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循環経済とサーキュラーエコノミーの違いとは

  環境戦略 西田純 SPECIAL
西田純 SPECIAL

環境戦略コンサルタント

合同会社オフィス西田 チーフコンサルタント 西田純

環境戦略アドバイザー。数々の多国間環境条約や、国連が提唱する2030年のための持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals: SDGs)を参照しながら、サーキュラーエコノミーなど企業として取るべき環境戦略や、環境対策を通じた長期収益構造の改善などをアドバイスしている。

このところ、環境ビジネス業界ではサーキュラーエコノミーと言うカタカナの単語をよく耳にします。使い終わった品物でも、リサイクルしたり修理したりして、なるべく廃棄しないようにする、みたいな処し方であるという理解に間違いはないのですが、だとすると敢えてカタカナ表記されるのは何故なのでしょうか? 

よく、リデュース・リユース・リサイクル、あるいは3Rというキャッチフレーズで語られてきたのが循環型社会、あるいは循環経済というコンセプトです。日本はもう20年近く、国を挙げてこの取り組みを続けて来たので、廃棄物削減への取り組みは法律から処理施設、初頭教育、社会規範そして業界構造に至るまで、社会の隅々まできめ細かく組み込まれた国になりました。定量的に計測したことはないのですが、3Rの普及率みたいなものを調査してみれば世界でもかなり上位に入ることは間違いないだろうと思います。 

この取り組みは、そもそも各地の埋め立て処分場が一杯になってきて、少しでも延命させなくてはならないという背景から始まったところがあり、その意味では基本的に資源投入と廃棄を大前提とした経済構造(リニアエコノミー)に基づくものでした。これはこれで成果を挙げ、日本政府も「日本の取り組みは成功した」と自認しています。 

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これに対して、サーキュラーエコノミー(カタカナ)の思想的な前提はだいぶ異なっていまして、そもそも化石燃料をはじめとする地下資源の収奪と投入が持続可能性を損なっている、みたいなやや過激ともいえる考え方がその基礎になっているという違いがあります。 

今仮に、一切の採掘を止めて社会にある資源のみを使って生き延びるためには、現有資源を再循環させて使ってゆくしかないだろう、でもそうすればCO2排出も、環境汚染もこれ以上増えることはない。サーキュラーエコノミーの発想の原点は、実はそんなところにあったりするのです。 

この考え方は2015年にEUが支持したことから広まったという経緯があり、これまで日本が取り組んできた循環型社会や循環経済とは「似て非なるもの」なのです[1] 

ではなぜいま日本でサーキュラーエコノミー(カタカナ)なのか?という疑問が湧いてきますね。そこには資源循環と気候変動対策の切っても切れない関係があり、すでに成果が出てしまった3Rを細々と続けているだけでは何もしていないのと同じ、との批判を免れないほどに切羽詰まった状況がある、と言わざるを得ません。 

先日の台風15号、直近の19号による被害でも明らかなように、気候変動対策を本気で推し進めないことには、地球の持続可能性がかなり危機的な状況にあるのは明らかなのですが、だとすると資源循環プロセスにも聖域はない、とする考え方の方が勢いを増しているのが世界の現状なわけです。 

ソロバンが合わないから、法律がそうなっていないから、前例がないから。これらの理由でこれまで見送られてきた資源循環も、改めて見直されようとしています。もしもそこにビジネスチャンスがあるのだとしたら、今こそ先行的に取り組むべきタイミングではないのか?コンサルタントとして私はいつもそんな風に考えているのです。


[1] https://www.researchgate.net/publication/319403544_The_Theoretical_Background_of_Circular_Economy_and_the_Importance_of_it’s_Application_at_Renewable_Energy_Systems_The_Theoretical_Background_of_Circular_Economy_and_the_Importance_of_it’s_Application_

環境ビジネスのためのグローバル戦略
西田純

環境戦略コンサルタント

合同会社オフィス西田チーフコンサルタント

西田純

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