透明資産経営|社長がいなくなった瞬間に露呈する会社の本当の実力とは?

こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する空気感を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆を深め、従業員同士の信頼関係を築き、商品・サービスの独自性を強化します。その結果として、企業は持続的に利益を生み続ける体質へと変わっていきます。
社長が現場を離れた瞬間、その会社の本当の実力が露呈します。
これは比喩でも、精神論でもありません。極めて現実的で、しかも「おカネ」に直結する話です。たとえば、社長が数日出張に出た。あるいは、長期休暇を取った。あるいは、病気や不測の事態で現場に顔を出せなくなった。そのとき、現場はどう動くでしょうか。意思決定は滞らずに進むのか。顧客対応の質は維持されるのか。売上の数字に、微妙なブレが出始めていないか。
多くの経営者は、「自分がいない間も、ちゃんと回っているはずだ」と信じています。しかし実際には、社長がいなくなった途端に、組織の動きが目に見えないレベルで鈍り始めるケースが非常に多いのです。会議の決断が遅れる。現場判断が保留される。責任の所在が曖昧になり、結果として、売上機会が静かに失われていく。これは、能力の問題ではありません。人材不足でも、教育不足でもない。問題は、組織が「社長の存在」に依存する空気で回っているかどうかです。
トップ依存型の組織では、社長は無意識のうちに「判断の起点」になっています。最終決裁だけでなく、方向性の微調整、優先順位の判断、空気の引き締め役まで、すべてを担っている。すると現場は、知らず知らずのうちに学習します。「決めなくていい」「最終的には社長が見る」「社長の反応を待てばいい」。この学習は、非常に合理的です。なぜなら、社長の一言で方向が変わる経験を何度もしているからです。すると、現場は動かなくなったのではなく、「動かないほうが得だ」という空気の中で、最適行動を取っているだけなのです。
問題は、この空気が平時には見えにくいことです。社長がいる間は、表面上、何も問題が起きません。むしろ、意思決定は早く、売上も安定しているように見えます。しかしそれは、社長というエンジンが常に回り続けている状態にすぎません。エンジンが止まった瞬間、組織はどうなるか。これが、その会社の本当の実力です。一方で、社長がいなくても淡々と回り続ける組織があります。決して放任されているわけではありません。むしろ逆です。判断の軸、優先順位、価値基準が、空気として共有されています。だから、誰が判断しても、大きくズレない。スピードが落ちない。結果として、売上のブレも最小限に抑えられます。
この差は、やがて数字として表に出ます。トップ依存型の組織では、社長の稼働率が、そのまま売上の天井になります。社長が忙しければ忙しいほど、売上は伸び悩みます。なぜなら、判断待ち、確認待ち、承認待ちが、組織全体に広がるからです。逆に、空気で回る組織では、社長の稼働時間と売上が切り離されています。社長が現場にいなくても、判断は進み、挑戦は続き、改善は積み重なります。その結果、売上は「社長の体力」ではなく、「組織の再現性」によって積み上がっていきます。
ここで、非常に重要な視点があります。トップ依存型の組織は事業価値が上がりません。もし将来、事業承継やM&Aを考えたとき、評価されるのは「仕組み」と「再現性」です。社長がいないと回らない会社は、買い手から見ればリスクでしかありません。どれだけ現在の利益が出ていても、「この社長が抜けたらどうなるか」という一点で、評価額は大きく下がります。つまり、社長依存の空気は、今の売上だけでなく、将来の換金価値まで削っているのです。
では、なぜ多くの会社がトップ依存型から抜け出せないのか。それは、社長自身が「空気の中心」になってしまっているからです。判断の正しさ、スピード、責任感。そのすべてを社長が背負いすぎると、組織は楽になります。しかし、その楽さは、長期的には致命的なコストになります。透明資産経営の視点では、社長の役割は「動かす人」ではありません。動かなくても回る空気を設計する人です。判断基準を言語化し、価値観を共有し、失敗の扱い方を統一する。こうした積み重ねが、社長不在時でも機能する組織をつくります。
もし、社長が数日いなくなっただけで、現場がざわつくなら、それは危機です。
もし、社長の顔色を伺う空気が強いなら、それは成長の天井です。
もし、「社長が戻ってから決めよう」という言葉が普通に出ているなら、そこにはすでにおカネの漏れが発生しています。
社長がいなくなった瞬間に露呈するのは、現場の能力ではありません。社長がつくってきた空気の質です。トップ依存型の組織は、短期的には強く見えます。しかし長期的には、必ず伸び悩みます。なぜなら、社長という一点に、判断と責任が集中しすぎるからです。空気で回る組織は、静かですが、強い。社長がいなくても、数字は崩れない。むしろ、社長がいないからこそ、組織は本来の力を発揮し始めます。
社長が不在でも回る会社こそが、真に強い会社です。そして、その強さは、戦略でも制度でもなく、日々積み上げてきた空気によって決まります。この現実に目を背けるか、正面から向き合うか。それが、これから先の利益曲線を大きく分ける分岐点になります。
ー勝田耕司
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