透明資産経営|なぜ、社長の小さな約束破りが、大きな信頼を溶かすのか?
こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
ー「今度、話そう」と言って、その今度は、来ましたか
思い出してみてください。あなたが、社員に、何気なく、こう言った場面を。「今度、ゆっくり話そう」「その件は、来週、決めよう」「近いうちに、みんなで飲みに行こう」。──社長にとっては、その場の、軽い一言だったかもしれません。深い意味は、なかった。だから、忙しさに紛れて、忘れてしまった。「今度」は、いつまでも、来なかった。
けれど、その一言を、社員は、覚えています。社長が思うより、ずっと、はっきりと。そして、「今度」が、いつまでも来ないことを、静かに、記録しているのです。あなたにとっては、忘れてよい、小さな約束。社員にとっては、破られた、約束。この、両者の温度差の中でこそ、あなたの会社の信頼は、少しずつ、溶けているのです。
ー信頼とは、大きな出来事ではなく、小さな約束の履歴でできている
多くの社長は、信頼を、大きなもので、築こうとします。立派な理念、太っ腹な決断、危機のときの、大きな貢献。──もちろん、それも、大切です。しかし、透明資産の視点から見れば、社員が、社長を信頼するかどうかは、そうした大きな出来事よりも、日々の、小さな約束が、守られているかどうかの、積み重ねで、決まります。
なぜなら、社員は、社長の、大きな決断の場面には、めったに、立ち会いません。社員が、日々、目にしているのは、社長の、小さな言動です。「今度、話そう」と言ったのに、話さない。「確認しておく」と言ったのに、放置する。「必ず、伝える」と言ったのに、忘れる。──こうした、小さな約束が、破られるたびに、社員の中で、「この人の言葉は、当てにならない」という、記録が、一つずつ、積み上がっていく。そして、その記録が、ある量を超えたとき、社員は、社長の言葉を、心の底では、信じなくなるのです。
これは、恐ろしいことです。なぜなら、言葉を信じられなくなった社長が、いざ、本当に重要なことを、伝えても、社員には、届かなくなるからです。「どうせ、また、口だけだろう」と。大きな信頼が、必要なそのときに、それが、ないことに、気づく。しかも、その信頼は、大きな裏切りで、失われたのではなく、無数の、小さな約束破りの、積み重ねで、静かに、溶けていたのです。社長の言葉が、軽くなる。それは、組織にとって、最も、静かで、最も、深刻な、資産の劣化なのです。
ー言葉が軽い社長のもとで、社員もまた、言葉を軽くする
さらに見過ごせないのは、この空気が、伝染することです。社長が、小さな約束を、平気で破る。その姿を見て、社員は、学びます。「この会社では、約束は、守らなくてもいいのだ」と。すると、社員同士の約束も、お客様との約束も、少しずつ、軽くなっていく。「後で、連絡します」が、守られない。「明日までに」が、遅れる。約束を、守らない空気が、組織の隅々に、広がっていくのです。
そして、その空気は、必ず、お客様に、漏れ出します。約束を、平気で破る会社に、お客様は、安心して、仕事を、任せられません。社長の、小さな約束破りは、社内の信頼を溶かすだけでなく、めぐりめぐって、お客様との信頼までも、溶かしていくのです。約束を守るという、当たり前のことが、実は、会社の信頼という、目に見えない空気の、根っこを、支えているのです。
ー小さな約束ほど、大切に守る
では、経営者は、どうすればいいのか。難しいことではありません。むしろ、当たり前のことを、当たり前に、守るだけです。
まず、「今度」「近いうちに」「そのうち」といった、あいまいな約束を、安易に、口にしないこと。言うなら、守る。守れないなら、言わない。次に、一度、口にした小さな約束は、大きな約束と、同じように、大切に、守ること。「確認しておく」と言ったら、必ず、確認して、報告する。そして、もし、守れなかったときは、なかったことにせず、「あのとき、話そうと言ったのに、できていなかった。すまない」と、きちんと、詫びること。──小さな約束を、丁寧に守るその姿勢が、社員の中に、「この人の言葉は、信じられる」という、信頼の記録を、一つずつ、積み上げていくのです。
ーその「今度」を、社員は、待っているかもしれません
最後に、お伝えします。会社の信頼という空気は、大きな決断で築かれる前に、日々の、小さな約束を、守るか破るかで、静かに、決まっているということです。
思い返してみてください。あなたが、これまで、社員に、何気なく、口にして、そのままにしてきた「今度」は、いくつ、あるでしょうか。その一つひとつが、社員の中で、破られた約束として、記録され、あなたの言葉を、少しずつ、軽くしてこなかったでしょうか。
このコラムを読み終えたあなたは、次に「今度、話そう」と言いかけたその瞬間、ふと、ためらうはずです。この「今度」を、自分は、本当に、実現させるだろうか、と。そして、軽々しく約束する代わりに、口にした約束を、必ず守ろうとする自分の姿が、もう浮かんでいるのではないでしょうか。小さな約束ほど、大切に守る。それが、会社の信頼という空気を守り抜く、最も確実で、最も静かな一手なのです。
ー勝田耕司
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