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土地みたてのトレーニング法(1)角地にて

SPECIAL

住宅・工務店コンサルタント

株式会社 家づくりの玉手箱

代表取締役 

住宅・工務店コンサルタント 。規格住宅を高付加価値化させ、選ばれる工務店となる独自の展開手法「シンボルハウス戦略」を指導する第一人者。
営業マンとして自分が欲しいと思わない住まいをお客様にお勧めする仕事に疑問を持ち、ある工務店でどうしても家を建てたくて転職、鹿児島へ 。15年間で173棟の住まいづくりをすまい手目線で担当。そこから編み出された、選ばれる工務店となる具体戦略を、悩める中小住宅会社ごとに実務指導中。

よくある質問

 

「どうしたら吉岡さんみたいに土地のみたてができるようになりますか?」とか、

「うちの●●君に土地のみたてをマスター、外構計画もちゃんと提案できるプランナーに育てるのにどれくらいの時間がかかると思われます?」

という質問をいただくことがあります。

一律にお答えできるものではないので、なかなか難しい質問です。でも「土地みたて」も自転車と同じで、とりあえず「乗れるようになる」ことが大切です。一旦乗れるようになると忘れてしまうことはなく、練習の仕方によってはどんどん上手になっていくところもよく似ています。

もちろん、私の経験したことは整理してありますのでお教えすることはすぐにでも出来ます。しかしながら、インプットばかりで出来るようになるものでもありません。目の前に現れたお客様にいつでも提案できるようマスターしていくには、やはりアウトプットの機会が必要です。お客様からご依頼いただいた実案件を、できるだけ多く経験していただくのが何より近道です。

土地から購入予定のひと組のお客様がいたとして、早期段階から土地選択のサポート役を買って出れば多くの経験を積むことができます。その代わり、数多くのボツ案件も出てくると思います。当然のことながらそのボツ案件は業績にはなりません。ここを経営者が耐えられるかという問題もありますが、長い目で見るとボツ案件の積み重ねが「なぜ、この土地がイマイチなのか?」の根拠のネタ帳になっていきます。

実在する土地で、自分ならどの土地にどう建てるか?を突き詰めて考えることを実践してほしいのです。
「鶏が先か卵が先か」みたいな話ですが、これに尽きると思います。

 

「鶏が先か卵が先か」というと「実践が先」

「でも、そもそもお客様からの依頼自体が少なく、しかも競合があったり取り急ぎであったりという案件ばかりです。とてもじゃないけど、この調子では何年かけても土地みたてができるようになりそうな気がしません💦」という声もよく聞かせてもらっています。

たしかに。それもそうかもしれません。 私だって本気で学んで20年近くかかって、やっとできる訳です。鹿児島に移ってから、環境に恵まれて多くのお客様の中に身を置けたことは幸運であったと言えます。

それでは、これから土地みたてを身につけたい人はどのようにすればいいのでしょう?

実現するかしないかは別として、この場所で最良の選択は何だろう?仮に、この場所で新しい家を建てるとした時に、自分ならどういう選択をするのか?を都度考えて欲しいのです。この際ですから、工期や予算も置いといて考える事としてもいいと思います。そうです。頼まれなくても考えるのです。 頼んでもらうのを待っていたらいつまで経っても出来るようにはなりません。

特に住宅は、どこに行っても山ほど建っていますし、題材には事欠かない分野です。さすがに中の暮らしぶりは直接見せてもらう訳にはいきませんが、私がご指導させて頂いている自然条件や外部環境との関係性は現場から見て取れるはずです。

私の知る限りいい家をつくれる人は、例外なく頼まれなくてもいい家の在り方をついつい考えてしまう人です。依頼件数が多いから上手くなったという事もあるかもしれませんが、多くのケーススタディを重ねていたので依頼が増えたという順番が正解のような気がします。いろいろな場所に立ち、勝手に「なんでこうなってるの?」「こうすればよかったのに!」という事を自分なりに考える事が習慣になっていたのです。平たく言ってしまうと「そういう事か好きな人」ということになりますが、こちらも「最初から好きだった」というよりも、そうこうしているうちにその分野の深さに気づく事が叶い、「より好きになっていった」というのが実際のところはではないでしょうか。

いざ「工期や予算も考えずに任せる」と言われると余計に難しかったりするのですが、こういう事を習慣に出来るかどうかが意外と大切な事のように思います。そういうふうに思えば、世の中教材だらけです。(どちらかというと圧倒的に「反面教師」が多いですが)

 

ふと角地で立ち止まる

出先でふと立ちどまってしまうことがあります。古くからある土地に、新しく建てられた住宅を目にしたときなどは特に興味をそそります。古くからある角地に新しい家が建つ現場で、ふと立ち止まってしまったケースをご紹介します。角地の古家を解体して建替えて、新築建売住宅として販売するケースです。

 

↑元々の出入口があったと思われる部分はふさがれています。なぜでしょう?

 

↑この、謎の長いアプローチは???

 

↑この面が西面。ガッツリ西陽があたりますが2階からは眺望も良さそうです

 

↑同じ敷地のGoogleストリートビュー(2012・3月撮影とあります)

 

9年前の同じ場所のストリートビューを見てみると、納得です。長い間に成り行きで出来た、元々建っていた家の駐車スペースの位置をまんま引き継いでしまったようですね。古い住宅には小さめの駐車スペースが1台分というところが多いので、なんとか拡げて使っていたものと思われます。

最近ではローカルエリアでもGoogleでその場所の過去に戻って、見にいくことができます。新しく建物が建ってしまった場所の、元の状態に対する自分なりの仮説を答え合わせしたりもできる訳です。これは便利です。

もうひとつ、広い土地を2区画に分筆して分譲するケースをご紹介します。

 

 

↑2区画に分けて分譲するようです

 

↑右側の隣地側ブロックは今回新しく詰んだようです

 

↑せっかくの角地なのに、こちら(東)側の道路からはアプローチしない考えのようです

 

↑左側の角地は少しでも高く売りたいはずですが、それほど付加価値はつかなさそうです

 

↑同じ敷地のGoogleストリートビュー(2011・12月撮影とあります)

 

せっかくの角地なのに2区画とも「南入り」と決めつけている感があります。この手の案件はスピード重視、計画も造成・建物分業形態が一般的です。ひょっとすると、2区画に分けたこのスペースに入る規格プランが先に決まっていたのかもしれませんね。

 

しょせん「後講釈」されど「後講釈」

 

実際に建った家の批評はいわゆる「後講釈」ではあります。すでに現実化して目に見えるようになっている訳ですから、素人にもできる事かもしれません。私たちはプロである以上、建てる前にこうあるべしということが具体化できなければなりません。

しかし、これがなかなか一朝一夕に出来るものではないのですね。考えてもみてください。「後講釈」とは言え、やってみるとそんなに簡単ではありません。でも、その「後講釈」すらできなければ、建てる前に具体化などできるようになる訳がないと思いませんか?

ある土地や建物を見せられて「ここのどこが問題ですか?」「あなたならどう建てますか?」と尋ねられて、具体化できずにモゴモゴ言っているようでは、やはりプロとは言えないのです。

 

社長は出先で住宅を見かけたとき、それを反面教師として注視されていますか?また、なぜこうしたのだろう?自分ならこうするのに!ということを常に考えるのを習慣にされていますか?

 

土地みたてのトレーニング法(2)坂道にてにつづく

 

 

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