学び活かす

ところが多くの中小企業には、「失敗を避ける文化」が根強く残っています。波風を立てないことが“賢明な立ち回り”とされてきた背景もあり、行動より安定を選びがちです。しかしAIの進化は、この価値観を一気に時代遅れに変えてしまいました。

「失敗しないこと」よりも「行動しないこと」の方が、はるかに大きなリスクになる。これが今まさに起きている変化です。

起業家との議論で出た3つのポイントは、実は事業成長の本質そのものです。

仮説に納得できなくても、とにかく行動する

AIが示す仮説は“最適解”ではなく“試すべき候補”。どれを選ぶかは、現場で動いてみないと分かりません。ここで大切なのは、「行動には必ず価値がある」という視点です。成功すれば成果に、失敗すれば学びに変わる。どちらも次の一手を生む“資源”です。

行動で得た点をつなげ、ビジョンに向かう

行動は点、ビジョンは線です。ビジョンが曖昧な組織は、どれだけ動いても成果が散らばります。だからこそ、トップがビジョンを語ることが欠かせません。社員がどこに向かって行動すべきかが分からないまま、行動量だけ増えるのは危険です。

プロセスを楽しみつつ、片目でマネタイズを見る

挑戦は、楽しめなければ続きません。一方で収益化の視点を欠けば、企業活動として成立しません。AI時代の働き方は、この“二刀流”が必要不可欠です。

社員が挑戦できない理由の多くは、スキルではなく心理です。その心理を溶かせるのは、経営者が発するメッセージしかありません。だからこそ、トップが言うべき言葉は明確です。

「会社の意思に沿った行動であれば失敗してもいい。」
「失敗を恐れて行動しないより、リスクをとって動いた人を評価する。」

このメッセージがあるだけで、社員の行動量は目に見えて変わります。文化のバージョンアップとは、突き詰めればトップが何を大切にするかを示すことなのです。

AIは膨大な知識から無数の可能性を示します。しかし、どの仮説を選び、どの順で試し、何を学び、どう活かすか。この“現実世界の判断”は、人にしかできません。だからこそ、行動する文化をつくることが、中小企業の生き残り戦略そのものです。

さて、貴社はいかがでしょうか。

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