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リモートワークスペース考

SPECIAL

住宅・工務店コンサルタント

株式会社 家づくりの玉手箱

代表取締役 

住宅・工務店コンサルタント 。規格住宅を高付加価値化させ、選ばれる工務店となる独自の展開手法「シンボルハウス戦略」を指導する第一人者。
営業マンとして自分が欲しいと思わない住まいをお客様にお勧めする仕事に疑問を持ち、ある工務店でどうしても家を建てたくて転職、鹿児島へ 。15年間で173棟の住まいづくりをすまい手目線で担当。そこから編み出された、選ばれる工務店となる具体戦略を、悩める中小住宅会社ごとに実務指導中。

「リモートワーク」する場所が欲しい!

時世柄「自宅にワークスペースが欲しい」という声が増えているようです。

リモートワーク人口が増え、定着するようになり自宅の環境を整えたいと考える人が多くなったということのようです。そもそも自宅で仕事をするような想定のない住まいがほとんどだと思います。営業マン時代には目の前でお父さんと書斎コーナーが予算削減の名のもとに消滅していく様の数々を見届けてきました。自宅に普段あまりいないお父さんの書斎は、これまで活用度・優先度の低いものの代表でもあったのです。

その活用度・優先度がコロナ禍で一変したという訳です。このような形で「日常」が大きく変化したことはこれまであまり経験のなかったことです。

東京、有明の「無印良品」ではリモートワーク用の木製パーテーションが販売されていました。自立するベニヤ製の間仕切りキットです。「すぐに対応できる」ということが価格に盛り込まれているのか、かなりのお値段がしていました。

 

↑無印良品のホームオフィス(木製パーテーション)いい値段がします!

 

「在宅ワーク難民」のこころもち

コロナ禍以前からではありますが、鹿児島の自宅で仕事をしている自分も自宅のワークスペースについて試行錯誤してきました。こもって仕事をするという想定がなかったことは自宅の例外ではありません。ここしばらくは、色々な場所を転々として落ち着く場所を探すようなことになっていました。

そうこうしているうちに、自宅では季節や時間によっていい場所が違っていることに気がつきました。これまで、お客様にそのような事を話してきたのですが、自宅での実感として感じたのは実は最近のことです。以下、その変遷をご紹介します。

まずは、屋根裏の「定番」スペースであるトップライト下のワークスペース。ここは、冬暖かくて朝いちばん早い時間から、夕方いちばん遅い時間まで自然光で過ごせる場所です。一方、梅雨明けから夏本番になると日中直接日射が差し込み頭のてっぺんがジリジリしてきますので、夜間専用になっていきます。トップライトを開けて座っていると、そこから出ていく空気が頬を撫でていってとても気持ちいいのです。桜島の灰さえ降ってこなければ、ずっと開けていたいくらいです。ここは、年じゅうオールマイティではありませんが、コンディションのいい季節時間帯は誠に清々しい場所であります。

 

↑屋根裏のワークスペース(梅雨明けからは夜間専用になります)

 

続いて、2階のダイニングテーブル脇にもワークスペースがあります。ワークスペースといっても電源の必要な冷蔵ビアサーバーを常設で置くために残材を置いただけの机です。仮設のつもりでしたが、ビアサーバー引退後も常設化してしまいました。仮設のつもりが常設化するということは何か残しておきたい要素がある訳ですが、この場所は朝がいいのです。さすがに夏本番になると日差しが強すぎるのですが、夏以外は朝日を浴びてシャキッとやる気スイッチが入るポジションです。お花も身近に楽しめます。春はいろいろな鳥たちが毎朝集まってきます。

 

↑2階ダイニングのワークスペース(夏以外の朝はココがいい場所です)

 

 

1階和室での「試行錯誤録」

ここからは、実際の試行錯誤編です。まずは以下の図をご覧ください。自宅の1階和室でいろいろ試した机の位置を入れてあります。娘たちがいる頃はこの和室で寝ていましたが、2人とも巣立って我々夫婦が屋根裏で寝るようになり、お泊まり部屋みたいになっていた部屋です。机は、娘たちが二人暮らしする際に手作りしてあげたものですが、それぞれ別々に部屋を借りることになり「大きすぎ」ということで返品されてきたのでした。

 

↑1階の和室の図(赤印がトライした机のポジションです)

 

 

