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決められない社長が結局社員を不幸にする

SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所

代表取締役 

経営革新コンサルタント。イレギュラー対応を標準化することで、ライバル不在で儲かる、「特別ビジネス」をつくりあげる専門家。倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業を支援。イレギュラー対応を仕組みで廻して独自の市場をつくりだす画期的手法に、多くの経営者から絶大な評価を集める注目のコンサルタント。

「大事なことを社員に決めさせようとする社長っていません?」── 先日、懇意にしている同業のコンサルタント仲間や先輩方と、まん防など気にせず遅くまで営業している居酒屋で飲んでいたときに出てきた一言です。

「そう!それが一番最悪!」と皆が口々に同意します。そのテンションの高さから察するに、同じように「決めない社長」に対しての不満や残念な気持ちをそれぞれが抱えていたということでしょう。

ここでいう「大事なこと」というのは、当たり前ですが「業務の手順」といった日常のオペレーションのようなことに関するものではなく、「事業戦略」に関することを指します。

事業戦略の中でもとりわけ重要なことが自社の「事業モデル」をどうするか?という問題です。事業モデルとは簡単に言うと「儲けるための仕組み」であり、「誰に対してどのような価値を提供するか」という事業の根幹の考え方となります。

このような、いうなれば「会社の行く末」を決める意思決定にもかかわらず、最高責任者である社長が決めずに社員に決めさせるということが実際に起こってしまっているということです。

ただ、社員に決めさせると言っても、そんな大事なことを本当に文字通り社員に決めさせているわけではないでしょう。事業戦略における非常に重要な意思決定を社長が社員に決めさせているとしたら、一体なんのために社長は存在するのか?ということになってしまいます。

ここで言っている「社員に決めさせる」というのは、最後は社長である自分が決めるのは当然として、まずは実行部隊となる幹部社員たちに意見を聞いている、ということのはずです。

したがって、おそらく当の社長からしたら社員に決めさせている意識はないのでしょう。しかしながら、その社長が見落としていることがあります。それは、社員に意見を聞いている時点でその意思決定はおそらく非常に陳腐なものになるだろうということです。なぜなら社員レベルでは「カイゼン」には賛成しても「革新」には反対だからです。

いくら幹部社員といっても社員は社員、雇われの身です。そして、雇われている人の大半が考えることは「いかにして自分のキャリアを守るか」ということです。そんな思考の持ち主である社員が、自分たちがこれまでやってきた延長線上から外れる革新的な事業モデルを選択することなど期待できません。自分のキャリア上のリスクが高すぎるのです。

もちろん、これまでやったことのない(そして他社もやっていない)まったく新しい事業がうまくいくかどうかなんて、やってみなければわかるわけがありません。やってみて駄目なら仮説修正をくり返しながら、うまくいくようにするだけです。

しかし、社員にそのような発想はできません。なぜなら、普段彼らにやらせていることがこの発想と全く逆だからです。

社員に日々何をやらせているかというと、答えが決まっていることを確実に、間違いのないように実行することではないでしょうか。もちろん、現状よりも少しでもよくしようと日々改善をくり返しているような前向きな現場もあるでしょうが、それでも改革と改善ではまったく思想が異なります。そんな彼らに、いきなり降って湧いたような新しい事業モデルについて、(彼らがやる前提で)どう思うかと聞いたところで鈍い反応しか返ってこないことは当然のことです。

そうは言っても、実際問題として社員が全然ピンとこないことをやらせようとしたって無理じゃないですか!と言いたい社長もいらっしゃることでしょう。

しかしここであらためて振り返るべき重要なポイントがあります。それは、「ビジネスはお客様のためにやっている」という基本中の基本です。

極論、社員がピンとくるかどうかは問題ではありません。まず検証すべき問いは「顧客の役に立つのか?」ということです。これまでの顧客の声や、新たに実施した見込み客へのヒアリング結果などを元にして、「これなら彼らに刺さる!」と社長が判断するならば、基本的にはやる前提で詳細を詰める。その過程で幹部社員もおそらく意図や意義がわかってくることでしょうし、そうでなければやる気のある社員を連れてきたらいいだけのことです。

「うちにそんなやる気のある社員なんていないよ」と言いたくなるかもしれません。しかし考えてみてください。「社員のやる気がないから事業の革新はやめておく」という選択肢は本当に有り得るのでしょうか。それでは会社がジリ貧になり社員はますますやる気を失うという負のサイクルをつくるだけです。

つまり、幹部社員が新しいことに前向きに取り組むような社内体制になっていないのであればなおさら、どのようにしてでも事業モデルの革新を実現させて結果を出し、社内に活気が出てくるようにする。それが社長の仕事であり、社員には決してできないことなのです。

社長がやると決める。そして、なぜそれをやるかという考え方も含め、社長が社員に対して言葉を尽くして説明する。それでも社員が動かないなら動く人間を連れてくる。これは、伸びている会社の社長は普通にやっていることです。

社長はひとりで決めるのです。

 

 

 

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