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社員のモチベーションは必要か?

SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所

代表取締役 

経営革新コンサルタント。イレギュラー対応を標準化することで、ライバル不在で儲かる、「特別ビジネス」をつくりあげる専門家。倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業を支援。イレギュラー対応を仕組みで廻して独自の市場をつくりだす画期的手法に、多くの経営者から絶大な評価を集める注目のコンサルタント。

「社員のモチベーションとかやりがいについて、中川さんはどう考えていますか?」― 長年お付き合いさせていただいている社長からご質問がありました。

「社員のモチベーションを上げる」という言葉は、経営というものが語られる際に頻繁に登場しますし、経営者であれば自社の社員がやる気を持って働いているかどうかは気になるところでしょう。

特に、顧客が価値を感じる対象がハードからソフト、つまりモノからコト、商品からサービスへとシフトした今の時代においては、「人」の差別化要素としての重要性は相対的に大きくなりました。

また、このコロナ禍によるテレワークへの移行も相まって、社員の会社への帰属意識も昔ほどのものではなくなりました。「社員なんだから上の指示に従って当然」といった意識でいたのでは社員は動かないどころか、優秀な人間ほど離れていくという事態にもなりかねません。

…と、「社員のモチベーション」というものが重要な経営資源となり得ることは認めた上で、あえて私は「社員のモチベーションなど気にしなくていい」と普段クライアント先の社長にお伝えしています。

その心は…についてお話ししますと、私の主張はシンプルで、「人はやりたいことをやるときにモチベーションなど必要としない」ということです。

これは「遊び」を想定すれば明らかなことです。小さい頃に好きな遊びに明け暮れた経験はほとんどの人にあると思いますが、遊んでいるときに「モチベーションを上げよう!」なんて思いながらやることはないでしょう。やりたかったらやるし、飽きたらやめる。実に単純な話です。

「だから飽きられないように社員のモチベーションを上げないと…」― このように思う経営者の方が非常に多いわけですが、まず大事なことは「社員のやる気を上げること」ではなく、「社員がやりたくなるような事業をやる」ということです。

その会社が目指していること、実現しようとしている世界が、社員にとってピンとこないものになっていないでしょうか。私がこれまで見てきた「社員のやる気が高い会社」の多くに共通しているのは、「どうしても叶えたい未来」というものを社長が持っていたという点です。

別の言い方をすれば、社員に対して仕事の「意味」を与えられているか?ということになります。

そもそもその会社がやっている事業の目的が社員にとって「意味のない」ものであれば、その社員のモチベーションを上げることに躍起になってもしょうがなく、他の会社で仕事の意味を見出してもらったほうがお互いのためです。

私がコンサルタントという仕事を通して立ち会える「嬉しい瞬間」があります。それは、その会社の社長が「夢を語る」ときです。「なんとしてもこういう世界を実現したいんです」― そう語られると何が何でも手伝いたくなります。

これはその会社の社員にとっても同じことのはずです。自分に与えられた目の前の仕事はやりがいがあるかどうか、ということ以前に、そもそも社長がやろうとしていることを応援したいかどうか、手を貸したいかどうか。そう思わせるだけの熱量を社長は持っているのか。

もちろん「想い」だけなら誰でも語れます。本気でそれをやろうとしているか、それとも綺麗事を言っているにすぎないのか、そこも社員はちゃんと見ていますし、一緒に働いていたらすぐにわかります。

いまだ見ぬ未来の実現に向けて会社が本気でチャレンジを続けているとしたら、社員が仕事に飽きることはないでしょう。経営上の失敗を社員が批判する場面がよくありますが、社長をはじめ経営陣が本気でやっていれば、社員も野党的に批判するのではなく、自分事に感じて手を貸したくなるはずです。

当社が「特別ビジネス」の構築をご支援している「意味」もここにあります。クライアント先の社長以下経営幹部が「ぜひそれをやりたい!」「お客様のためにそれを実現したい!」― そう思える新しいサービスを立ち上げる過程で、社員の方々が別人のように熱く前向きになる瞬間を何度も見てきました。もちろん、社員のモチベーションアップのためにやっているのではありません。結果的にそうなるということです。

社員が仕事に「意味」を見出すためには、現場での仕事のやり方をしっかり「仕組み化」することも非常に重要です。いくらやる気に満ちていたとしても、成果の出ない仕事のやり方をやっていたのでは疲弊しますし、お客様を喜ばせることもできません。

社員が自らの仕事で成果を上げる仕組みをつくり、その成果の積み重ねが大きな変化を生む、そのような経営サイクルをつくることができれば、社員は自分の存在意義を見いだせるはずです。「この会社には自分が必要だ」― そう思える社員に対してモチベーションアップの施策など考える必要は当然ありません。

本気になれる事業コンセプトと、それを実現できる仕事の仕組みが整っていれば、あとは会社として成果を出すだけです。経営陣と全社員が一丸となって成果を出し、そそして金銭的にも全員が報わればいいのです。もちろん、お客様の笑顔という最高の報酬もついてくるはずです。そのような会社からは「モチベーション」という言葉も消え去ることでしょう。

社員が仕事の「意味」を見いだせる環境を作っていきましょう。

 

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