透明資産経営|組織が外部環境の変化についていけなくなる瞬間とは?

こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する空気感を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
「最近、市場の変化が激しすぎて……」
「環境が読めない時代だから仕方ないですよね」
業績が伸び悩み始めた企業の経営者から、こうした言葉を聞くことが増えています。しかし、数多くの企業を見てきて確信していることがあります。それは、組織が外部環境の変化についていけなくなる瞬間は、市場が急変したときではない、という事実です。変化についていけなくなる原因は、外ではなく、内側にあります。正確に言えば、「変化に鈍くなる空気」が、あるタイミングで組織の中に定着するのです。
市場は、ある日突然変わったように見えます。しかし実際には、変化はずっと前から兆しとして存在しています。顧客の言葉のトーンが変わる。問い合わせの内容が微妙にズレる。競合の動きが少しずつ違和感を帯びてくる。それらは、数字になる前に、必ず“空気の変化”として現れます。にもかかわらず、変化に追いつけなくなる組織では、その空気を感じ取れなくなっています。なぜでしょうか。理由はシンプルです。感じ取らないほうが、組織として安全だからです。
外部環境の変化に鈍くなる組織には、共通する空気のパターンがあります。それは、「今までうまくいってきた」という成功体験が、空気として強く染みついている状態です。これは決して慢心ではありません。むしろ真逆です。現場は真面目で、努力もしていて、過去の成功を再現しようと必死です。問題は、その再現努力そのものが、変化を遮断してしまう点にあります。過去に成果を出したやり方が「正解」として空気に固定されると、人は無意識のうちに、それ以外の可能性をノイズとして扱い始めます。顧客の小さな違和感は「一部の例外」として処理され、市場の変化を示す兆しは「まだ本格的ではない」と先送りされる。こうして、組織は少しずつ感度を失っていきます。
行動科学の観点では、人は自分の信じている前提と矛盾する情報を無意識に軽視する傾向があります。これを認知的不協和と呼びます。組織レベルでも、同じ現象が起きます。「これまで正しかったやり方が、もう通用しないかもしれない」という示唆は、極めて不快だからです。その不快さを避けるために、組織は空気で調整を始めます。変化を指摘する声が、少しずつ扱いづらくなり、慎重論や様子見が大人の判断として評価される。そして、「今は内部を固める時期だ」という言葉が増えていく、、、こうして、組織は静かに内向きになります。
外部環境についていけなくなる瞬間とは、変化が見えなくなったときではありません。
変化は見えている。しかし、それを「重要ではないもの」として扱う空気が支配した瞬間です。この空気が最も厄介なのは、合理的な顔をしている点です。データを待つ、確証を求める、慎重に判断する。一つひとつは正しい。しかし、それらが積み重なった結果、組織は「動かないこと」を選び続けます。
変化は、確証が揃ったときには、もう変化ではありません。それはすでに結果です。市場の変化に強い企業は、特別な情報を持っているわけではありません。むしろ、情報の質そのものは大差ありません。違いは、未確定な違和感を、空気として大切に扱っているかどうかです。
小さな兆しを口に出してもいい空気があるか。
仮説レベルの話を、会議に持ち込めるか。
数字になっていない変化を、「気のせい」で終わらせないか。
これらはすべて、制度や戦略の話ではなく、空気の話です。一方で、変化に鈍くなる組織では、空気がこう変わっていきます。
確実なことしか言わない。
説明できないことは語らない。
責任の所在が曖昧な話題は避ける。
この空気の中では、誰も嘘はついていません。むしろ誠実です。しかし、その誠実さが、変化への初動を遅らせます。経営者にとって最も危険なのは、「市場が急に変わった」という錯覚です。本当は、変化はずっと前から始まっていた。ただ、組織の空気がそれを感じ取らなくなっていただけなのです。透明資産経営の視点では、外部環境への適応力は、戦略以前に「感度」で決まります。その感度を左右するのが、日常の空気です。現場が感じた違和感が、上に届くかどうか。届いたときに、扱われ方がどうか。ここで、すべてが決まります。
もし、社内で「市場が読めない」という言葉が増えてきたら、注意が必要です。それは市場が急変しているサインではなく、組織の感度が落ちているサインだからです。変化についていけなくなる瞬間は派手に訪れず、売上が急落する前に会話が変わり、提案が減り、仮説が消え、確実な話だけが残る、、、この静かな変化を見逃さないこと。そして、未完成な違和感が息をできる空気を、意図的につくること。それができる経営者だけが、外部環境の変化を「脅威」ではなく、「先行情報」として扱えるようになります。
市場が変わったから、ついていけなくなったのではない。
空気が変わったから、変化が見えなくなった。
ここに気づけるかどうかが、次の成長曲線を描けるかどうかの分かれ目です。外部環境に強い組織とは、戦略が優れている組織ではありません。空気の感度が高い組織なのです。
ー勝田耕司
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