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「本当の結果を生む」評価基準と「カタチばかり」の評価基準の違い

  ホスピタリティビジネス 船坂光弘 SPECIAL
船坂光弘 SPECIAL

ホスピタリティビジネスコンサルタント

ザ・ホスピタリティチーム株式会社 代表取締役 船坂光弘

「お金になるホスピタリティビジネス」構築の専門コンサルタント。ホテルやウェディングビジネスのみならず、異業種のホスピタリティを軸とした新ビジネス立ち上げも指導。

当コンサルタント開催セミナーがあります。

いつの時代も、社員は自分に対する正当な評価を会社からして欲しいと願っているものです。

私がコンサルティングでお邪魔する企業でもスタッフヒアリングの際に声として多いのが「自社には評価制度がない」、「評価基準が曖昧で不明確」という不満の声があります。

一方で評価制度のある企業でスタッフヒアリングしても「自分に対する評価が正当ではない」というスタッフも少なからず居ることも事実であり、「世の中に完璧な評価制度は無い!」とよく言われますが、評価制度があれば良いというものでも無さそうです。

私の前職のホテルマン時代にも評価制度はあり、第一次評価者として部下の評価をすることも、上司から自分を評価されることもありました。

その時期になると、総務から評価用紙が配られ、

「また、この時期が来たのかぁ~」

「そういえば半年前にこんなこと書いたなぁ・・・」と思い出しながら、

日々の仕事の忙しさの中で少々面倒くさいくらいな感覚で自己評価や部下の評価をしていた記憶があります。

従って、これによって自分の評価がランク付けされて給与や賞与に多少反映されていましたが、今思うと、この評価制度の評価を上げる為に必死に頑張っていたかというと、年2回の行事として行っていただけで、この評価制度により、自分自身のやる気やモチベーションには繋がってはいませんでした。

人事評価の内容は、会社として期待すること、業務や役職における期待することを明確にし、誰もがその基準を理解し、それに沿った行動をすることで評価されるようになると共に、会社の利益を最大化する為に、売上を伸ばす等の業績による貢献の為に、目標値を決めて、それに対してどこまで達成できたかを評価する。

こんなことが盛り込まれています。

そしてこれらの配点を決め、例えばA~Dランクまでスタッフを振り分けて評価し、給与や賞与に反映させる制度が多く、これによって報酬が多い人も居れば少ない人も居るといったものです。

分かり易く言えば「会社が期待した通りに働いた人は評価が高く」、

「会社の期待以下の人は評価が下がる」という仕組みです。

企業として運営する以上、当然この考え方は必要で、これが無ければ統制が図れないというのも分かる一方で、ただ自分の報酬を得る為に会社からの期待を押し付けられて、腹の底からの自分のやる気やモチベーションに繋がっているかと言えば疑問が残ります。

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今まではそれで良かったかもしれませんが、これからの時代は、人財不足による少数精鋭で、且つ生産性を向上させるために、各スタッフの力を主体性や自発性を伴わせて120%発揮させることが重要です。

従って、現状の評価制度が、その為の効果的なツールになっているか?

という視点で考えることが必要です。

但し、今の評価制度を否定するつもりもなく、会社としてのあるべき人財、期待する業績を明確にすることは重要ですが、折角、時間とお金を使って実施する仕組みなので、よりスタッフひとりひとりの能力を伸ばすような評価制度に運用面でアレンジすることが必要だと考えます。

それでは、スタッフの能力を引き出す人事評価とはどのような視点が必要なのでしょうか?

それには、5つ重要な要素があります。

➀ 他人から与えられた目標ではなく、自分で決めた目標であること

人事評価制度において、自分で目標設定をする欄は確かにありますが、自分が設定するからといって、「やりたい目標」になっているかどうかで言うと、あくまでも「自分が良い評価を受ける為の目標設定」をしているのに過ぎません。

将来の「なりたい自分」という目標があり、それに向かって「来年までにはここまで行くぞ!」と自分自身が能動的に仕事ができる目標設定をできるようにすることをお勧めしています。

