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業績悪化を招く経営者の失態と回復のポイント

SPECIAL

<実戦型> 経営デザインコンサルタント

株式会社日本BIP&コンサルティング・サービス

代表取締役 

<実戦型> 経営デザインコンサルタント。日本で唯一、世界ブランドのノウハウを日本の中小企業に落とし込み、経営をデザインして、即戦力で活躍する人財育成と組織づくりの専門家。世界的半導体製造装置メーカーに20年以上勤務する中で世界14ヵ国、50以上のプロジェクトを世界トップ企業との現場業務に従事。経営者が組込まれなくても回る事業の機能デザインから人財育成を含むオペレーションで大きな成果を上げている。

今週の提言

成長軌道に乗った経営者は、社員の育成と社内体制に着手する。衰退軌道に乗った経営者は、社員一人ひとりを執拗に管理しようとする。

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1年前にご相談されたI社長。その後、ふっと思いどうしているか気になり、訪ねることにした。

実は、コンサルティングを頼まれたのであるが、原因が経営者にあることが分かり、「全ては社員のせい」「社員が無能だから」など、責任を全て周りに押し付け叱咤激励をしていることが分かり、お断りした経緯がある。

訪れると、当時スタッフとして働いていた殆どが辞めてしまい、中には何十年と経営者と共に苦労した役員をやっていた方まで辞めてしまっていた。

業務の引継ぎなどはされたとは思うが、その後顧客が激減し、経営が傾いてきているとの音であった。

当時コンサルタントを呼び、高級志向へとシフトしている最中であったが、経営者からの依頼内容は、「売上」と「高級志向」への転換であったが、今回訪れた時には当時と大して変わっている所はなく、悪化しているのである。

経営者としての失態

訪れた先で、久々に見慣れた景色を歩いて楽しんだ先で、たまたま寄った喫茶店で、I社長の所の元従業員の方と出会った。懐かしい話から始まり、現実の話を聴くと、経営者の社員に対する方針と接し方に問題があることが分かった。

その内容を聴いて耳を疑った。その内容とは下記のとおりである。

  • 皆の前で叱咤激励をし、命令に服従しなければ全員の前で罰則を与える。
  • 経営者の言うことは絶対である。

ご主人と奥様の家族経営であるが、ご主人が降り奥様にバトンタッチしてから社員やパートなどスタッフ全員への対応が激変した様であった。

このようなことをされて嬉しい人などいない事は、自分をその立場に置けば分かるのであるが、このような会社のスタッフの現場力は経営者が思っている以上に高いもので、I社長の会社の元スタッフもそうであった。

 

経営者の仕事─職場環境を整える

会社を回していくために、人を雇い入れている現状とは、一体どういうことなのか? ではその人たちに仕事を覚えて頂き仕組を回し始めたら、次に何が必要なのか。決して上記のような罰則ではなく、スタッフが会社と共に成長出来る仕組と基準を上げる仕組、それを支える経営者であり、会社を支えてくれているお客様である。いくら表面でお客様に愛想振りまいても、お客様は直感と潜在意識で感じ取っているのである。

「社員を教育したい」そう以前依頼をされたが、この問題を見て頂くと教育するべきは経営者であり、まず人としての在り方からである。

職場環境を整える事の大前提は、先ずは人間関係を如何によくするかによって、会社全体を左右する要素となる。

経営者自らが実践していくのが普通だが、立場を忘れると大きな失態となりうる。

ただでさえ経営者の一言は社員にとって多大な影響力を持っているのだから一言ひとことに気を付けたい。

 

経営者の仕事─自己育成と社員育成

何かあればすぐに「~教育だ」という経営者が多いが、待ってもらいたい。

教育が必要なのは何故か? を先ず問いてもらいたいのだ。「社員が言うことを聞かないから~」の問題に対しての解決案で「教育」はまずムダである。社員が言うことを聞かないとは、経営者の中にエゴが多く含まれている部分や誤認識しているケースが多い。「何故社員が言うことを聞かないのか?どんな時に聞かないのか?」を一度立ち止まって分析してもらいたい。そして、社員から事情を聴いてもらいたい。必ずそこには社員には社員なりの言い分があるはずだ。その問題を汲み上げ解決する手本と仕組を作るのが経営者の仕事であり、そのあとは社員に任せればいいのである。

そこまでやって、何が足りないのかを見定め、それが教育なのか訓練なのか体制や仕組なのかを判断し決断をするのが社長の仕事でもある。

 

組織内にこそ必要な仕組─インストラクター制度

社内で働く社員やパートなどスタッフが力を合わせ目的に近づくため日々の目標を達成していく仕組みがこのインストラクター制度である。社内の体制から仕組を標準化し社員自らその仕組を回して管理できる仕組みを作り、その方法を訓練し現場の基準、社員の基準しいては会社の基準を底上げし、社員全員にそれを伝授していく仕組みづくりである。

それだけではない。社内全体をまとめ上げるための経営者の想念と目的をクリアーにし、高い次元の経営理念を完成させる。これが会社全体が目指すビジョンとなり、日々の業務の中でビジョン達成のために必要な行動を行動指針とし、自らの行動をチェックできる仕組みが言語化されていなければ、何も起こらない。これを仕組化し、インストラクターが全体へと伝播させる仕組みが独自の路線で、独自に開発する人財化へと進む道なのである。

その中にはもちろん業務の規定や基準、手順化なども含まれる。逆にこれらがなければ教育も訓練も育成も出来るものではない。今まで培ってきたノウハウを言語化できずにいる会社は逆に疑問に思う。「その仕事が誰よりも出来る社員が辞めたり、何かあったらどうするのか?」と。

人材と言う言葉があるが、それを考えるとまさに人材ではなく人財なのである。社員でまわっている会社は、社員がいなくなった時点で終わりである。今や人手不足と言われている時代だが、いつ来るか分からない逸材を指をくわえて待つより、自ら人財を育成し社内体制を今以上に骨太にしていく時期が今だと断言する。

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