透明資産経営|なぜ"会議が多い会社"ほど、業績が伸びないのか?
こんにちは!企業の空気をおカネに変える専門家、透明資産コンサルタントの勝田耕司です。
透明資産とは、業績に影響する「空気感」を意図的に設計し運用する仕組みのこと。透明資産を取り入れた透明資産経営は、お客様との絆が深まり、従業同士の信頼関係が築きあげられ、商品・サービスの独自性が強化されます。そして、持続的成長につながる経営の仕組です。
ー会議を増やすほど、なぜか組織は動かなくなる
業績が伸び悩んだとき、多くの経営者が選ぶ対策があります。それは、会議を増やすことです。情報共有が足りないのではないか。意思疎通がうまくいっていないのではないか。──そう考えて、定例会議を増やし、報告会を設け、進捗確認のミーティングを組む。会議体を整備すれば、組織はきちんと動くようになるはずだ、と。
ところが現実は、しばしば逆の方向に進みます。会議が増えるほど、社員の表情は重くなり、現場の動きは鈍くなる。会議室にこもる時間が増えるほど、お客様と向き合う時間は減っていく。そして不思議なことに、あれだけ話し合っているのに、決まったことが実行されない。次の会議で「前回の件はどうなった」と問われ、「まだです」という答えが返ってくる。
私はこれまで多くの会社を見てきましたが、「会議が多い会社ほど業績が伸びない」という傾向は、はっきりと存在します。これは偶然ではありません。会議の数の問題でもありません。問題は、会議という場が生み出している「空気」にあります。会議は、本来、組織の空気をつくる最も強力な装置です。良くも、悪くも。
ー会議は「議題を決める場」ではなく「空気をつくる場」である
多くの経営者は、会議を「議題を処理する場」だと考えています。情報を共有し、課題を検討し、意思決定をする。──機能としては、その通りです。しかし、社員にとっての会議は、それだけではありません。会議は、社員が「この組織はどういう場所なのか」を肌で学ぶ場でもあるのです。
会議で、発言した人がどう扱われるか。意見の対立がどう処理されるか。社長がどんな表情で人の話を聞くか。決まったことがどう扱われるか。──社員はこれらを毎回観察し、無意識のうちに組織の空気を読み取っています。そして、その読み取った空気に従って、会議の外での行動を決めています。
つまり、会議という限られた時間でつくられた空気が、会議の外の何百時間もの行動を支配しているのです。だからこそ、会議の質は、会議時間の生産性だけでなく、組織全体の業績に直結します。
ー伸びない会社の会議に共通する「3つの分かれ目」
では、業績が伸びない会社の会議は、何が違うのか。伸びる会社との分かれ目を、三つお伝えします。
ひとつ目の分かれ目は、「発言の偏り」です。伸びない会社の会議では、話す人がいつも決まっています。社長と、一部の声の大きい管理職だけが発言し、残りの大多数は黙って座っている。発言しない社員は、ただ時間が過ぎるのを待ち、「自分はこの場にいなくてもいい」という空気を毎回吸い込みます。これが繰り返されると、「考えるのは一部の人の仕事、自分は指示を待つ立場」という空気が組織全体に定着します。会議は、知らないうちに、社員から当事者意識を奪う装置になっているのです。
ふたつ目の分かれ目は、「過去ばかりを扱う」ことです。伸びない会社の会議は、報告と反省に時間の大半を費やします。「先月はなぜ未達だったのか」「誰のどこに問題があったのか」。──過去の検証は必要ですが、それが中心になると、会議は重く、後ろ向きな空気に包まれます。社員は責められないことに神経を使い、言い訳を準備し、リスクを取らなくなる。一方、伸びる会社の会議は、過去の検証は手短に済ませ、時間の多くを「これからどうするか」という未来の話に使います。同じ会議でも、向いている方向が真逆なのです。
みっつ目の分かれ目は、「決めたことが、その後どうなるか」です。伸びない会社の会議では、決定が実行されません。会議室で「やろう」と決まっても、誰がいつまでに何をするかが曖昧なまま終わり、次の会議でうやむやになる。これが続くと、社員は「どうせ決めても実行されない」と学習します。すると、会議そのものが空虚な儀式になり、「会議は時間の無駄」という空気が組織を覆います。決定が実行される会社では、逆に「ここで決まったことは必ず動く」という緊張感と信頼感が、会議に張り詰めています。
ー会議を「減らす」のではなく、「空気を変える」
ここまで読んで、「では会議を減らせばいいのか」と思われたかもしれません。それも一つの方法ですが、本質ではありません。問題は会議の数ではなく、会議でつくられる空気です。少ない会議でも悪い空気をつくることはできますし、多い会議でも良い空気をつくることはできます。重要なのは、会議という装置を通じて、どんな空気を組織に流し込むかを、経営者が意図的に設計することです。
たとえば、会議の冒頭の数分を、うまくいったことや感謝の共有に充てるだけで、場の空気は前向きに変わります。発言の少ない社員に意識的に問いを向けるだけで、「全員が当事者だ」という空気が育ちます。決定事項の最後に「誰が・いつまでに」を必ず確認するだけで、「決めたことは動く」という空気が定着します。どれも、特別なコストはかかりません。経営者の意識ひとつで始められることです。
ー会議室の空気が、そのまま会社の空気になる
最後に、経営者にお伝えしたいことがあります。会議室でつくられた空気は、会議室の中にとどまりません。それは、社員によって会議室の外へ持ち出され、現場に広がり、お客様にまで伝わっていきます。
社員が黙って耐える会議をしている会社は、現場でも社員が黙って指示を待ちます。過去を責める会議をしている会社は、現場でもミスを隠す空気が生まれます。決めたことが実行されない会議をしている会社は、現場でも「やると言ったこと」が軽くなります。会議室は、組織の空気の縮図であり、同時に、空気の発生源でもあるのです。
逆に言えば、会議という場の空気を変えれば、組織全体の空気を最も効率よく変えられます。週に一度、あるいは月に数回、社員が必ず集まるその場こそ、経営者が空気を設計できる最大のチャンスです。
次の会議の前に、一度考えてみてください。その会議は、社員にどんな空気を吸わせているでしょうか。終わったあと、社員は活力を得て会議室を出ているでしょうか。それとも、疲れと諦めを抱えて席に戻っているでしょうか。会議の空気を変えることは、業績を変える、最も身近な一歩です。
ー勝田耕司
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