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社長のキャリアを「企業資産」として活用していくには・・―過去にこだわるのか?過去を活かすのか?―

  地方メディアの高度有効活用 海江田 博士 SPECIAL
海江田 博士 SPECIAL

地方メディアの高度有効活用コンサルタント

株式会社メディアコネクション 代表取締役 海江田 博士

広告分野における地方メディアの高度有効活用を専門とするコンサルタント。東京在住中のマーケティングビジネス経営の経験と地方企業への経営革新支援ノウハウの融合させた、独自の「儲かるための広告戦略」を開発。自らも成功実践事例として、地方メディアを舞台に展開。

当コンサルタント開催セミナーがあります。

私が普段申し上げていることで一見矛盾しているように見えることが、一つあるのではないかと思います。

それは、「過去の成功体験にこだわっていては、未来への進歩発展はありませんよ」と言いながら、一方で「情報発信においては、これまで積み上げてきた経験やキャリアを抽出し整理してどんどんアピールしていきましょう」と言っているからです。

過去にこだわるな、と言いながら過去を活かしていこう、というのは矛盾していないか?と、なるのではないでしょうか。しかし、この疑問に対する答えは既に出ています。

それは「こだわる」という言葉と「活かす」という言葉の中にあるのです。

社長が過去の成功時において用いた手法や手段は、それが例えどんなに栄光に満ちたものであったとしても、現在ただ今取り掛かっている仕事に、そのモデルをそのまま使っていい、というものではありません。

それは、過去の成功モデルであり、現代的においてはアレンジしながら活かしていかなければならず、もはやそのままでは使えないものなのです。

ここに大きな誤解があるのです。

「こだわる」という姿勢には、どうしても「未練」のようなものがあります。いろんなことがうまくいったあの頃、考えたこと、企画したこと、狙った通りになった方法、といったものは、成功体験として深く脳裏に刻まれます。そしてそれは、なかなか消えることはありません。

そうすると、人はどうなるでしょうか。現代においても、当時のイメージを脳裏に投影し、当時と同じ方法を踏襲しようとします。「あの時のあの方法でうまくいったのだから、今度もきっとうまくいくはずだ!」という、思い込みやこだわりがどうしても頭から外せなくなるのです。

その結果は申し上げるまでもありません。

それでうまくいくはずがないのです。

結果として、現在の地方における経済的な衰退状態は多くの人が実感している通りです。

過去にこだわっていたのではこの衰退状態から脱することは決してできないのです。

一方、私が申し上げている「過去を活かす」というのは、そういったアプローチとは根本的に違っています。

過去の成功というのは、その時代に応じて果敢にチャレンジした結果にほかならないのではないでしょうか。

そのときは「こうやればうまくいくんじゃないか?・・・いや、こうかも知れない。」と、必死で試行錯誤してチャレンジしたからこそ成功を勝ち得たわけです。

「過去を活かす」考え方というのは、上記のような、かつてやったことをそのままコピーすることではありません。

そうではなく、「その時代に応じてチャレンジした。」という向き合い方が重要なのです。

リスクを恐れず踏み出した、という姿勢が大事なのです。

つまり、「やり方」そのものが重要なのではありません。

時代時代の変化にいかに対応してきたのか、という姿勢や向き合い方が大事なのです。

うわべの方法論をなぞるということを言っているのではないのです。

しかしながら、世の中では全く逆のことがしばしば行なわれています。かつて成功体験を経た先代経営者は、自分が成功した頃のやり方や方法論といったものを、しばしば後継者や周りに押し付けがちです。「昔俺は、がむしゃらに頑張った。やればやっただけ成果が上がったものだ。あの頃の俺みたいに、どうしてお前たちはできないんだ!?!」といった理屈です。

こういった伝え方は、決して過去を活かしたことにはなりません。自分のこだわりを押し付けているだけなのです。そのことは、次世代を担う人材であれば、例えそれが経営者という立場の後継者ではなくても、若い世代は敏感に感じ取っているはずです。

つまり、「社長がまた同じことを言っている。あんなやり方じゃ、今はうまくいきっこないんだけどな・・・」と、心の中で思いながら社長の話を聞いているのです。

ビジネス環境がまるで違ってしまった現在、昔と同じような考え方や方法論が通るわけがありません。それは、ITなどのテクノロジーといった単に技術的な問題だけではないのです。そのほかの考え方や合理的な行動の起こし方など、すべてのビジネス環境が大きく違ってきたのです。

ただし、そんな激変する経済社会の中でも変わらないものがあります。それは、企業活動の中の最もコアの部分にあるものです。

事業を起こした際の志(こころざし)であるとか、ピンチに陥った際に支えてくれた考え方や向き合い方、或いはうまくいったときの着想であるとか閃きといったものは、過去からの資産として、今後の企業活動にも活かせるものなのです。

ある程度、キャリアを積み重ねてきた社長であれば、そういった過去経験してきたことは自分の中で貴重な資産として積みあがっているはずです。

その資産を、現在進行中の経営に活かすとすれば、キャリアの中から必要なものを取捨選択し、その中から大事な部分のエキスだけを抽出し当てはめていくのです。

これは、単に過去の成功体験モデルを、何のアレンジも加えずに、現在も同じやり方を繰り返すといったこととは根本的に違うのです。

過去にこだわる、というのは、軸足がまだそのまま過去にあります。

そこに何の検討も反省もアレンジも加えられていません。

そんな「終わったモデル」が、現代の経営に使えるわけがありません。

一方、過去を活かすというのは、軸足が未来にあります。

例え過去のそれが大きな成功体験であろうとも、そのまま使うということはしません。そこに検討や反省、アレンジといったひと手間を加え、現代の経営に活かそうとします。

過去の経験から抽出された指針や方向性といったものは、他者から学んだものではなく、自ら生み出したものにほかならないので、極めて実行性が高いのです。

こうやって書いてきますと、「過去を活かす」というのは、企業経営を円滑に行なうために、極めて当たり前の行為のように思えるのですが、現実には実践している人が極端に少ないのです。

逆に、過去にこだわり過去を押し付けるタイプの人の方がはるかに多い、といわざるを得ません。

これは成功体験という栄光のビジネスモデルを、できることならばそのまま使いたい、という欲望の表れであり、次のモデルが見つからない、という焦りの結果でもあるのでしょう。

いずれにしても、「過去にこだわる」という状況から「過去を活かす」というレベルに昇華しなければ、せっかく積み重ねてきた企業資産を高度利用することになりません。これができるか否かの分かれ目は、成功体験をいかに上手に棄却し、再び蘇えさせるにかかっています。

少し難しい作業のように思えるかも知れませんが、ちゃんと意識して向き合えば、決してできない話ではありません。

過去をちゃんと活かして、現在の経営にプラスの形で投影させる、面白いチャレンジです。

ぜひ、この課題に向き合ってみてください。

 

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企業の盛衰を決める社長のためのメディア戦略
海江田 博士

地方メディアの高度有効活用コンサルタント

株式会社メディアコネクション代表取締役

海江田 博士

執筆者のWebサイトはこちら http://mc-kaieda.com/

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