お金が残らない社長が変えるべき経営の考え方
会社経営が順調な時、多くの社長が無意識のうちに陥ってしまう、落とし穴があります。それは財務の視点を持たないまま、売上拡大のみを考えた経営をしてしまうこと。
売上拡大のみを考える経営、当社では「売上至上主義」と呼んでいますが、この考え方こそが、せっかく順調だった会社から、貴重な限りあるお金を奪っていく最大の原因です。
「業績が良い今こそ、この投資で売上をさらに伸ばそう」
この判断そのものは、経営に前向きな証ですので、大変素晴らしいことです。しかしながら、問題はその投資が、将来の会社の現金の流れにどう影響するのか、返済計画は無理がないのか、納税も資金計画に織り込んでいるか、といった財務の視点が抜け落ちていること。
売上を伸ばそうとすればするほど、材料の仕入れコスト、人件費、広告費など出ていくお金も増えていきます。
さらに銀行から借入をしていれば、借入金の返済、増収増益ならば、税金の支払いもあります。
結果として、売上は伸びているのに利益率は下がる。利益は出ているはずなのに、なぜか手元の現金が減っていく。そんな矛盾した状況に陥ってしまうのです。
好調な時だからこそ、社長は売上優先から財務優先へと考え方を切り替える必要があるのです。
大切なことなのであえて申し上げますが、社長が財務を知らないことは、会社にとって深刻な問題です。なぜなら、財務の知識がなければ、社長は正しい経営判断を下すことができないからです。
多くの社長は、「経理や顧問税理士に任せておけば問題ない」と考えています。しかし、経理と財務は、全く別のものです。
経理は、過去に起きた取引を記録し、整理する仕事、税理士は税金の専門家です。どんなに優秀な経理担当者や税理士がいても、彼らは過去の数字を正確に処理してくれるだけです。
一方、財務は、未来に向けてお金を管理し、会社にお金を残す仕組みを作る仕事です。未来の会社をどうするかを決めるのは、社長の仕事です。そして、判断に必要なのが、財務の知識です。
財務の知識があるかないかで、同じ状況に対する経営判断が180度変わることがあります。
例えば、ある設備投資の話が持ち込まれたとします。財務を知らない社長は、
「生産効率が上がって売上が伸びる」
と考えます。
しかし、財務を知っている社長はこのように考えます。
「月々の返済はいくらになるか。今の利益から返済できるか。手元資金への影響はどうか。投資回収に何年かかるか」
この判断の差が、数年後の会社の命運を分けることになるのです。
財務の知識がない社長は、「カン・ケイケン・ドキョウ」で経営判断をしてしまいます。当社では、これを「KKD経営」と呼んでいます。
こうした経営は、ギャンブルと同じです。経営判断を運に任せている状態では、たった一度の判断ミスが、会社の存続を脅かす結果になりかねません。
社長が財務の視点で物事を考えられるようになると、経営判断の質が劇的に変わります。何か決断する時には、必ず財務の面から検討する習慣が身につくからです。
財務至上主義の会社になるために、社長が意識すべきことは3つあります。
1つ目は、社長自身が財務の数字を見る習慣を持つこと。
経理任せ、税理士任せにせず、毎月、自社の現金残高と借入金残高を確認します。
2つ目は、すべての経営判断を「お金が残るかどうか」で考えること。
「この判断で手元資金は増えるか、減るか」を基準にするだけで、会社のお金の流れは劇的に変わります。
3つ目は、売上目標ではなく、手元資金目標から逆算すること。
「今期末に手元資金を〇〇円にする」という目標を先に決め、そこから必要な利益、必要な売上を逆算していくのです。
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。

