みなし年齢を活用した中途採用時の賃金の決め方
中小企業で採用する際、「経験の無い」社員の方を中途採用する場合があります。
その時の賃金は当然のことながら、高額な賃金になることはありません。
経験が無いからです。
しかしこれを上手に説明することは非常に難しいでしょう。
この賃金の決め方に「みなし年齢」という考え方を採用することによって、この賃金額を簡単に説明することができるようになります。
それは、基本給に年齢給と成長給の両方を設定し、年齢給に関しては「みなし年齢」という考え方を持つことです。
たとえば、それは35歳で採用した社員を18歳とみなし、18歳の年齢給と成長給1等級の1号俸の金額を出すことによって16~20万円という賃金額にすることができます。
この金額が、経営者にとって支給したいと思っている金額です。
その金額を支給するためにはこの年齢給が必要です。
このみなし年齢は新卒採用では一般に使われている方法です。
これを中途採用でも活用します。
中途で採用した社員の昇給はほぼ年齢給だけの昇給になるでしょう。
たとえば35歳で採用したとすれば、前職では昇給5000円あった可能性があります。
しかし今回は年齢給だけの昇給になるため、昇給額が年齢給3000~4000円の昇給になるでしょう。
このとき、中途社員から次の質問が出ることがあります。
「前勤務先では毎年5000円~6000円は昇給されていたのに、どうしてこの会社では昇給が3000円しかないのですか?」
この質問に対して簡単に答えることができます。
「あなたがまだこの会社では経験が無いため、ほとんど昇給することはできません」
「しかしそれを前提に採用していますので、成長給は昇給はほとんどありませんが、年齢給の分だけ昇給をしたのです」
このときにその説明を受けたこの経験のない中途採用の社員は「そうでした。ありがとうございます」と答えるでしょう。
転職しても毎年同じような昇給額があると思って勘違いをしている方は多いのです。
それでもきちんと仕組みさえあれば、昇給に感謝を持って受けとれることができるようになります。
中途採用時の、このみなし年齢は今の中小企業の経営者の考え方にぴったり当てはまる考え方と言えるでしょう。
これによって経営者も納得し、中途で採用する経験のない方も納得した形で賃金・昇給を決めることができます。
大事なことは本人が納得すること。
さらに経営者が納得すること。
両者が納得されていない限りはどんな人事制度を作っても継続的に運用できることはないとお考えください。
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