あるホテルのシェフは「将来、自分の店を持つ!」というなりたい自分があり、今年1年で「ディナーの責任者を任されるようになる!」。

このような目標設定は、本人のやる気を120%引き出せますが、「アシスタントマネージャーの職務を全うする」といった目標設定ではやる気が湧きません。

➁ 他の人との対比ではなく、過去の自分との対比であること

これもよくあるのですが、同期のAさんはここまでできているのに、お前はまだ、ここまでしかできていない。

従って、会社の評価はここまでしかできない。

企業目線からすればAさんのほうが会社に貢献しているので評価が高いという考え方になりますが、大切なのは、誰かとの比較ではなく、昨年に比べて、この彼がどこまで頑張ったか、成長できたかどうかです。

私も色んな企業をサポートしている中で、それぞれのスタッフが開花するタイミングはそれぞれである

という確信を持っています。

それは、本人のスキル、意識、モチベーション等、タイミングは人によって違います。

あるサービス業の新人ショップ店員に対して店長から「船坂さん、このスタッフはどうしても言われたことができない、何とかしてください。」と相談を受けたことがありました。

確かにその当時は一生懸命ではあるものの要領も悪く、困ったスタッフのひとりではありました。

5年経った今、彼女は10人の部下を持つトップクラスの業績を生み出す店舗の店長です。

もしも、あの時彼女に落いんを押して、見限っていたら今はありません。

そのような遅咲きのスタッフを私は沢山見ています。

従って「できるスタッフと比べる」のではなく、「過去の本人と比べる」ことが重要で、過去の自分に比べてどこまで成長できているかを評価されれば、「来年はここまで行こう」というイメージもつきますが、「デキるAさんのようになる為に頑張れ!」と動機付けても、成果や効果は生まれません。

➂ 結果がすべてではなくプロセスを評価する

この時代に、結果を求めることは当然大切なことではあるものの、ひと昔前のように「これをやれば、このような結果が得られる」という方程式通りに簡単にいく時代ではありません。

従って「短期的な結果がすべて」という評価制度では、日々、目標に向かって一生懸命やっているスタッフにはやり切れない想いが芽生えます。

きちんとプロセスも見て、やるべきことをきちんとやっていたのか、チャレンジしていたのかも評価にきちんと含めるべきです。

➃ 愛のあるフィードバックが伴うこと

評価制度で出た結果に対して、本人の受け取り方への不安から、フィードバックを避ける企業も少なくありません。

自分がどのような評価であるかも分からずに、給与明細を見ても人より多いのか、少ないのかも分からない評価制度では意味を成しません。

上司側も評価をする以上は、本人に胸を張ってフィードバックできるだけの責任が必要ですし、普段から本人を見ていないと正当な評価もできません。

フィードバックは、決してフィードバックすることが目的ではなく、そのフィードバックを部下が受け入れて、部下自身の意識変容、行動変容を促し、より良い評価を得られるように成長していただくことが重要です。

それには「愛」を持ってフィードバックできているかが重要であり、ある企業は部下へのフィードバック時に部下に普段の感謝を込めた手紙を添えるといった企業もありました。

そのくらいフィードバックの仕方は重要で、やり方によっては逆効果にも成り兼ねません。

➄ 短期的ではなく長期的な視点も持つ

大概の場合は、半期の評価をするケースが多いのですが、当然この半期で何ができて、何ができなかったという視点で評価することも重要ですが、前述のように、「今の結果がすべて」「今の部下の能力が物足りない」という視点だけで評価してしまうと、その人財を疲弊させる、あるいは失う可能性もあるという、諸刃の剣であるということも評価する側はしっかり理解をしておく必要があります。

「今回はこのような結果だったけど、こんな良い芽も見えてきた」

「この半年間では目に見える成長は見えなかったけど、ここを意識してやっている姿は評価している」等、長期的な視点をフィードバックに加えるなどの工夫も必要です。

このように人事評価は「部下の評価するすること、給料を決めること、部下の〇×を付けることが目的」ではなく、「この評価を通じて、本人のやる気や成長を促し、それを企業の繁栄に繋げる」ことが目的であり、それをはき違えている上司が多すぎるのです。

それが「本当の結果を生む」評価基準と「カタチばかり」の評価基準の違いであり、

この考え方で結果も天と地ほど変わります。

あなたの会社の評価基準は結果を生めていますか?

 

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【経営コラム】ホスピタリティで新ビジネスを生み出す視点
船坂光弘

ホスピタリティビジネスコンサルタント

ザ・ホスピタリティチーム株式会社代表取締役

船坂光弘

執筆者のWebサイトはこちら http://www.thehospitalityteam.jp/

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