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数字を読む ― 820億円 ―

白川博司
SPECIAL

通信販売コンサルタント

株式会社四方事務所

代表 

通販戦略なくして事業の成長はない! 20年間にわたり、300社以上の通販立ち上げに携わってきたプロコンサルタントが、経営者のための通販視点とこれからの事業発展の重要戦略について提示。

この数字は、ファーストリテイリングが設定している2019 年度の国内ユニクロのEC 売上高である。国内ユニクロ事業におけるEC 売上高は、ここ数年、前期比30% 前後で推移し、その売上構成比は7.3%(前期は6.0%)に上昇。2019 年度のEC 売上高についても、引き続き30%増の目標を掲げている。

EC 事業の好調は、アプリ会員の増加によりリピーター数が拡大したこと、そしてEC サイトで注文した商品を店頭で受け取ると、送料が無料になる配送サービスを2018 年4 月に開始したことが大きい。EC サイトを利用した場合、購入金額が5,000 円未満だと配送料が450 円かかるが、店頭受取サービスを利用すると、購入金額に関わらず送料無料となるのだ。

店頭受け取りサービスの利用者は、注文件数の約1/ 3 まで増加しており、EC 売上を押し上げている。季節変動に左右されがちな店舗に比べて、セール頼みによる減収減益になる心配が少ないEC 事業の重要性は増すばかりだ。

また、オンラインショップの決済手段として、「Apple Pay」を導入したり、人工知能(AI)を活用したチャットボット「UNIQLO IQ」の運用も寄与している。

「UNIQLO IQ」はアプリの中で起動するAI コンシェルジュで、会話形式で商品情報や着こなしの検索、店舗の在庫確認、オンラインストアでの購入などをサポートし、よくある問い合わせへの対応や、必要に応じてカスタマーセンターのオペレーターへの接続も行っている。

EC 専用の有明倉庫に在庫がない場合は、地域倉庫からの配送もでき、店舗・倉庫・EC の在庫共有化により、オンラインとオフラインの統合を加速させている。ユニクロは、企画・製造・物流・販売のすべてを一貫して行っている強みがあり、柳井正会長兼社長は「早期にEC 比率30%を目指す」と自信を見せている。

海外事業も好調なユニクロは、グローバルにおいても、EC 比率を現在の9%から2022年度には2 倍以上にすることを表明しており、EC 事業を成長ドライバーに、スペインの「ZARA」やスウェーデンの「H&M」を急追し、世界ナンバーワンの座を狙っている。

 

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