IKEAやニトリがどうして繁盛するのか?(3) | 日本コンサルティング推進機構

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IKEAやニトリがどうして繁盛するのか?(3)

SPECIAL

住宅・工務店コンサルタント

株式会社 家づくりの玉手箱

代表取締役 

住宅・工務店コンサルタント 。規格住宅を高付加価値化させ、選ばれる工務店となる独自の展開手法「シンボルハウス戦略」を指導する第一人者。
営業マンとして自分が欲しいと思わない住まいをお客様にお勧めする仕事に疑問を持ち、ある工務店でどうしても家を建てたくて転職、鹿児島へ 。15年間で173棟の住まいづくりをすまい手目線で担当。そこから編み出された、選ばれる工務店となる具体戦略を、悩める中小住宅会社ごとに実務指導中。

IKEA 渋谷

 

都心立地、渋谷にIKEAがオープン。

ローカルな立地、巨大な駐車場と巨大な2階建の売場、ほぼ平面の一方通行順路のショールーム+在庫倉庫からの商品ピックアップが特徴の販売モデルがどうなってるのか?気になって立ち寄ってみました。

立地からして当然かもしれませんが、都心の便利な立地、駐車場なし、小さな6階フロアの売場、エスカレーター多用の立体動線の売場はIKEAっぽくないですが、従来型店舗のようには無駄に買ってしまわない「堅実」な買い物ができる気がしました。品数も限られますので「商品」に出会いに行くというより目的の物を買いに行くスタイルかもしれません。

 

↑IKEAには珍しく6フロアに分けられた売場構成(お会計も隔階に)

 

↑シーン別展示はごく限られたスペースに

 

あの延々と続くショールームスペースでのシーン別展示は各階に1つ2つで、商品構成も大物は今どきのリモートワーク関連推し、小物はキッチン・バス・トイレタリーや収納関連のリピート性のある物が中心になっていました。エスカレーターで頻繁に上り下りする店舗内では、あのでかいカートもありませんでした。その代わりに1、3、5階に会計コーナーがあってセルフレジもずらりと配置されていました。ぱっと行ってパッと買うのにはいい感じの店づくりです。

 

↑主にアイテム別展示が中心

 

↑隔階にある最新鋭のセルフレジコーナー

 

各階を上から順に見ながら降りていきますと、ふと「無印っぽい」と感じました。無印良品はこのように複数フロアに分かれる都心立地の店舗が既に多いからかもしれません。 そういえば、無印良品も住まいのショールームを備えた新しい店舗がオープンしているとのことでしたので、こちらも気になってきて、その足で行ってみました。

 

無印良品 東京有明

渋谷のIKEAとは対照的に無印良品としては大きな店舗でした。 様々なイートインスペースと共に食品の品揃えがすごく、部分リフォーム展示や相談カウンター、マンションリノベーションモデルルーム 、新築部門は小屋、平家のモデルハウスに至るまで。「食」と「住」を強化した構成でした。

「食」は単価は低いものの反復して購入してもらえる見込生産の分野、「住」はブランドコンセプトを強く発すると共に家具・収納商品を付随して展開できる受注生産の分野です。性質の違う分野を組み合わせて盤石の成長戦略をとっているのです。東京オリンピックの競技会場も近い立地の新たな店舗では、来日する多くの外国人に向けての発信も兼ねているものと思います。

リフォームを依頼したユーザーには一定期間無印商品の割引販売をセットして、得意の収納商品やキッチン雑貨などアップセルもちゃんと組み込んでありました。基本工事内容をパッケージ化して価格表示がところどころに設置されていて、わかりにくい請負契約を「商品化」する工夫もされていました。

 

↑大きな店舗スペースを活用したディスプレ

 

↑リフォームショップとして生活シーン別展示を強化

 

↑パッケージ化による価格表示(ついつい目がいきます)

 

新しい店舗を見ると、経営者がそのブランドで目指す方向や挑戦しているテーマが感じられます。これまで異業種と思っていたブランドが同業になっていることもあったりします。 無印良品は以前から新築住宅で住まいの提案を展開してきましたが、小屋、リフォーム、マンションリノベーション など、住宅市場の将来を意識したさらに広がりのある展示がされていました。

 

↑オリジナル間仕切り商品を活かしたマンションリノベーション の展示スペース

 

↑オリジナル収納商品を組み込んだマンションリノベーション のキッチン提案

 

↑無印良品の平家一戸建モデルハウス

 

2つの新規出店戦略から見えてきたこと

IKEAが都心店舗で無印良品化していってたり、無印良品が大規模店舗でIKEA化しているようにも感じましたが、そのうち両者はマーケットを拡大する過程でどんどん似たようなブランドになっていくのかもしれないとも思いました。

渋谷のIKEAがオープンした場所は、世界を席巻するファストファッションの一角「Forever21」が以前入っていた建物でした。「Forever21」が2019年に破綻・撤退したことで、渋谷の一等地ビルがごそっと空いた訳です

ファストファッションとは、最新の流行を採り入れながら低価格に抑えた衣料品を短いサイクルで世界規模で大量生産・販売する業態です。

これまでほとんどの新しい服は春・夏・秋・冬と季節のサイクルで作られていました。デザイナーたちは何カ月も前にシーズンごとのデザインを考えて、消費者が求める服を作っていたのです。ファストファッション業界ではデザインのタイミングやスピードを急激に早めるとともに、商品のコストを劇的に下げました。店頭では毎週のように新しい服が入荷されているのが当たり前になったのです。

どうして、あれだけ勢いがあった「Forever21」が破綻してしまったのでしょう? 安くてトレンディな便利ブランドであるファストファッションには実のところ、問題点は数多くあったようです。

●トレンドアイテムのコピー問題→売れるネタの取り合い、コピー合戦による市場飽和
●クオリティの低い品質が売られる問題→ 環境問題→廃棄物の増加
●労働力問題(人権問題)→低賃金→長時間労働→健康被害

などがあげられています。今やファッション業界の裾野までには世界の6人に1人が携わっているとも言われています。途上国に雇用を創造した反面、労働力の搾取や製造現場での健康問題、過剰な生産数による廃棄が環境問題にもなっているのです。

これって日本の住宅産業にも通じている話です。プロモーション・販売手法に傾注、数年単位の勃興と凋落、生産現場を軽視してしまう傾向など全体構図がよく似てきているのです。

そして、ちょっとぞっとしたのです。
住宅産業に限ったことではありませんが、様々な事業活動の浮き沈みまでもがどんどん「ファストフード化」しているとも言えます。

あなたの会社では、今売れているものにフォーカスして住まいづくりをしていますか?それとも、いつまでも大切にしてもらえる価値を目指して住まいづくりに取り組んでいますか?

 

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