儲からない会社がやってしまっている典型パターン | 日本コンサルティング推進機構

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儲からない会社がやってしまっている典型パターン

SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所

代表取締役 

経営革新コンサルタント。イレギュラー対応を標準化することで、ライバル不在で儲かる、「特別ビジネス」をつくりあげる専門家。倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業を支援。イレギュラー対応を仕組みで廻して独自の市場をつくりだす画期的手法に、多くの経営者から絶大な評価を集める注目のコンサルタント。

当社が法人を顧客とする事業形態、いわゆるB to Bの会社からのご相談が比較的多いですが、その中には、私が以前勤務していたミスミという会社の強さの秘密を知りたいとおっしゃる方も少なくありません。

おなじB to Bの事業形態、しかも取り扱い品目も金型部品やFA部品といった地味なものであるのに、なぜあんなに儲かるのか、その秘密はなにか?と気になるというわけです。

たしかに同社は長年継続して桁違いの利益を出していますが、その強さの秘密を一言でいうと、それは「作業を売っていない」という言葉に尽きます。

作業を売っていないというのは、別の言い方をすると、「手足を動かすこと」を売りにしていない、ということになります。つまり、ミスミの場合は販売している部品の「製造」を売りにしているわけではない、ということです。

ではなにを売りにしているのかというと、手足ではなく「頭」、作業ではなく「知恵」ということになります。世の中に特注品として存在しているものを標準化して業界のスタンダードにしてしまうノウハウや、部品を1個から超短納期で出荷する仕組みといったものです。

一方、ミスミの顧客となる製造会社や加工会社の多くは、自分たちの顧客から持ち込まれた企画や設計に基づいて「製造」や「加工」をすることで対価を得るという事業形態をとっているところが多いです。

この形態はざっくり言ってしまうと、これらの会社の顧客が「頭・知恵」の部分を担い、自分たちは「手足・作業」のところを引き受けているという構図となりますが、こうなるとあまり利益は残らないということになってしまいます。

この話をすると、「いやいや、モノづくりは単なる作業なんかじゃないですよ」、「我々が頭を使っていないと言うんですか」と言った反応があったりしますが、そういうことを言いたいのではもちろんありません。

製造業なら製造のノウハウが、サービス業であってもそのサービス提供にあたっていろいろなノウハウが組み込まれているはずですし、頭を使わずに作業だけをしているなんてことはないでしょう。

しかしながら、製造業・サービス業を問わず、実際に手を動かして作業的なことをする部分については、いくらそこに工夫を凝らしたとしても大した付加価値が取れない、つまり大してお金が取れないという事実を認識しないと事業は苦しいままです。

たとえば町の散髪屋を想像してみてください。「あそこは下手だ」と言われてしまうところはどこの地域にも1軒や2軒あることでしょう。しかし、逆に腕のいい散髪屋さんだったとしても、値段が倍取れるかというと絶対に無理です。顧客にとって散髪屋さんに払う値段というのは相場があるからです。

税理士や行政書士といった士業に仕事を依頼する場合なんかもそうです。たとえば税理士事務所に試算表作成や決算をお願いする場合、その手続き自体には大した工夫の余地はないはずですから、相場よりも高い値段をつけるというのは難しいはずです。

たとえば、「いまだかつてない独自の理論で決算処理をしておきました!」なんて税理士に言われたとしたら、「え? それ大丈夫なの? ちゃんと通るの?」ということになってしまいますよね。

つまり、作業的な仕事については、「無難にちゃんとやってくれたらいい」わけで、それに払う対価もどこも同じようなものでないとおかしい、ということなのです。

ここまでお話ししても、「いや、やっぱり腑に落ちない。税理士だって、ただ決算処理をするだけではなくて、節税のアドバイスとか、財務戦略の策定とか、知恵を提供する余地はあるだろう」とおっしゃる方もいらっしゃるでしょう。

その通りなのです。そして、その知恵の部分をちゃんと作業とは切り離して「見える化」する必要があるということです。

つまり、作業の提供はあくまで副次的なことといいますか、全体のサービスの中の単なる一部分であり、メインの提供価値はその「知恵」であることが顧客に伝わらないと、お金は取れないですよ、ということです。

たとえば先ほどの税理士の話で言えば、当社が財務戦略についてアドバイスを求めているその道のプロフェッショナルは、試算表作成や決算処理といった作業的なことは一切請け負っていません。当然、当社も彼にその作業部分もやってほしいとは考えていません。それは誰だっていいからです。

散髪屋の例にしても、髪を切る以外に「知恵」を提供する切り口はいくらでもあります。例えば育毛の個別指導とか、美肌セルフケアプログラムといったことです。別に髪にこだわる必要もありません。

大事なことは、作業以外のことで顧客に提供できる「プロとしての知恵」が自分たちにはちゃんとある、ということを顧客側がしっかり認識できる形にしないといけないということです。

このようにお伝えしても、なかなか作業部分を手放さない人は多いです。経営幹部であってもずっと自分で作業をしていたいという人もいます。部下や外注先ではレベルが低くて任せられないというわけです。

そういった職人気取りの人がわかっていないことがあります。それは、「自分の作業キャパは限られている」ということです。

自分が手足を動かしている限り、それを提供できる相手の数には当たり前ですが限界があります。そしてその限界の範囲でしか商売は広がっていきません。

あえてきつい言い方をしますが、それでもいいという人は、結局お客様のことはあまり考えていない人ということです。もし本気でお客様のためになりたいと思うならば、付加価値の取れない作業パートは人に任せ、自分たちは知恵の提供に全精力を注ぐはずだからです。要は自己満足なんです。

お客様が欲しがっていることは、その道のプロとして経験を積んできた皆さんの知見やノウハウです。それをちゃんと顧客に提供できる形にすることが大切です。

御社は作業部分にせっせと精を出し、忙しいのに儲からないという状態に陥っていませんか?

自分たちが顧客に何を提供できるのか? 自分たちの価値を今一度見直してみましょう。まだ実現していない大きな可能性があるはずです。

 

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