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社長の対外広報感覚は大丈夫ですか?―弱すぎる日本の業界における情報発信力―

2019年12月9日 地方メディアの高度有効活用 海江田 博士 SPECIAL
SPECIAL

地方メディアの高度有効活用コンサルタント

株式会社メディアコネクション 代表取締役 海江田 博士

広告分野における地方メディアの高度有効活用を専門とするコンサルタント。東京在住中のマーケティングビジネス経営の経験と地方企業への経営革新支援ノウハウの融合させた、独自の「儲かるための広告戦略」を開発。自らも成功実践事例として、地方メディアを舞台に展開。

この日もこパーソナリティーさんとの掛け合いで・・・

先日、私が所属するコンサルタント以外の業界である税理士会から、タブロイド判の業界新聞が届いていました。中を見ると、業界団体執行部の新人事が紹介されています。人事にはほとんど興味がない私も、業界団体の中の「広報部」だけには注目します。「広報」は、現在私が取り組んでいる「情報発信」の仕事とは切っても切り離せない関係にあるからです。自分や自分のクライアントさんの広報活動のみならず、それぞれの業界がどれくらい広報に力を入れているかも気になるところではあります。

ところで、税理士業界の中で「広報」といえば、業界内の会員向けの「対内広報」と外に向けた「対外広報」に分かれます。実を言えば、つい10年ほど前までは、税理士業界の中には「対外広報」という考え方もそれを担当する部署もありませんでした。「広報」といえば、会員向けの「対内広報」しか頭になかったことになります。

しかしながら、メディアによる広告宣伝の大切さやネット社会の急速な普及など、世の中の流れを見ていて「これではまずい!」と気がついて、慌てて作ったのが「対外広報」に関する部署だったのです。私は「対外広報」の部署が発足した当初、その担当委員に選ばれてしばらく仕事をしました。当時、一般会員(税理士)の広報や広告宣伝に関するあまりの知識のなさに驚き呆れたことを覚えています。その対外広報担当を数年間務めたあと退きましたが、あれから約10年、業界の対外広報に関する意識は多少なりとも変わったのでしょうか。

さて、そんなことを思い出しながら、先述の業界新聞を見てみると、新しい広報担当部長が決まっていました。私よりはだいぶ若そうな方です。同じ業界とはいえ知らない人だったので、広報活動に対する抱負などを読んだ後、どんな人でどんな事務所経営をしているのかを知るために、彼の事務所のHP(ホームページ)を検索してみました。

ところが、驚いたことに、彼の事務所のHPがなかったのです。

税理士紹介業者が自分の会社の宣伝のために作った画面1ページ分ほどのサイトはありましたが、自ら作ったHPは持っていませんでした。広報担当部長就任の抱負には、まず会員向けの「対内広報」活動に力を入れると同時に、税理士の認知度を上げるために「対外広報」活動も頑張る、みたいなことが書いてありました。しかし彼は、自分のHPさえ、まだ持っていないのです。私のような人間から見れば「これで、対外広報活動など大丈夫かな?」となるわけです。

さて、ここまで私が所属する業界の事情を長々と書いてきましたが、ほかの業界はどうでしょうか。おそらく業界サイドから発信される「対外広報」については似たり寄ったりの状況ではないでしょうか。税理士の世界と同様、広報活動があるとすれば「対内広報」の方に軸足を置いているのではないか、と思います。というより、「対外広報」に力を入れている余裕などなく、業界内の様々な業務や調整などに忙しいのではないでしょうか。

私は「業界」という単位でも、おおいに「情報発信」を行ない、できるだけ世間の正しい認知度を高め、所属する会員(その仕事に専門的に従事する人)が仕事をやりやりやすいよう、背後から援護射撃すべきと考えていますが、現実にはなかなかそうはなっていないようです。

「業界」という存在が、「広報活動」或いは「情報発信」という形で、個々の経営者の力になるのは、かなり難しい話なのかも知れません。

そうであれば、対外的に「情報発信」を行ない、自らの事業の発展に資するためには、一人一人の社長さんたちが自分で頑張るしかないようです。

まあ、もともとそういう意味では「業界がなんとかしてくれるんじゃないか」と、他者頼みで考えることの方がおかしいわけで、「自分のことは自分でする」という原点に帰るだけのことです。

ただ、これまで述べてきたような「業界の姿勢」にも表れているように、日本人全般に対外的なアピールはそれほどうまくありません。

したがって「情報発信」に少し力を入れただけで大きなアドバンテージが取れるのも、現代ビジネスの特長なのです。

とはいえ、HPも持っていなかった私の業界の広報担当に代表されるように、個々の経営者の中には、その遅れている業界よりももっと遅れている人も多いわけで、その意識改革は急務なのかも知れません。

社長さんたちの、対外広報に対する考え方、広告宣伝への取り組み、情報発信に対する姿勢などは大丈夫でしょうか。

商工会などが取りまとめたチラシやポスターなどの宣伝材料やメーカーから支給された商品パンフレットだけに頼っている、ということはないでしょうか。

自社や自社の商品を対外的にアピールしていくのは、自分で考え自分で実行する時代です。

ただ、私が税理士業界の広報を担当していたときもそうでしたが、対外広報にはお金がかかります。特にメディアを媒体に使用したケースでは、かなり大きな予算が必要となるのです。その予算組みには、特に中小企業の場合、限界があると言っていいでしょう。

お金のかかる広告宣伝もある程度は必要ですが、お金をかけないで対外アピールをしていく知恵も持たなければなりません。

その最も代表的で有効な手法が「情報発信戦略」なのです。

この手法は、業界や大企業にはあまり向いていません。それほど主観的なことが発信できないからです。どうしても、人事や会議録など、ただの状況報告のような内容になってしまいます。

しかし、中小企業の場合、私が日頃から提唱しているように、理念やこだわり、その他の主張といったものを含めて、経営者自らの判断で面白い内容のものや興味深いテーマについて、大いに発信することができるのです。

おそらく、どのような業界にも業界団体といった会員組織のようなものがあると思います。そしてその組織の執行部門が業界の外に向かって、会員の利益になるような何かしらアピールもしてくれるのではないか、という期待はあるのではないでしょうか。それは政治的な圧力であったり、社会奉仕活動であったり、イベントの開催であったりといろいろです。

そういった従来行なってきた様々なアピール方法は、これまでもこれからも続けられるのでしょうが、ネットなどを駆使した現代的な情報発信方法についてはまだまだといった感があります。

ここをあまり業界に頼っていては、経済社会の流れ自体に後れをとってしまう可能性があります。

そうならないためにも、経営者個人が自らの手で「情報発信」を始める必要があるのです。

今回は「業界」という単位で「情報発信」について考えてみましたが、ここで言いたかったのは、例え自分の所属する業界とはいえ、他者はあてにならないということです。

「情報発信」は、経営者自らが自分で始めなければ、有効なものにはなりません。

逆に自分で思い立ってそれを始める人はまだ少数派なので、これを行なうことによって、大きな差別化を図ることができます。

「情報発信」の原則は、自ら率先して行なうことです。

他者を当てにしてはいけません。経営者が先頭に立って早速始めてみてください。

 

企業の盛衰を決める社長のためのメディア戦略

地方メディアの高度有効活用コンサルタント

株式会社メディアコネクション 代表取締役

海江田 博士

執筆者のWebサイトはこちら  http://mc-kaieda.com/

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