同族経営の強みを活かせる社長と活かせない社長の違い
公私混同やお家騒動、後継者問題など、同族経営特有の課題があることは否定できません。一方で、同族経営だからこその大きな強みもあります。この強みを正しく理解することが、同族社長として、会社を永く守り続けるための第一歩です。
上場企業の経営者は、株主への説明責任や短期的な業績を意識せざるを得ません。一方、同族経営の社長は、「この会社を次の世代に残す」という長期的な視点で経営判断ができます。
ブレない経営理念のもとで地道に積み上げてきた信頼が、長寿企業の礎となっているのです。
大企業では、一つの経営判断を下すまでに、多くの会議や稟議を経なければなりません。しかし同族経営では、社長が判断すればすぐに行動に移すことができます。
このスピード感こそが、変化の激しい経営環境において大きな競争力になります。
同族経営には大きな強みがある一方で、その強みを活かせずに苦労している2代目社長も少なくありません。
同族経営で最も問題になりやすいのが、会社と家族の境界線が曖昧になることです。親族の個人的な支出が会社の経費として計上されたり、家族間の感情的な対立がそのまま経営判断に影響したりするケースは珍しくありません。
こうした公私混同が続くと、社員は「どうせ身内が優遇される」と感じるようになります。優秀な社員ほど会社を離れ、組織全体の士気が下がっていきます。
同族経営の強みであるはずの結束力が、逆に会社の足を引っ張る原因になってしまうのです。
2代目社長に多いのが、「先代社長の代から、会計を同じ税理士に任せている」「経理は代々、社長の妻が見ることになっている」という状態です。
社長自身は、営業や売上を追いかけることに必死になり、会社を守るための財務を「社長以外の誰か」に丸投げしたまま経営をしてしまっているのです。
「売上は伸びているのに、なぜかお金が残らない」
「資金繰りがいつも綱渡りだ」
「いつまで経っても、経営が楽にならない」
このような悩みを抱える2代目社長の多くは、財務の視点が抜け落ちた経営をしています。なぜなら、財務の視点が無ければ、経営判断の軸が生まれないからです。
同族経営の意思決定のスピードも、経営判断の軸がなければ、誤った方向に会社を進めるだけになってしまいます。
同族経営の強みを本当の意味で活かすためには、社長自身が財務の視点を持つことが欠かせません。財務を経営の軸に据えることで、同族経営は初めてその真価を発揮します。
先代のやり方をそのまま踏襲してしまうことも、2代目社長が陥りがちな失敗の一つです。先代が築いた経営理念や取引先との信頼関係は、大切に引き継ぐべき財産です。
しかし、財務の知識がないまま経営判断をする「KKD経営」(カン・ケイケン・ドキョウ)まで引き継いでしまっては、会社の未来は危うくなります。
先代の時代に通用したやり方が、今の時代にも通用するとは限りません。引き継ぐべきものと変えるべきものを見極める目を持つことが、2代目社長に求められる最初の仕事です。
同族経営の社長が財務を理解すると、経営判断が変わります。「この投資をしたら、会社のお金はどう動くか」「今の財務状況で、どこまでの判断が許容できるか」を数字で考えられるようになるからです。
財務の視点を持った社長は、同族経営の強みであるスピードと長期視点を、正しい方向に活かすことができます。
感情や勘に頼るのではなく、財務を軸にした経営判断の積み重ねが、同族経営を本当の意味で強く、永く続く会社へと育てていくのです。
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