最初に南向きの引き込み窓のところに置いてみました。ここは暑い時期にもずっといい風が入ってきます。窓に対して直角に張り出した白い壁がヨットの帆のように風を部屋の中に導く形になっているからです。秋から冬にかけては、朝日が葉陰とともに白い壁に当たってひらひらと揺らぎつつとても明るくなるのです。

 

↑南向きの窓の前(朝の光と風がさわやかです)

 

↑南向きの窓の前(白い壁がいい仕事してくれます)

 

↑南向きの窓の前(秋ごろからは左からの葉陰と拡散光がいい具合です)

 

 

次に部屋の真ん中で東向きに座る位置に置いて見ました。洋画に出てくるエライ人の執務室のようなポジションです。意外と集中できるポジションでしたが、襖の位置によっては玄関に大きな姿見があって写り込んで部屋が広く見えたりしてスタバの大テーブルに座っているような塩梅になります。

 

↑東向きに座る(窓に寄せずに「でん」と構えるポジションです)

 

 

そして、床の間に向いて座る(北向き)というのもやってみました。「これはないな」と思いながらも、置いて座ってみると「ありかもしれない」と思ってしまった配置です。夕刻になると、床の間に夕日が差してきて塗り壁一面に様々な表情がうつり変わっていくのです。ずーっとそれを見ている訳ではないのですが、机に集中しながらもその移ろいを感じているのが、ありし時代の「書生さん」や「作家さん」のようが気がして意味もなく気分だけは盛り上がるのです。休憩の際は脇のソファに瞬間移動するのですが、今まで座っていた椅子の向きを変えてオットマン(足のせ)にします。窓の外からの光がたっぷりあるので細かい字の読み物にはまたいいのです。

 

↑北向きに座る(床の間に向かって座るポジションです)

 

↑北向きに座る(ONのとき。床の間に向いてがんばっています)

 

↑北向きに座る(OFFのとき。窓辺のソファに座り机の椅子の向きを変えて足のせします)

 

 

最後に落ち着いたのはこの場所でした。少し高さを抑えた引き込み窓に面する位置です。西向き方向になります。窓には同じ大きさの障子があって、西陽が強すぎる時や寒すぎる時は閉めて調節します。掃き出し窓に面して幅広い机を「通せんぼ」するように置いてしまうのはなんだか抵抗感がありましたが、これがまたいいのです。机の天板より下にガラスはいらないと思いがちですが、ガラスで足元から明るかったり、網戸にして足元から涼しかったりするのは「テラス感」があってすこぶる気持ちがいいものです。

 

↑西向き窓の前(たそがれる頃の障子に映る葉陰がビールを誘います)

 

↑西向き窓の前(鴨居の上のカラフルなのはBluetoothスピーカーです)

 

↑ノートPCのりんごのマークは目の前の景色を写すためにあるのかもしれません

 

 

一般的にワークスペースたるものは「決まった1箇所の場所にあってその人に必要なものが揃えてある」というような性格のものかもしれません。しかし「出張時のみならず平常時でも身軽な装備であえてカフェに行って集中する」という方も徐々に多数派になりつつあります。そう考えれば、自宅でもその時々に「よい場所」があるとしたら別に決まった1箇所でなくてもよいのです。

子育てを終えたふたり住まいだからということもあるかもしれませんが、思い返せば自宅では娘たちがいるときから早い者勝ちで気に入った場所を占拠するスタイルでした。台所はもちろん風呂やトイレや寝る場所などは決まっているけど、過ごす場所はフリーアドレス※といった毎日でした。さしずめシェアハウスのような感じです。

※フリーアドレス:新しいオフィス形態で、従来のように社員それぞれが持つ個人専用のデスクはなく、フロアに長机や椅子が設置されているところに自由に着席場所を選んで仕事をするスタイル。 ソファなどがあるスペースが用意されていることもあり、まるで一つのカフェのようなイメージです。

小さな家の中で、都度モノを持ってうろうろしたり消しゴムを取りに行ったりすることはありますが、シーズン・時間でベストな環境を選びながらの在宅ワークはなかなか豊かでいいものです。毎日を自由に過ごす「ネコ気分」が少しだけ味わえます。

自宅をご覧になった方々なら「あー、あそこのあの感じね」と思っていただけるかもしれませんが「行ったこのない」という方々には分かりにくかったかもしれませんね。そういった方は機会があればぜひ。

 

社長の会社ではリモートワーク導入されていますか?お客様と理想のリモートワークについて語り合っていますか?

 

 

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