忘れ得ぬひと言 その3−2 | 日本コンサルティング推進機構

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忘れ得ぬひと言 その3−2

SPECIAL

住宅・工務店コンサルタント

株式会社 家づくりの玉手箱

代表取締役 

住宅・工務店コンサルタント 。規格住宅を高付加価値化させ、選ばれる工務店となる独自の展開手法「シンボルハウス戦略」を指導する第一人者。
営業マンとして自分が欲しいと思わない住まいをお客様にお勧めする仕事に疑問を持ち、ある工務店でどうしても家を建てたくて転職、鹿児島へ 。15年間で173棟の住まいづくりをすまい手目線で担当。そこから編み出された、選ばれる工務店となる具体戦略を、悩める中小住宅会社ごとに実務指導中。

忘れ得ぬひと言 その3−1からつづく。

 

VC (ボランタリーチェーン)は誰のためのものか?

 

S課長は暫しの沈黙のあと、気を取り直してさらに質問されました。

 

S課長 「ということは、わが社にとってVC加盟のメリットはあまりないという事でしょうか?」

 

K氏 「いいえ。そういう訳ではありません。何もないところからの事業をスタートする時には色々なメリットがあります。パッケージ化された、商品企画・広告クリエイティブ・セールスツール・図面・仕様書・見積書・実行予算書・標準工程表などは事業に必要な要素の多くが含まれています。しかし、生活提案やそれによる価値訴求については自社でしっかりとやっていく必要があります。そのあたりは吉岡さんがメチャクチャ得意とするところですよね?」

 

S課長と共に唖然としていたところに絶妙なタイミングでK氏のリップサービスが入りましたが、私はその時にわかには反応できませんでした。さらにK氏は続けました。 

 

K氏 「でも、よほど会社として意識して準備しておかないとすぐに依存体質になってしまいますよ。彼らは商品住宅のバリエーションを最初から相当数企画し続々新商品を準備しています。最初に見せられるのはそのほんの一部で、販売をしていく中で様々な問題が出てきたタイミングで次々と新商品を繰り出してきます。それを次々と買って導入していくうちに、自社での生活提案や価値創造に向き合って深めていくことから次第に遠ざかってしまうのですね。VCの商品展開はそもそも最初からそういう事業設計なのです。S課長が来年あたり次の商品が欲しくなって買ったとしたら、私たちの勝ちです」

 

K氏はそう言って、あえて不敵な笑みを浮かべます。私は、またもやここで悪魔を見た思いでした。  

S課長 「なんか、根本的にうちの考え方とは違うような気がしますね」 

 

K氏 「率直に言って、生活提案をUSP ※にしようとしている御社にはミスマッチかと思います。基本的にVCは売って稼ぐ「販売業」を是とする会社に向いています。生活提案は苦手でそれほど興味のない人たちですね」

 

※USP:(Unique Selling Proposition)商品やサービスが持っている独自の強み。単なる強みの提示ではなく「顧客に対して自社だけが約束できる利益」を指します。

 

S課長 「どうして、そんなに次々と新しい商品が必要なのですか?そんなに大きな進歩や違いって、それぞれの商品にあるのでしょうか?」

 

K氏 「必要あるか?違いがあるか?と言われると、あると言えばあるし、ないと言えばないかもしれません。まあ、一言でいうと「ファッション」ですね。洋服なんかで言うトレンド(流行)みたいなものをちょっと先取りした形で商品企画に取り入れてパッケージにまとめて売るんですね。生活提案というような普遍的なものではなくて流行として移り変わっていくものを商品化しているのです」

 

S課長 「住宅でも、そういうものって売れるものなのですか?」

 

K氏 「売れます。一定量は。中にはぜんぜん売れないものもありますけど…」

 

S課長にとって、VCに対して描いていたイメージとはかなり違っていて衝撃的であったようでした。そういったやり取りがあって、S課長の会社では社長を交え住宅事業のスタッフ全員でミーティングを行うことになりました。

 

そして、K氏は「それならばこれも社長に伝えておいて下さい」と前置きをして話を続けられました。

 

K氏 「Sさん、吉岡さん、VCの最大の弱点はなんだと思われますか?」

 

S課長と私は、思いつくまま幾つかの答えを言ってみましたが、最大という意味で正解はありませんでした。 K氏 「VCの最大の弱点は加盟店が増えるにつれて商品バリューやブランドイメージが劣化するということです。特に昨今はこのスピードがものすごく早くなりました」

 

S課長 「え?それはどういうことですか?」

 

K氏 「加盟店が建ててくれれば建ててくれるほど実例は増える訳ですが、その中に変な実例がどんどん増えてしまうのです。パンフレットに載っている最初の実例やCGとは似ても似つかぬ加盟店オリジナルアレンジの摩訶不思議な建物がその商品名・ブランド名を冠してネット上にあふれていくのです。悪くしたことに、全国各地の見込客が商品名・ブランド名で検索すると、いっぱい変なのも出てきてしまうのです。これにはVC本部も頭を痛めていて、別の加盟店さんから「あの変なのを削除してほしい💢」と本部担当者に電話がかかってきたりするんですよ。変な話ですが、実はそういう賞味期限切れ対策的なところにも新商品の必要性ってあるんですね。慣れた加盟店社長は、VC商品の扱いを必ず別会社で扱うことにしている人もいます。もし、そのブランドがダメになった時に本体のイメージダウンにならないよう、さっと捨てられるようにしているのです」

 

S課長と私は、さすがにその話には揃ってのけぞってしまいました。その後、S課長は「加盟直後に今のお話が聴けてよかった」とおっしゃっていました。そして、さっそく翌週には社内共有のためのミーティング予定を入れておられました。

 

自社以外の実例ですぐに商売が始められるというメリットと、それゆえに自社以外の実例にブランドイメージが影響を受けてしまうデメリットは表裏一体とも言えます。

 

 

社長、あなたの会社はVCに加盟されているのでしょうか?また、加盟することで実現したい提供価値により近づけるような事業構造になっていますか?

 

 

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