見積り業務を軽視していないか
プロジェクトが失敗または混乱に至る要因の一つに見積り誤りがあります。
ゴールに到達するために何をしなければならないかという作業項目の積み上げ、そしてその作業項目を実行するために必要なリソースと期間。そういったものを見誤ってしまっては、いざプロジェクトを始めてから、あれが足りない、これも足りない、これを考えていなかった、という様なことになって、品質が確保できない、コストオーバーで大赤字、または納期遅延を起こして顧客の事業が計画通りに進まなくなる、つまりゴールに到達できないということが起きてしまいます。
見積りとは、プロジェクトがスタートする前の、ある意味プロジェクトの鍵を握るものであるのに、一方でその作業に十分な時間を確保できていないということはないでしょうか。
私は官公庁の大型案件で、10名以上のメンバーが集まり1か月近くかけて見積書と提案書を作成した経験があります。最後の一週間は合宿の様に泊まり込みで仕上げました。ここまで大規模なケースは例外としても、プロジェクトの様に新しいものを作り上げる仕事に対しては、その見積り自体を一つのプロジェクトとして捉えるべきではないかと思うのです。
プロジェクトの見積りをやれる人間は限られます。やはりプロジェクトマネージャ(PM)やそれに類する経験を一度でもしたことのある人間でないと、実現性のある見積りを作成するのは難しいと考えます。
しかしながら、そういったPMは現在進行中のプロジェクトに注力していたりするもので、その最中に新たな案件の見積り作業をするというのは、率直に言って負担が大きいものです。見積りはプロジェクトの合間に片手間で作成できるものと思ってしまっていないでしょうか。
製品単価や時間単価が決まっていて、それに単に数量を掛け算して出すだけの様な見積りであるならともかく、PMが見積もらなければならない案件は、それなりに複雑で時間を要するものとなるでしょう。決して片手間でできるものではありません。
それなのに、現在進行中のプロジェクトへの影響は発生させずに新たな案件の見積りを求めているとしたら、その組織と管理者、経営者は見積りを軽視していると言わざるを得ません。繰り返しますが、プロジェクトにつながる様な見積りは、それ自体がプロジェクトと捉えて進めなければならないものなのです。
その一方で、見積りというものは、必ずしも受注につながりません。時間と労力を注ぎ込んで作成しても、それが無駄になってしまう可能性があります。それが、見積りに多くの時間を捧げづらい要因でもあります。
だからと言って、前にも述べたように、実際にPMとして担当する以外の人間が、後に待ち受ける事態を考えずその場凌ぎでできそうにない見積りを作ってしまっては、混乱プロジェクトの種を蒔くことになってしまいます。
受注は企業活動の最優先事項ですが、闇雲にすべての見積りに同じ様に労力をかけるのではなく、優先度をつけて取捨選択するのも組織の管理者や経営者の役割です。あるいはそう言ったプロセスを作り込んでおく必要があります。
あなたの組織では、プロジェクトの渦中にあるPMに無理に見積りを作成させ、進行中のプロジェクトを危険に晒す様なことをしていませんか。見積り自体がプロジェクト相当のものであるのに対し、片手間でできると思って軽視していないでしょうか。
関連提言:作業時間の適切な見積り(2)
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