資金繰りに悩む社長が見落としている本質的な問題
「売上をもっと上げれば、資金繰りの問題は解決する」
資金繰りに悩む多くの社長が、このように考えています。しかし、これは大きな誤解です。
本来、資金繰りの悩みは、複数の経営課題が複雑に絡み合った結果として表面に現れた「症状」に過ぎません。つまり、目に見えている問題は「氷山の一角」なのです。
だからこそ、表面的な資金繰りの問題だけを解決しようとしても、根本的な解決にはなりません。
多くの社長は、資金繰りが苦しくなると銀行借入で対処します。確かに融資を受けることで、一時的には資金繰りが改善するでしょう。しかし、これはあくまでも対処療法でしかありません。
根本的な課題が解決されていなければ、同じ問題が何度でも繰り返されます。そして銀行借入に頼るたびに、借入依存の状態から抜け出せなくなっていくのです。
社長が本当に取り組むべきことは、「なぜお金が足りなくなるのか」という本当の原因を特定することです。そして、その原因を財務の視点から解決していくこと。これこそが、潰れない会社づくりの第一歩となります。
「なぜお金が足りなくなるのか」を、具体的な数字で説明できる社長は、意外と少ないのです。さらに、本当の問題を解決するための具体策を見つけられる社長となると、もっと少なくなります。
なぜなら、社長自身が「売上至上主義」の考え方に囚われているからです。「売上を増やせばお金の問題は解決する」という思い込みがあるため、資金繰りが苦しくなると、まず借り入れで凌ぎ、次に売上を増やして業績を回復させようと考えます。
しかし、大切なことなのであえてお伝えしますが、これは間違った考え方です。
売上を増やすためには、人件費や広告宣伝費、場合によっては設備投資が必要になります。その結果、売上は増えても、数ヶ月後にはまた資金繰りに悩まされる…という負のスパイラルに陥ってしまうのです。
会社経営には「ヒト・モノ・カネ」という3つの経営課題が常に存在します。多くの社長は、
「売上を増やせば全て解決する」
「人を育てれば会社は潰れない」
と考えて、「ヒト」「モノ」の問題解決ばかりに気を取られてしまいます。
しかし、実は逆なのです。
「カネ」の問題さえ解決してしまえば、「ヒト・モノ」の課題も次々と解決できるようになります。売上が全ての経営課題を解決するわけではないのです。
いつまでも資金繰りに追われる社長と、資金繰りの悩みから卒業できる社長。この2つを分けるものは何でしょうか。
答えは明確です。「対処療法」で終わらせるか、「根本的な課題解決」に取り組むか、この違いです。
根本的な課題解決に取り組む社長は、常に自分自身に問いかけています。
「この問題の本質はどこにあるのだろう?」
「なぜ、こんな状態になってしまったのだろう?」
そして、問題の本質を見つけたら、財務の視点を持って最善の一手を出し続けるのです。
ここで忘れてはならないのは、資金の余裕は心の余裕だということです。社長がお金の心配ばかりしていては、経営の質は向上しません。
大切なことなので繰り返しますが、会社経営の問題は、100%お金で解決することができます。お金があれば、販売不振も人手不足も、適切な投資によって改善できるのです。
だからこそ、財務中心の会社づくりに取り組むことが成功の近道なのです。
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。

