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忘れ得ぬひと言 その3−1

SPECIAL

住宅・工務店コンサルタント

株式会社 家づくりの玉手箱

代表取締役 

住宅・工務店コンサルタント 。規格住宅を高付加価値化させ、選ばれる工務店となる独自の展開手法「シンボルハウス戦略」を指導する第一人者。
営業マンとして自分が欲しいと思わない住まいをお客様にお勧めする仕事に疑問を持ち、ある工務店でどうしても家を建てたくて転職、鹿児島へ 。15年間で173棟の住まいづくりをすまい手目線で担当。そこから編み出された、選ばれる工務店となる具体戦略を、悩める中小住宅会社ごとに実務指導中。

VC(ボランタリーチェーン)の正体とは?

 

それは、住宅系VC※の本部立ち上げのコンサルティングをされているK氏と、VCに加盟契約をされたばかりの企業で事業部責任者をされているS課長とのミーティングに同席させていただいた時のことです。 住宅事業を任されたS課長が、今後の事業推進の参考にK氏に色々レクチャーを受けるためのアポイントでした。

 

※VC:(Voluntary Chain)独立小売店などが同じ目的を持った仲間達と組織化、チェーンオペレーションを展開している団体。FC(franchise chain)との違いは加盟店同士の繋がりがあること。

 

K氏 「そもそも、どうして畑違いの住宅事業をやろうということになったのですか?」

 

S課長 「既存の住宅会社の供給する住宅には、生活提案に乏しい印象があります。後発ながら、住む人に向けた生活提案をしっかり行いたい。そのためには自社で住宅事業を立ち上げて自ら提案しながら商品開発していく必要があるとの判断です」

 

K氏 「それは素晴らしい視点ですね。私は500社以上のVC加盟企業とお付き合いしてきましたが、本当の意味で生活提案が出来る会社は1社もありませんでした。ホームページ・広告では生活提案が得意なように見せてはいますが、実はみんな大の苦手なのです。 だから、ホームページ・広告などもほぼ外注丸投げです。最近ではWEBで情報収集されるお客様が増えていっていますので、発信内容に「暮らしの提案できます」的なお化粧をしっかりすることで狙ったイメージを作り上げて、一言も発することなくお客様を騙せるのです。騙せると言ってもあくまで表面上のことのようですが、そのイメージが崩れる前にクロージングする技もパッケージ化されています」

 

S課長 「えー。そんな感じなんですか…」

 

K氏 「VC本部の人たちも加盟店の面々も全く同じです。同じというより、そのような「手法」の出所というか元締めの役割を果たしているのが彼らですから」

 

S課長 「では、生活提案についてVCから学ぶということはあまり期待できないということですか?」

 

K氏 「そういうことになります。VC本部から配布される広告ツールやWEBサイトのテンプレートなども制作はほとんどの場合外注・丸投げです。私たちの分野は狭い業界で、同じ外注先が様々なVCの様々な商品を手がけていたりします。元をたどっていけば、黒子として全く同じ人がやってたりすんですよ」

 

S課長 「外から見えているイメージとなんか真逆の感じですね…」

 

S課長 「うちは社内に建築に詳しい人材がいないので現在募集をかけているところです。住宅について全く経験がないのでVCに加盟、ノウハウを吸収しながら事業をスタートすることにしました。また、施工体制も未整備なのでVCだとその点もカバーしつつ走り出せるのではないかと考え、実は先日あるVC本部との契約をしたところです」

 

K氏 「Sさん、基本的にVCとかFCの本部は住宅事業の実務をやったことのない人たちが殆どです。自分たちでは一軒の家を売ったことも建てたこともない場合も珍しくありません。このあたりは誤解をされる加盟店さんが実に多いのですが、VC本部の業態は基本的に「情報仲介業」といったものです。どこかの会社の成功事例を情報としてパッケージ化、その商品パッケージの利用権・エリア内での販売権を仲介または販売する仕事です。 ですから、御社はあくまでも地元での「販売権」を買ったということでVCが実施設計の実務や施工を代行してくれる訳ではありません」

 

S課長 「え!そうなんですか?」

 

K氏 「びっくりされましたか?私は決してVCを否定している訳ではありませんよ。VCに加盟するにあたって過度な期待や依存は避けた方がいいと申し上げているのです。往々にして新しいVCに初期に加盟してくる会社の中にはクレバーな経営者が少なからずいらっしゃいます。そうした方々は、VCの機能や限界を勉強されていてよく知っています。また、自社のビジョンや加盟して獲得するものなど目的が明快です。そして、決してどハマりすることなく目的が終わったらさっさと抜けていかれるのです」

 

S課長 「それはそれですごいですね」

 

私は横でそのやりとりを聴いていて、おどろきました。どこの業界にも裏側の普段は見えない闇みたいなものはあると思いますがKさんのお話はとても生々しく、そしてリアルでした。その時、私の頭の中には以前、耳にした「忘れ得ぬ言葉」がふたたび蘇ってきていました。

 

 

次回、忘れ得ぬひと言 その3−2 につづく。

 

 

以前耳にした言葉は忘れ得ぬひと言 その2−1をご覧ください。

 

 

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