スペイン代表に見る成功する組織づくり ~グローバルな視点から~

2026年サッカーW杯でスペイン代表が見せた優勝は、単なるスポーツの成功にとどまらず、現代の組織づくりにおける重要な示唆を与えてくれる出来事です。スペイン代表は長らく「華麗なパスサッカー=ティキタカ」の象徴とされてきましたが、2026年大会ではその伝統を維持しつつ、選手の役割をより明確化し、戦術の柔軟性を高めた【ハイブリッド型チーム】へと進化しました。この姿は、欧米企業に多いジョブ型と、日本企業に多いメンバーシップ型の強みを組み合わせて成果を最大化する、現代のグローバル企業が目指すべき方向性と重なります。
ジョブ型は、職務記述書に基づき役割と責任を明確化する仕組みです。スペイン代表に置き換えると、ポジションごとに求められる役割が極めて明確で、選手は自らの専門性を最大限に発揮します。たとえば、攻撃の起点となる選手は「ライン間で受けて前進する」、守備の要となる選手は「相手の縦パスを遮断する」といった具合に、役割が明確に定義されています。これにより、選手同士の連携が高速化し、意思決定が迷いなく行われるのです。
一方で、スペイン代表はメンバーシップ型の強みも併せ持っています。試合状況に応じてポジションを入れ替えたり、攻守の役割を柔軟に変えたりする「流動性」は、固定的なジョブ型だけでは生まれません。選手同士が長年積み重ねてきた協働力、暗黙知の共有、状況判断の一致があるからこそ、戦術の可変性が機能します。これは日本企業が得意としてきた「総合力」「チームワーク」の価値と重なるものです。
2026年大会でスペインが成功した理由は、まさにこのジョブ型の明確さとメンバーシップ型の柔軟性を両立させた点 にあります。役割が明確だからこそ、選手は自分の強みを最大限に発揮できます。また、組織力が高いからこそ、状況に応じて役割を変えられます。この二つが融合したとき、チームは「個の力」と「組織力」を同時に発揮できるのです。
この構造は、現代のビジネス組織にもそのまま当てはまります。グローバル市場では専門性の高さが競争力の源泉となるため、ジョブ型の役割定義は不可欠です。特に、デジタル領域・国際プロジェクト・技術開発などでは、担当者の責任範囲が曖昧なままでは意思決定が遅れ、競争に勝てません。しかし、環境変化が激しい時代には、職務を固定しすぎると柔軟性が損なわれます。新規事業や顧客対応など、状況に応じて役割が変わる領域では、メンバーシップ型の協働力が不可欠なのです。スペイン代表の戦い方は、まさにこの「ハイブリッド型組織」の理想形を体現しています。選手は自らの専門性を磨きつつ、チームとしての連動性を高めることで、状況に応じて最適な役割を果たします。これは、企業が「コア職務の明確化」と「可変領域の柔軟性」を両立させるべきだという示唆を与えてくれます。
この示唆をビジネス組織に置き換えるなら、次の三点が重要になります。第一に、競争力の源泉となる領域はジョブ型で明確化することです。スペイン代表がポジションごとに役割を明確化したように、企業も戦略上重要な職務は責任範囲と成果基準を明確にする必要があります。第二に、環境変化に対応するための「可変領域」を残すことです。スペインが試合状況に応じて戦術を変えたように、企業も新規事業や顧客対応など、状況に応じて役割を変えられる柔軟性を維持すべきです。そして第三に、組織文化として「役割と責任の明確化」を定着させることが必要です。スペイン代表の選手が役割を理解しつつ柔軟に動けたのは、監督とチームが共通の価値観を持っていたからです。企業でも同様に、トップが明確なメッセージを発信し、文化として根付かせることが不可欠になります。
しかしながら、スペイン代表のようなグローバル時代に適した「ハイブリッド型組織」は一朝一夕ではできあがりません。約半年~1年間の時間をかけて、海外市場でも通用する組織を一緒につくりあげませんか?
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