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社員満足と顧客満足の関係は、女性活躍と業績の関係と似ていて少し違う。

SPECIAL

マインドポジション経営コンサルタント

株式会社アトリオン

代表取締役 

マインドポジション経営コンサルタント。社員と顧客の心に占める貴社の位置づけ―「マインドポジション」をアップし、業績向上を目指す仕組み構築のスペシャリスト。30年にわたる中小企業のブランディングと組織開発の経験を背景に、マインドポジション経営実践プログラムをオリジナル開発。時代に合わせて組織を刷新したい経営者や、2代目、3代目社長、社員の力を引き出して社内の体制を再構築したい経営者に高く評価されている。新しい切り口に基づく事業の見直しと組織の再開発を通して業績の2ケタ成長を実現するなど、持続可能な企業の成長に向けた力強い支援に定評。株式会社マインドポジション経営研究所代表取締役

世の中には互いに関係がありそうだけれど、本当のところはどういう風に関係しているのかよくわからないというものがあります。代表例が、女性活躍と業績の関係です。

女性が活躍したから業績が伸びた、という因果関係が成立するのは、例えば女性対象の商材を扱っていたり、女性がメインの顧客だったりした場合です。女性の感覚に沿ったきめ細かな商品開発やサービス提供の方法が好感を集め、女性顧客を中心に支持を集めた結果、業績が伸びる、という流れは大いに納得できます。

逆に、業績が良くなったので事業に余裕ができ、社会的な女性活躍推進の風潮もあることだしと、半信半疑で女性に活躍の機会を与えてみたら、意外に力を発揮して業績が良くなった、という、逆の流れもあるかもしれません。

結局のところ、どちらもありうる話で、片方が正しく、もう片方は間違っているとは言い切れないのです。しかしながら、共通していることが一つあります。それは、いずれも従来なかった認識の変化があったということです。

「女性が活躍したから業績が伸びた」の話で言えば、「女性向けの商品であろうと何であろうと、従来通り男性が開発していればよい」という認識が、「女性向けは女性が開発したほうがうまくいく」という認識に変わった、その結果が吉としてでた例です。

「業績が伸びたから女性が活躍した」の例でいえば、「女性はサポート的な仕事で能力を発揮する」という認識が、「女性はリーダー的な仕事でも能力を発揮するかもしれない」という方向に変わった末に成果が出た例です。

因果関係の矢印がどちらに向いているかわからないのは、ES(社員満足)CS(顧客満足)の関係も同様です。ESが高まった結果、モチベーションが上がり、顧客への働きかけがポジティブになってCSが上がるのか。それとも、CSが上がった結果、業績が上がり、余剰の利益を使って社員の待遇を上げた結果、ESが上がるのか…?

女性活躍と業績の関係と異なるのは、ESの定義をどうするかによって話が違ってくる点です。

ESを給与や休日などの待遇面に絞れば、これらはかの有名なアメリカの臨床心理学者ハーズバーグが言う「衛生要因・動機付け要因」のうちの「衛生要因」に当たりますので、待遇を改善してもマイナスがゼロになるだけ、つまり社員の意欲を引き出す動機付けの要因になりえないという理屈が出てきます。

ところがESを、人が本来持つ承認欲求や社会欲求などの高次の欲求に応える満足感や、もっと言えば幸福感といったものと定義すれば、動機付けとなりうる理由はふんだんに出てきます。人は社会的な存在なので、他から承認されれば嬉しいし、前向きに進もうという意欲も沸いてきます。他人から親切にされれば、やはり心が温かくなって、自分も他の人に親切にしようという気持ちが芽生えます。

つまり、ES向上をCS向上に結び付けるためには、メンタル面での充足度に着目していく必要があるわけです。ここにも「ESを上げる=待遇面に配慮する」という旧来の認識から、「ESを上げる=社員のメンタルを充足させる」という認識への変化があります。

私が提唱するES-CSチェーンは、後者のESを高めることで、人材の動機付けを行い、そのベクトルを顧客満足もっと言えば、顧客に対する施策に反映させていこうというものです。

本来、仕事は楽しいもので、私も長い間、仕事のプロセスと成果からエネルギーをもらってきました。組織のなかであるべき仕事の楽しさを構成メンバー全員が取り戻すためには、いくつかの条件を満たす必要がありますが、意義ある仕事と思ってやっています。

 

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