本当の意味でお金に困らない会社が重視すること

過去に資金調達で苦労した、貸し渋りにあった…。苦しい経験をした経営者ほど、「お金は必要なくても、借りれるだけ借りておいたほうがいい…」といいます。

自分と同じような経験をさせたくない…という老婆心からくるアドバイスは、決して悪いことではありません。

問題なのは、本質的なことを知らないまま、安易に経営判断を下してしまうことです。

当たり前の話ですが、社長が「表面的・小手先の対処療法」だけを繰り返していては、「根本的・本質的な課題解決」にたどり着けません。

社長にとって最も重要な実務である「財務」を知らないまま、表面的な言葉尻だけをとらえて、お金を借りて安心してしまう…これは、百害あって一利なしの状態です。

手元資金を潤沢に持っていたとしても、会社のお金の状態を社長本人が数字で具体的に理解していなければ、いつ経営が悪化してもおかしくありません。

借金で増えた「みせかけのお金」で、金融機関から勧められた節税商品を購入し、金融機関の格付けが下がる…。

資金繰りが苦しくなった時には、どの金融機関も相手にしてくれない…。

「まさか…」と思われるかもしれませんが、多くの場合、当の本人はその事実に気付いていません。手元資金は多いに越したことはありませんが、大切なのは、社長自身が「財務」を知った上で、下した経営判断か否か…です。

使う予定のない資金を借り、預金口座で長い期間寝かせれば、貸借対照表（BS）上は、現預金が増えると同時に、負債の借入金も増えます。貸借対照表（BS）も肥大化して、自己資本比率という潰れにくい会社の指標も悪化します。

「借入金を増やす」ことは、手元現金が増えるという目先の話だけでなく、金融機関の融資評価につながる財務指標にも影響する重要な経営判断であるという事実を知っておくべきです。

経営指標が悪化することによって、将来自社の資金調達にどのような影響が起きる可能性があるのか…、何年先までの話なのか…など、将来を見通した上で、経営判断する話なのです。

借入金が増えれば、支払利息も増えます。支払利息の負担は安いに越したことはありませんが、金融機関との取引条件、いわば融資条件は優先順位ありきで判断すべき事項です。大切なのは、優先順位を正しく判断できているかです。

借入金の支払利息の支払いはリスクヘッジ（起こりうるリスクの程度を予測し、リスクに対応できる体制を取って備えること）にかかるコストですから、支払利息をケチって、資金繰りをひっ迫させてしまった…。これでは、本末転倒です。

資金調達をする際に重要なのは、将来に向けての経営計画や資金計画です。社長自身が今後、自社をどのように成長させていきたいのかという「想い」を根底に持っておくことです。

一方、金融機関が最も重要視することは、「貸したお金がきちんと返ってくること」です。

社長は、どの金融機関とどのような融資取引を展開していくか、常に冷静に見極めて、戦略的に進めていくべきなのです。

事業永続のために最も重要な経営資源である「お金」は、社長自らが守り、残し、増やすものです。社長自身が財務の視点から正しく経営判断すること、これが最も重要です。

そのためには、正しい経営判断を下すための社長専用のモノサシ、つまり財務思考が必要です。

あなたの会社は、未来を創造するための資金調達が出来ていますか？

スムーズな資金調達のための、社長の経営判断のモノサシがありますか？

社長の仕事は、強く永く続く会社づくりをすることです。

あなたは今、社長としてどんな未来をつくりたいですか？

ダイヤモンド財務®コンサルタント　舘野　愛

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