後継者が後継者のときにできること | 日本コンサルティング推進機構

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後継者が後継者のときにできること

SPECIAL

親子経営コンサルタント

ビジネス・イノベーション・サービス株式会社

代表取締役 

オーナー社長と後継者のための、「親子経営」を指導するコンサルタント。みずから100億円企業を築くも、同族企業ならではの難しさや舵取りの大変さで苦しんだ実体験を指導。親から子へ失敗しない経営継承の極意として「親子経営」を伝授する。

私が京都の大学を卒業し淡路島にある親父の建設資材販売会社に入社したのは24才のときだった。私は親父が40才のときに生まれた。私が入社したとき、親父はすでに64才になっていた。私が30才になれば親父が70才となる。私は入社したときに密かに心に決めていたことがある。

私は30才で社長になる。誰にも言わなかったけれど自分でそう決めていた。当時、親父の会社は淡路島だけを商圏として年商22億円を挙げていた。社員は身内親族社員を含め30人近くいた。取引先は顧客として約200社の建設関連会社、仕入れ先として300社以上の商社やメーカーがいた。

入社以来、私はどうすれば社員を初め取引先に認めてもらえるだろうか、そればかりを考え行動していた。30才で社長をするには何が必要とされるのだろうか、そのためには何をすればいいのだろうか、そんなことばかりを考えていた。そんなことを誰に相談すればいいのか分からず、また見当たらず自分一人で考えるしかなかった。

当時私が出した結論は、私が営業全般のマネジメントをし営業マン全員を私がグリップすることだった。私の会社は販売会社なのでやはり何といっても営業が最も重視されていた。私が営業全般を把握することで社員の信頼を得、社員に認めてもらえる、そう思った。そうすることで仕入れ先からも認めてもらえるだろうと考えた。

各取引先にはエリア別に営業担当者がいた。私は彼らと同行することから始めた。後継者である私が同行営業することのメリットはとても大きかった。営業担当者の仕事振りは勿論のこと、取引先の内部事情等が分かり、営業担当者ではできない経営陣との繋がりができていった。なかでも親父が不得手な取引先を私がカバーすることができたことがよかった。

そうすることでほとんどの取引先の経営者と面識ができたことが私の自信に繋がった。30才になったとき親父に社長を代わって欲しいと申し入れした。その背景には年が若いという不安はあるものの、私には取引先の社長さん方と面識ができているということでの自信があったように思う。

先日、ある後継者が久しぶりに訪ねてきた。大学を卒業後2年間、父親が経営する会社の東京にある取引先メーカーに勤務していた。その後父親が経営する会社に帰って3年が過ぎていた。ここ数年、父親の健康状態が思わしくなく、会社の業績も右下がりを続けている。後継者の自分がしっかりしてなんとかしなくてはと気ばかりが焦っているようだ。

彼はもともと明るく素直で朗らかな青年であったのに顔色が冴えず浮かぬ顔をしていた。聞いてみるとメイン事業部とは違うネット事業部で仕事しているという。ネット事業部の売り上げは少し伸びてはいるが利益が出ていない。元々利益率が低く配送経費が高くなり赤字が続いているらしい。

メイン事業部は業況のピークはすでに過ぎており毎年売り上げが下降している。それでもまだ利益がかろうじて出ている。会社全体としては早急に事業の見直し、再構築が必要と思われる。そんななかで後継者である彼が苦しんでいる。父親の健康状態を考えるともうすぐにでも経営交代しなければと思うのだが、自信がない。

長年父親に仕えている専務は彼にネット事業部で実績を挙げたら社長になれると言っているようだ。話を聞いた私は彼に言った。後継者は君しかいないのだからやるしかない。経営者に自信など誰もが持てずにいる。社長になる時期は誰かに決められるものでなく自分で決めればいい。

それよりも今しているネット事業部は誰かに任せ、一日も早くメイン事業部の責任者になりなさい。業績が悪いと言ってもメイン事業部を後継者がコントロールできずして誰がする。そのうえで会社全般の見直し、再構築に着手すればいい。後継者がメイン事業部を避けて枝葉末端な事業部に逃げ込んでいてどうする。そう彼を叱咤し激励した。

後継者が父親に代わり経営者となる手順には各社それぞれ様々なものがある。ひとつだけ大事なことはと問われれば、少なくとも中小企業では、後継者がすべての事業を経験し、少なくともメイン事業の掌握ができていることだと答える。後継者が自ら事業を掌握せずして人任せにすることは将来いろいろな禍根を生ずることになる。
 
 

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