改革で人が入れ替わる:人が辞めて初めて、会社は前に進める
「先生の改革って……人が辞めますよね。」
そう言われたのは、不動産業を営むM社の社長でした。半ば冗談のようで、しかし本音が滲んだ言い方です。
実際、私が関わって半年ほどで、数名の社員が会社を去っています。
M社長は少し複雑な表情をされていました。
多くの社長にとって、「改革=人が辞める」
これは、どうしても引っかかる現象のようです。
人が辞める改革は、失敗である!?
まず、はっきりさせておきたいことがあります。
人が辞めること自体に、良いも悪いもありません。
問題は、
・なぜ辞めたのか
・何が起きた結果なのか
です。
ところが多くの社長は、「人が辞めた=悪いことが起きた」と、短絡的に結論づけてしまいます。これでは、改革の本質を見誤ることになります。
仕組化とは「選別」である
仕組化とは、「誰でも活躍できるようにすること」ではありません。
仕組化には、このような意味があります。
『合う人を残し、合わない人を浮き彫りにする』
その構造をつくることになります。
これまで属人性で回っていた会社では、
・空気
・曖昧な期待
・個人の判断
で仕事が成立していました。
そこに、
・基準
・ルール
・役割
・判断軸
を入れます。すると、必ずズレが生じるのです。
すると、当然ですが、このズレを「受け入れ自分を変えられる人」と、「変えられない人」に分かれます。
人が辞める「二つのケース」
ここで、人が辞めるケースを整理しておきましょう。
① 悪い辞め方
・方針が曖昧
・ルールがコロコロ変わる
・感情で評価される
・社長の気分で決まる
この状態で人が辞めるのは、単なる経営不全です。
② 良い辞め方
・役割が明確
・基準がはっきりしている
・期待値が言語化されている
・判断が仕組みで行われる
この中で「自分は合わない」と判断して去っていくのは、健全な現象です。
社長自身の「これをやりたい」を曖昧にしてきただけなのです。
この時のM社は、明らかに後者でした。
M社長は、一つひとつ仕組みを整えていきました。すべての案件の状態を見えるようにし、そして、判断基準をつくっていきます。また、各役職の業務を決めていきます。
すると、これまで「なんとなくやれていた人」や「俺流でやっていた人」が、急に苦しくなるのです。
実際には、彼らは「やっていなかった」のです。また、「社長の考えとは違うやり方」をしていたのです。それが解っただけなのです。
一方で他の社員からは、「判断が楽になりました」、「次に何をすべきかが分かります」という声も、同時に出てきました。そして、その社員同士が協力するようになったのです。社内のコミュニケーションは一気によくなりました。
その結果、数名が辞めたのです。
M社は今、売上昨年対比130%で推移しています。人の補充は間に合っていません。
しかし、思ったほどの混乱もなく、顧客への対応も明らかに良くなっています。
提言:人が辞めない改革を目指すな
人が辞めない改革を目指してはいけません。
それは、
・誰にも踏み込まず
・何も決めず
・何も変えない
という宣言に等しいのです。
仕組みは、人を選びます。
だからこそ、会社は前に進めるのです。
まとめ:人が辞めて、前に進める会社へ
人が辞める改革には、良い悪いがあります。
そして、良い改革ほど、人は分かれます。
私は、最後にM社長にこう伝えました。
「人が辞めたのではありません。会社が、次の段階に進んだだけです。」
会社は、生き物です。成長の節目では、必ず新陳代謝が起きます。
人が辞めて、前に進める。
それは、健全な会社の姿なのです。
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