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御社は何屋?

SPECIAL

社内独立店開コンサルタント

株式会社ストアブレインコンサルティング

代表取締役 

経営コンサルタント。アパレル、小売、飲食チェーン指導などに強みを持ち、店長再生から店舗最盛へとつなげていく独自の「社内独立店開」手法を指導する専門家。
自らは店舗を持たない「販売・運営」に特化した経営スタイルに、多くの異業種経営者、店長が注目。路面店から百貨店、都心型SC、郊外型ショッピングモール…など、多様なチャネルで成果を上げ、店舗の強みを引き出す天才と称されている。

先日、とある経営者の方からご相談がありました。その方は非常に能力が高く、専門学校事業やマーケティングコンサル、その他多岐にわたる事業を展開されています。

ご相談内容は今後の事業展開について、次の柱になる事業をどうするか‥とのこと。ご自身が有力候補と目されているのは、ITノウハウを活用した人材育成事業で、すでにいくつかの企業に対してテストマーケティングを行っていらっしゃいます。

戦略的にもかなり練りこまれており、そのまま事業化しても問題なさそうな印象を持ちました。が、同時に何か表面的で芯のなさのようなものも感じました。とりあえず流れに乗って…という妙な軽さを感じたのかもしれません。

「情報の豊かさは注意の貧困をもたらす」という言葉をご存じでしょうか。ノーベル経済学賞を受賞したハーバート・サイモンが残した言葉です。情報が増えれば増えるほど、その一つ一つに向ける注意は減らさざるを得ない、という意味です。

これはあらゆることに当てはまる原理原則だと思います。対象物が増えれば、それらに使う時間は必ず減ります。冒頭に挙げた経営者の方の例も同様です。経営者自身、優れているがゆえに、色々と手を出してしまい注意が分散しているのです。こうなると各事業の業績は伸びません。顧客側からから見ても何が売りなのか、情報が増えれば増えるほど処理が進まず、記憶にも残りにくくなります。

自社が「何屋」なのかがわからない状態は、相当な損失を生んでいます。経営者の能力が優れている、言い方を変えれば器用であればあるほど陥りやすい罠ともいえるでしょう。

身近なわかりやすい例では、飲食店が売上を上げるためにメニューを増やすことが挙げられます(器用が故に)。ほとんどの場合、メニューを増やして売上が上がることはなく、逆に下がります。これは情報が分散し、その店の特徴が消失する、つまり「何屋」かがわからなくなり、「ここだからこそ」の来店動機がなくなることが要因です。

経営資源に限りのある中小企業では、「選択と集中」が事業を成功させる要件です。何でも屋には、残念ながら未来はありません。「何でもできる」は結局「何もできない」と同義なのです。

新たな事業に挑戦することはいいことです。ですが、自社の強みを活用せず、何となく簡単にできることだから‥といってむやみやたらな事業展開はやめた方がいいでしょう。「情報の豊かさは注意の貧困をもたらす」を頭の片隅に入れ、尖ったサービスを心がけましょう。

 

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