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第87号:厚利安定型の組織に必要な土台

SPECIAL

1人粗利最大化事業づくりコンサルタント

株式会社ポリフォニアコンサルティング

代表取締役 

経営の最重要指標である「1人粗利」を極限まで高める手法の指導に特化した専門コンサルタント。徹底的に“数字”で先導する事業/組織設計による、1人粗利が「増えるべくして増える仕組み」を導入指導する専門機関。事業活動、組織活動をダイレクトに数字に接続していく「BLACKメソッド」を独自開発し、“勘やセンス”ではなく“科学と論理”による再現可能な1人粗利最大化構造を体系化。氏が関わった経営者からは「本当に1人粗利とお金が増えた」「実務感が半端ではない」「勇気ある意思決定ができるようになり経営が楽になった」「あくせくしないゆとりある経営を手に入れた」と絶大な反響が寄せられている。

「シライ先生、正直にお話しします。最初は社員全員が反発して、会社が空中分解するかと思いました。でも、今は明らかに組織の動きが変わりました。」力強くこう仰るのは、製造販売を営むO社長です。コンサルティングを開始してから約1年たったころ、O社長から出たご発言です。

高価格化による厚利安定戦略を取れる組織と取れない組織には、決定的な違いが一つあります。それは「定期的な売価アップを、仕事における所与の条件として考えているかどうか」です。

売価が上がるのに売るものが同じであれば、売り手には「原価が上がっているから」という正当な理由があります。しかし買い手の立場からすれば、その理由は正当ではありません。価格を上げ続けるには、上げるだけの根拠が要るのです。

弊社ではその状態を「価格主導権」と呼んでいます。価格主導権を持てる根拠は、突き詰めれば二つです。希少性と品質です。

希少性とは、他に代替が効かない存在であること。既存のカテゴリーの中に埋もれず、独自市場を形成していることです。

そして品質とは、その希少性の中でどれだけ高い成果を顧客に対して提供できるか、です。

希少性があっても提供する価値が上がらなければ、価格を定期改定していく根拠にはなりません。この二つがセットで機能してはじめて、価格主導権は成立するのです。

売価アップが「定期的に必ずやってくる」という環境に組織が置かれると、何が起きるか。

社員は常に「希少性と品質を上げ続けなければならない」という現実に向き合わざるを得なくなります。これが薄利多売型と厚利安定型の大きな違いです。薄利多売ビジネスの利益の源泉が「コストダウン」にあるとすれば、厚利安定型の利益源泉は「価格(粗利)は定期的に引き上げられる」という前提です。

このベースの違いが、組織全体に流れる問いの質を変えます。

「売価・利幅を上げるには、仕事の何をどう変えなければならないか?」——厚利安定型の組織には、この問いが常に流れています。「コストを削るにはどうするか」「売上を上げるにはどうするか」とは、出発点が全く異なる思考です。業務の仕組みも、評価の基準も、おのずと別のものになっていきます。

経営者はじめ営業に携わる社員は、「定期的に」顧客と価格アップに関する会話をすることになります。簡単な交渉ではありません。顧客に納得していただけるよう、我が社の価値を説明しきらなければなりません。

「原価が上がっているから価格を転嫁させてください」という姿勢では、長期的には顧客は納得しません。顧客が定期的な価格アップに納得する理由は、ただ1つ、「それによって、我が社(顧客)の何がどれくらい良くなっていくのか?」が証明された時です。

厚利安定組織は、常に、「顧客の変化幅」に目を向けることになります。売価・利幅の定期アップが前提とされる組織には、「生産量」「コストダウン」「販売量」だけではなく、「顧客の状態」を考ざるを得ない環境が生まれます。

O社長が仰る「社員の動きが変わった」という変化も、まさにここから来ています。単価駆動の経営へシフトする中で、社員が必然的に「他所との違いをどう作るか?」「一人の顧客への貢献幅をいかに高めていくか?」を考え始めた。その思考が、副次的に会社への帰属意識や、自分の役割の認識へとつながっているのです。

リアルな現場の話をすれば、厚利安定型ビジネスを目指す多くの会社では、この「価格」をめぐって経営者と社員の間で意見の衝突が生まれます。

O社も例外ではありません。価格を上げることは業績が傾くリスクを強く感じさせる行為であり、「上げ続ける」となれば、その感覚はさらに強くなります。

O社が高利安定型ビジネスへ舵を切る決断をした際、どのサービスから高価格化してくかは、実に3日間通しの社内会議を経て、具体的な対象製品・仕様・価格・導線が決定しました。

コンサルティングに参加された経営者及び社員が、自ら事業を変えていくべく、意見を主張し合いました。

能動的に高価格化・高粗利化していくということは、それまで正しいと思われてきた前提の変更を組織にも迫るものです。経営者にとってだけでなく、社員にとっても決して素直に受け入れられるものではなかったりします。

まして、何をやっても響かず、売上や業績の踊り場でもがいている時などは、なおのことその怖さは増幅されます。

だからこそベースに必要なのが、「数字構造」をベースにした冷徹なリスク計算と意思決定の仕組みです。

「いくらの売価アップで、許容できる受注減少量はどの水準か」「他の重要数字はどう動くか」——この数的根拠がなければ、「うちの強みは〇〇だから・・」「うちのお客様は・・」という話をどれだけ重ねても、誰も納得しませんし、リスクのある決断などできません。計算があるからこそ、経営者の決断と組織の実行はセットになり、実際に組織が動けるのです。

そして組織が厚利安定型の思考で本当に動き出した時、これまでマンネリ化していた業績改善施策とは一線を画すアイデアが、現場から自発的に飛び出してくるようになります。

「自らの手で価値を創り、お客様の価値認識に影響を与えられている」という実感が、社員のプロとしての当事者意識を呼び覚ますからに他なりません。

厚利安定型組織とは、単に利益率が高い集団ではありません。売価アップを日常の業務仕様として仕組みの中に組み込み、組織全体に流れる問いの質を変えた集団のことです。

あなたの組織では、価格を上げることはいまだ「事件」として扱われていませんか?それを「所与の条件」として経営の決定サイクルに組み込めているでしょうか。その先には、今の延長線上には決して見えてこない、全く別の商売の世界が広がっています。

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