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組織を破壊するのは○○の社員

  組織の成長加速 木村英一 SPECIAL
木村英一 SPECIAL

組織の成長加速コンサルタント

株式会社グロースサポート 代表取締役 木村英一

組織の成長加速を促し、業績躍進を実現させる辣腕コンサルタント。これまで130社以上の企業において、経営者のコンサルティング、経営幹部、経営リーダーの育成に携わる。組織とリーダーの成長段階を知り尽くし、経営者と同じ目線で語ることのできる希有なコンサルタントとして活躍中。

先日、この7年間で会社の人員が10倍になった企業のT専務から扱いに困っている幹部社員に関しての相談を受けました。

2人とも創業間もない頃からのメンバー。創業期といえば、売上げを上げることが何よりも大事。会社とはいえ、明確な仕組みもルールも確立しない中、会社の問題を声高に批判していくメンバーも1人や2人ではなかったそうです。

そんな中にあって、この2人の幹部は、会社の創業期を支えた功労者であり、社長も専務も、なんとかこの2人の功績に報いてあげたい、とお考えであるとのことでした。

ところが、ここ2-3年、会社が急拡大し、一気に社員が増えている中で、この2人の幹部の実力不足が白日の下に晒されるようになりました。誰の目にも明らかにこの2人より実力が上の社員の存在が明らかになってきたのです。

実力者としてよく名前が挙がるのは、3人だそうです。1人は中途採用で2年前に採用された人でしたが、もう2人は、問題になっている経営幹部の部下達でした。

2年前にT専務が、現在問題になっている経営幹部が組織の成長を阻害している原因の一つと考え、2人を新設部門に異動させたそうです。すると、本当に重しがとれたように、もともと二人がいた部門の部下が奮起し、会社の成長を支えるような案件を次々と獲得してきたそうです。

2人の若手リーダー達は、売上げの規模こそ、まだ幹部が作り出した累積売上には追いつかないものの、人の育成実績、企画力、提案力、物事の判断基準といった組織を動かすリーダーとしての資質において、そん色ないばかりか、元上司である二人の経営幹部以上だと感じる、というのが社長とT専務の意見でした。

このまま経営幹部の成長が停滞するのは、本人達のみならず、組織にとっても大きな問題でどうにかならないかと、大変お困りなご様子でした。

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こうしたお話は、T専務から頂いたのが初めてではありません。ご支援する企業においてもようあることです。

組織が拡大し続けると、役職者のポストが増えます。成果を上げていれば、自然と売上げ貢献、利益貢献している人がその新しいポストの役職者になるわけです。

会社の成長スピードによりますが、役職者といっても、マネジメント専任となるケースはまれです。自らの数値責任を負いながら、チームを運営していく時期が創業期の会社であれば、少なくとも3-4年はあります。

このプレイングの時期をどのように過ごすのか、それが、その後の活躍の範囲を決めます。
先を見据えるのか、目の前だけを見ているか、の違い。最初はほんの些細な違いなのですが、5年単位でみると、取り返しのつかない違いを生み出します。


これまで経営幹部の方、幹部候補の方々との関わってきました。こうした方々のことを振り返ってみると、マネジメント志向か、専門家志向か、の2つに分けることができます。

初めからマネジメント志向の人はいません。いても、かなり少数派です。10%未満の印象です。

結論から言うと、最終的に経営幹部として、大成する人は徐々にマネジメント志向に変化する人達です。

プレイングマネージャーの時に、自分の数字も、部下の数字も両方追いながら、ジレンマにぶち当たります。その時、試行錯誤の末に、短期的な成果だけに目を奪われるのではなく、中長期的な自分の成長のために、使う時間の比重を少しずつ変えていきます。

やがて、「マネジメントの比率を増やす方向に動いていくほうが良い」とはっきり認識し、マネジメント志向に変わっていく、、、というわけです。

一方、もう一つの方は、結果的に自分の成果だけに大部分の時間を費やしてしまう人たちです
そのようになってしまう理由の一つは、自分の将来を見通すという意識の希薄さです。目の前のことだけを見ている人は、必ずと言っていいほど専門家志向が強まります。

先ほどにも書いたように、最初からマネジメント志向の人は稀なのです。ある経験年数が経つと、一度はマネジメント機会に遭遇するのですが、多くの人にしてみれば、マネジメントは「面倒」なことです。

更に、マネジメントで手痛い失敗を一度ならず、二度三度経験すると、「自分はマネジメント向きではない」と簡単に結論づけてしまいます。消去法的に、、目の前の専門的な仕事に固執していく、というわけです。


個人の生き方としては、何が正しく、何が間違っているという絶対基準はありません。しかし、組織の絶対基準は明快です。あらゆる組織が生き残るためには、生産性を維持し、高めることが条件です。生産性の停滞は、組織にとって死を意味します。

組織が生産性の向上のカギは、組織内に常に新しい知識と新しい技術が蓄積され、それらが上から下へと組織全体に伝播し、それが循環すること。

そのためには、組織内の熟練者が自ら得た新しい知識、技術を下の人に伝達していくことができなければなりません。熟練者が現場に立ちづけることは、組織の生産性という観点からは、
あまり好ましいことではないのです。


30代前半には、実感できないことですが、人は加齢と共に、単位時間当たりの行動量と質は着実に劣化していきます。専門家としての個人の生産性は、40代、50代になると、30代に劣るのです。

少々残酷ですがこれが現実です。多くの人は、この現実を受け止めません。人間が生きていく機能の一つという学説もありますが、自分だけはそうならない。これを固く信じている人の方が多数派です。

こうして、30代で将来に目を背け、目の前の事に逃げ込む人は、40代、50代でも、目の前のことにしか取り組めない社員となってしまいます。そして、完全に組織のお荷物になってしまいます。


放って置くと多くの人がお荷物になってしまうという過程を説明してきました。

更に悪いことがあります。それは、多くの人は「悪気なく」そうなるということです。つまりこれは、個人任せでは解決できないこととして、とらえるべきなのです。

組織の生産性を向上させ拡大するために、40代、50代が組織のお荷物にならない方法を仕組みとして、経営の中に織り込まなければならないのです。

人口減時代に突入した今、この仕組みを持たない組織は、座して死を待つと言っても過言ではないと、私は思います。


なんだかどんよりした話の展開になっていましたが、最後に朗報があります。それは、マネジメントは技術だということです。

技術としてのマネジメントを学んでいないために、多くの人は、当たり前に失敗します。泳ぎ方を知らずに、海に飛び込めば必ずおぼれます。これと全く同じことです。

技術としてのマネジメントを知らなければ、失敗し続けることで、面倒なもの、嫌なもの、そして、とても手痛いものとして、目の前の別なこと、自分の得意なものに逃げ込んでしまうのです。組織にとっても、個人にとっても誠に不幸なことです。


放っておくと、40代、50代の多くは、組織を衰退に引きずりこむ、衰退メーカーに誰しもなり得るのですから、今すぐ手を打たないとなりません。今は若くエネルギッシュな20代、会社の中心となって活躍する30代も、必ず40代、50代を迎えるのですから。


さて、御社の場合は如何でしょうか?
30代の社員、40代の幹部候補生、50代の経営幹部も、将来を見据えて組織の生産性を維持、向上するための技術を身につけているでしょうか?

それとも、無為無策のまま、大問題となるはずの原因を知らず知らず作り続けているのでしょうか?

 

経営者のための、「組織の成長加速法」
木村英一

組織の成長加速コンサルタント

株式会社グロースサポート代表取締役

木村英一

執筆者のWebサイトはこちら https://www.change-growth.jp/

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