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マーケティングを学ぶほど経営が苦しくなる理由

SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所

代表取締役 

経営革新コンサルタント。イレギュラー対応を標準化することで、ライバル不在で儲かる、「特別ビジネス」をつくりあげる専門家。倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業を支援。イレギュラー対応を仕組みで廻して独自の市場をつくりだす画期的手法に、多くの経営者から絶大な評価を集める注目のコンサルタント。

世の中はこれだけ目まぐるしく変化しても、コンサルティング業界でクライアントに指導されている経営戦略やマーケティングの内容は数十年ほぼ変わっていないというのが実情です。

これは、その内容が本質的な原理原則だから変わらないといったカッコいい話しではなく、指導する側の多くがサラリーマン上がり、もしくはコンサル会社の雇われ社員であるため、教えられたことをそのまま指導するしか術がないということの表れかと。

ビジネススクールや大企業の研修でいまだ受け継がれている古典的なマーケティングのフレームワークなどは、中小企業の経営者にはなじみが薄いため、なんとなくもっともらしく、価値のあるもののように見えてしまう部分もありますが、実際には今の時代にはそぐわないばかりか、それらに依拠するとかえって経営上マイナスとなってしまうことにもつながります。

例えば「競合と差別化するにはポジショニングが重要だ」という話し。ポジショニングとは大きな定義でいうと「特定のターゲット顧客層に対して自社の差別化のポイントを訴求し、他社とは違うと思ってもらうための活動」ということ。これは定義上は間違っていないというか、「差別化するには差別化ポイントが必要」と言っている(何も言っていない?)ようなものですが、問題はその手法の中身です。

ポジショニングをしっかりやりましょうと言って大抵出されるのが「ポジショニングマップ」と言われるフレームワークです。その定義をネットから拝借すると、「特定の製品サービスの特徴を明確化するために、競合も含めた商品サービスのポジションニングを、2軸のマトリックスで可視化したもの」というものです。例えば「価格」という縦軸と「サービスの良さ」という横軸で業界をマッピングし、競合と自社がどのあたりに位置するかをプロットする(点を打つ)手法です。

こういったフレームワークをつかって自社の立ち位置(ポジショニング)を決めていくと、一見競合と差別化できているように見えるのですが、実際は取り決めた2軸(この場合は価格とサービスの良さ)の平面的な切り口でしか差別化要素を考えていないことになり、実際は競合と大して差がないというか、俯瞰してみると結構似ているということになってしまいます。

ライバルと差をつけようと意識するほど似てしまう。いわゆる「差別化の罠」、哲学的にいうと「類似は差異に先行する」という現象です。

こういったフレームワークが有用とされていた数十年前は画一的な市場が右肩上がりに拡大する「大きな物語の時代」で、こういった2次元的な差別化でも成り立っていたわけですが、いまのように世の中の価値観が多様化され、業界という垣根も曖昧になっている「小さな物語の時代」には、もっと多面的で次元の異なる差別化が求められます。

ポジショニングマップの文脈でいうと、競合をどこにもプロットできないような軸を見いだしていく必要があります。つまり敵と同じ土俵に乗らないということです。

このように言うと、「それってブルーオーシャン戦略ですね?」と言われることがありますが、そうではありません。ブルーオーシャン戦略、つまり競合がおらず血が流れない静かな青い海で戦う。そんな市場がそうそうあるものではないですし、あったと思ったら敵どころか客もいないってことが大半です。

ブルーオーシャンという幻想を求めるのではなく、主戦場であるレッドオーシャンで敵とまったく違う戦い方をすることが競合を無力化するということにつながります。例えるならば、自分だけが海から陸にあがって高台から大砲を打ち込むようなやり方です。

血の海に社員を放り出し、精神論で戦わせるやり方はもう続きません。今ほど自社の強烈な個性が必要とされる時代はなかったでしょう。知恵を絞らねばなりません。そして知恵を絞るというのは使い古された古典フレームワークを学ぶことではないのです。

大企業では経営企画の人たちが社内資料をそれっぽくするために、こういったフレームワークが重宝されます。しかし、中小企業の経営者に「経営ごっこ」をしている余裕はありません。お勉強としてのマーケティングや経営戦略など捨て去り、他と比べようのない自社の形をつくり、お客様の期待をいい意味で裏切っていきましょう。

 

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