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商品パッケージリニューアルの具体策

SPECIAL

商品リニューアルコンサルタント

株式会社りぼんコンサルティング

代表取締役 

商品リニューアルに特化した専門コンサルタント。「商品リニューアルこそ、中小企業にとって真の経営戦略である」という信念のもと、商品の「蘇らせ」「再活性化」「新展開」…など、事業戦略にまで高める独自の手法に、多くの経営者から注目を集める第一人者。常にマーケティング目線によって描きだされるリニューアル戦略は、ユニークかつ唯一無二の価値を提供することで定評。1969 年生まれ、日本大学芸術学部文芸学科卒。

いま時代は「商品パッケージ」の分岐点であり二極化へ進んでいます。古いままで走ってきた企業と商品リニューアルの努力を続けてこられた企業との分かれ道です。成功している企業では、パッケージは商品の顔。パッケージは商品クオリティの一部。そして、企業にとっての営業マンであり販売戦略を意味する。パッケージは「ブランド」である。そう理解し、実践し続けています。

「八つ橋」というお菓子があります。京都みやげベスト5に入る誰もが知っている銘菓で、京都駅構内には「八つ橋専門ショップ」があります。先日京都へ行きました。「おみやげは生八ツ橋で」。そう子供と約束していたので帰路このショップへ行きました。

さまざまな八つ橋が山のように並んでいますが主たるメーカーは5社。競合メーカーがギュッと隣り合う厳しさです。どの会社も「うちが老舗です」とマークやコピーで訴えています。が、わたくしは「どこが一番おいしそうかな」という視点でパッケージデザインを見つめます。だいたいの味のイメージがあるのでまさに「パッケージ買い」です。

しかし、いくらパッケージを見ても特長が感じられないのです。仕方がないので、パッケージを裏返し表示ラベルを見て「原材料」で選ぼうと考えました。が、それもほぼ同じで違いがわかりません。そうこうしているうちに新幹線の時間が迫ってきました。仕方なく500円くらいのものを全部買って持ち帰ることにしました。

帰宅しパッケージごと食卓に並べました。子はひとつひとつのパッケージを見やりました。そしてひとつひとつを手に取りました。そして、選びました。「パッケージではわからないから重いのにした」と。子供視点ではありますが「パッケージではわからない」という言葉がとてもリアルです。

商品やサービスが成熟している時代です。どこの商品もそこそこ美味しく工夫されています。わたくしたち生活者はそのことを非常に実感し、よく理解しています。それゆえ「もっと美味しいもの」または「もっと良質なものを」とネットで検索します。また「もっと見た目が素敵なもの」「もっと目新しいもの」と出会うために、リアルな売り場に足を運びます。

口にするものが何でも美味になった今、だからこそパッケージが命です。商品リニューアルのポイントとしては、社長ご自身が売り場に足を運び「隣り合う競合他社の商品と自社商品を見比べることで、どんな気持ちになるか」ということが非常に大事だとお伝えしています。

自社の商品をパッと見たときに「誇り高い気持ち」になるかどうか。または見劣りし「隠してしまいたくなるような気持ち」になるのか。会議室ではなく、売り場でどう感じるか、経営者がその現場感覚をお持ちになることがとても重要です。

わたくしたちは買い物をするとき、その心のうちには必ず「葛藤」があります。お土産であればまずは「相手が喜んでくれるか」と思いやります。それから次第に「自分は恥ずかしくないものを選んでいるかな」「こんなもの、、、と相手に引かれないもの、気が利いていると思われるかな」といった気持ちになります。

これは相手の喜びよりも「贈った自分を良く見せたい」という自利の念です。この自分の欲望に「葛藤」が生まれます。素敵な商品を買うことでその「葛藤」を納得させ、チャラにします。「素敵なデザインだな。価値のあるものを買うことができて良かった。これで良いんだ」と。

先ほどの「八つ橋」の例で考えれば、どの会社もパッケージデザインが「古くさい」「おいしそうではない」「ありきたり」な印象で、結果わたくしたちお客は「選べない」「選びにくく」なっています。「ブランド」が際立たず「価値」を感じにくい商品になっています。結果、「もっと良いものないかしら」と売り場から離脱してしまいます。

隣に並ぶライバル商品と見比べてください。

・色、書体、イラスト等 古く感じませんか?

・全体の印象が見劣りしてはいませんか?

・胸を張れるデザインでしょうか? 

・ブランドを支えるデザインになってますか?

以上のように、社長ご自身が自社商品を売り場で確認しましょう。隣り合う競合他社が売れに売れていればいるほどラッキーです。競合とは足を引っ張り合う関係ではなく、堂々と戦って互いを高め合う関係です。他社とのギャップに気づけば、あとは実践です。

日々の変化に対応し商品リニューアルしていかなければ、いつの間にか古びます。お客様と大きくズレてしまいます。会議室ではなく、売り場で他社と並んだ時にはじめて「気づき」ます。時代が成熟し、商品サイクルが短くなっている時代、売り場で気づいた時こそがリニューアルをスタートさせるタイミングです。社長自らが商品パッケージへの感覚を研ぎ澄ませ、売り場での「眼力」と「判断力」を高める仕組みを社内に構築してゆくことが求められています。

 

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