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事業の発展を妨げる一番の元凶

SPECIAL

キラーサービス(特別対応の標準化)コンサルタント

株式会社キラーサービス研究所

代表取締役 

経営革新コンサルタント。イレギュラー対応を標準化することで、ライバル不在で儲かる、「特別ビジネス」をつくりあげる専門家。倒産状態に陥った企業の経営再建から、成長企業の新規事業立ち上げまで、様々なステージにある数多くの企業を支援。イレギュラー対応を仕組みで廻して独自の市場をつくりだす画期的手法に、多くの経営者から絶大な評価を集める注目のコンサルタント。

「顧客目線という言葉を我々はもっと真剣に考えないといけないね」── 先日、まん防中も23時まで営業している焼き鳥屋で経営談義をしていた際、長年懇意にさせていただいているF社長がふとそう口にされました。

「お客様の目線って言いながら、全然そうなっていなかったわ」と言って苦笑されたF社長ですが、それでも同業他社に比べてかなり顧客目線で「事業の特別化」を実施されています。

冒頭の言葉は「顧客目線に限界はない」という意味合いと戒めを込めてのものであり、「もっともっとお客様を驚かせるサービスを打ち出していこう!」というF社長の意気込みのあらわれでもあるでしょう。

この「顧客目線で考える」という言葉は、ビジネスにおいて非常に重要であることは言うまでもないことですし、経営者であれば当然にそれを意識して自社の商品やサービスを企画されているはずです。

にもかかわらず、顧客が自社の商品やサービスに大いに満足し、喜んで他社よりも高いお金を払いたくなる状態にはなっていないとしたら、自分たちが思っている「顧客目線」というものを疑ってみる必要があります。

この「顧客目線」に関して、当社がこれまでさまざまな事業変革に関わらせていただく中で気づいたことがあります。それは、多くの経営者が「あくまで今やっている事業定義の範囲内で顧客のことを考えている」ということです。

たとえば、自社の事業が「理髪店(散髪屋)」だとしたら、あくまで「髪を切る店舗を運営している」という自分たちの事業定義の中で、技術をもっと磨こうとか、特殊なトニックを使おうとか、クーポンを渡そうといったことを考える…。

しかし、自分をいち顧客として考えた時に、自分が望んでいることは単に髪を切ってカッコよくしてもらうだけなのでしょうか?

私の場合で恐縮ですが、私が散髪屋に行って一番好きなことと言えば、髭剃りのときにシートが後ろに倒されて顔にほかほかのおしぼりを乗せられるあの瞬間です。特に疲れているときなどはもうずっとこうしていたいと思うほどです。

つまり私には「散髪屋でほっこりしたい」というニーズがあるということです。では、このニーズを妄想で膨らませてみましょう。

倒されたシートに座る私を美女3人が取り囲みます。ひとりはヘッドマッサージやフェイスマッサージ、さらに眉を整えてくれて、耳そうじまでやってくれる。あとのふたりは手と腕のマッサージです。そのあとは爪も切ってもらって……

竜宮城のようではありませんか!(笑)。

これを妄想と言うなかれ。3人がかりではないですが、実際にこういうサービスをやってくれるところがあるのです。

首都圏を中心に21店舗展開する銀座マツナガでは、非常に接客力と技術力に優れたスタッフが、カットだけでなくそういったマッサージやエステのメニューを時間をかけてやってくれます。

多くの店舗では各ブースが半個室になっており、他の客に見られることなく好きなだけゆったりとした時間を過ごすことができます。なかには3時間も4時間も過ごす常連客もいるそうです。

私もカットをしてもらうだけのつもりで入店したのですが、気がついたらいろんなメニューを頼んでしまって支払いが1万円になっていました(苦笑)。

実際、その店の平均単価を店長に聞いてみたところ、やはり1万円を超えているとのこと。スタッフの給与も業界トップクラスで、全社員を毎年海外旅行に連れていっているとか。

非常に夢がある話です。現に創業者の松永氏は著書で「千円床屋に夢はない」と語っています。ただひたすら効率的な作業で客を捌いていくか、一人一人に本当のくつろぎと満足感を与えていくか、どちらが豊かな経営につながるか、答えは明白です。

上記は理髪店の例ですが、どんなビジネスでも考え方は同じです。顧客に対して「もっといろいろとやってあげたい」と、彼らの望むことに思いを馳せることが自社をオンリーワンな存在するため絶対に必要です。

平凡でどこにでもあるビジネスをしている会社の多くは、顧客側の視点で…といいながらも、「自分たちの仕事はここまで」と制限します。ユニークな事業アイデアがあったとしても、やりたいけど手がいっぱいだとか、やれる人がいないとか言ってなんとか既存路線で行こうとする。そういった「自分目線」が結局のところ自分たちの事業発展を阻害する一番の元凶なのです。

顧客目線を持ち、かつ経営者視点で考えるならば、いまの自社の体制ではできないとしても、どうやったらできるか?と考えるものです。

社員に能力がないなら、経験者を雇ったり、研修講師を連れてきたり、システムを入れたり、他社と提携したりと、やれる方法は必ずあるはずです。顧客のために自分たちがこれまでの領域を飛び出す決意をするかどうかです。「やれない」のではなく「やらない」だけなのです。

事業が停滞している企業は、自分たちがブレーキを踏んでいることにまず気づくこと。そして、まっさらな気持ちで、自分たちは顧客に何をしてあげられるか、その思考を止めないことです。「顧客目線」を突き詰めた先に必ず突破口はあります。

 

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