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権限委譲の第一歩は、価値観と人生観の継承からはじまる。

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組織風土改革コンサルタント

株式会社C&Mコンサルティング

代表取締役 

組織風土改革コンサルタント。会社の人事部員およびコンサルタントとして合わせて25年間、一貫して会社のビジョン・戦略実現のために、組織人事の仕組みの構築に携わってきた専門家。人材獲得がますます困難となる中、今いる人材の能力を最大限に引き出し、全員を戦力化させ、定着させる「組織風土とマネジメントの仕組み」づくりに定評。
株式会社C&Mコンサルティング代表取締役。

権限委譲の第一歩は、価値観と人生観の継承からはじまる。

 

「管理者を決めたのに機能しない、育たない」
「権限委譲が進まず、いつまでも社長が判断せざるを得ない」

ビジネスが順調に育ち、社員も50人、100人と増えてきた組織で、
よく聞かれる社長の声です。

特に、社長が卓越したリーダーシップを発揮されているほど、この傾向は強く、
次のステージへの成長の足かせとなってしまっています。

「できる人材がいないんだよ」と言いつつも、実際には、
正しいアプローチができてないことも多く、もったいない限りです。

 

◆ 権限委譲で恥をかいた社長

先日、当社が支援を開始した、ある食品メーカーの社長から、
「権限委譲したら、大恥をかいた」という話を伺いました。

何でも、営業担当者が取引先から、地域活動への協力要請を受けて、
上司である営業部長に相談したところ、部長は協力を断ったとのこと。

上司から担当者には、
「下期の売上が伸び悩んでるので、当面は営業活動に注力しよう。
うまく断ってほしい」と指示されたようです。

しかしその後、社長が地域での経営者の会合の場で、
その小売店の社長と話す機会がありました。

そこで、地域活動への協力要請を見送ったことを知り、
大変恥ずかしく、また憤りを感じたとのことでした。

 

営業部長は、会社の売上を少しでも上げるため判断であり、
社員の時間的な負担も考えると、一定の合理性はあります。

また、営業活動上の日常的なやり取りはすべて任せる、と言われていたので、
営業部長は、社長から任せられた範疇として、判断を行ったまでです。

しかしながら、営業部長が十分に理解していなかったのは、
社長の地域貢献に対する使命感、会社の存在意義といった理念の強さでした。

もし、営業部長が社長の価値観を、もっと深く理解していれば
営業以外の部署に応援を頼んででも、取引先からの要請に応える、
といった、もっと違った対応が考えられたことでしょう。


◆ 権限委譲がなぜ機能しないのか

権限を委譲しても、なかなかうまくいかない場合、
「こういった案件ではこうするように」
「これ以上の数値になったら、このように対処すべし」

といった、管理者への細かい指導、いわばマイクロマネジメント
に入り込んでいくケースもよくあります。

さらに、承認対象となる事案をリスト化して、
どんな内容だったら、どの金額までだったら、誰が決めていい、
といった、決裁権限表をつくる会社も見られます。

(グローバル企業ではDOAとして必須アイテムです)
       *DOA: Delegation of Authority

 

しかし、こうした細かい定義やルールは、下手をすると、
表面的な業務指導やマニュアルみたいになってしまいます。

これらは、あくまでも手段であり、目的ではありません。

そして、社長に判断をゆだねられている多くのことは、
マニュアル通りの現象よりも、想定外のイレギュラーな事案です。

そのため、細かい定義やルールに当てはまらない事案だと、
結局、何も判断ができない、ということになってしまいます。

これが、権限委譲の悪循環です。


◆ 権限委譲を機能させる「根源的な価値観」の継承

権限委譲では、箸の上げ下ろし的な指導にはあまり意味はなく、
判断の根拠となる考え方を、腹の底から理解してもらうことが不可欠です。

社員や管理者の資質そのものには、残念ながら限界はあります。
ただ任せても、できない人は、なかなかできるようにはなりません。

しかし、能力の問題とは別に、正しい方向性を向かせることは可能です。

 

そのためには、まずは、社長かなぜこういった会社を経営し、
どんな思いで商売を回しているのか、どんな価値観を大切にしているのか?

その根底には、どういった人生観をもって生きているのか、
といったことが、一丁目一番地にあたります。

これをどこまで深く継承できるかが、
任命した管理者が、本当に社長の右腕として機能するかどうかの、
はじめの一歩であり、重要な礎として機能します。

 

そして、もし任せた結果、それでも社長とは違った判断をすることもあります。
しかし、判断の結果に不満を覚えた時に、頭ごなしに否定することは避けるべきです。

管理者が、なぜそういった判断をしたのかを正確に把握し、
判断の根拠とした、社長や会社の考え方が適切であれば、
判断の結果はとがめない、といった我慢も必要です。

言い換えると、「結果」より「考え方」の正しさを重視する、ということです。

 

◆ 権限委譲が進んだ、その先には・・

さらに、こういった判断が、管理者のみならず、
一般の社員が少しでもできるようになることが、理想的です。

平凡の社員が、社長の価値観を理解し、自律的に考え、判断して、動く。

全員が戦力化し、まるでドミノ倒しのように、
全員が同じ型(価値観)をもって、美しく動く、そんなことも夢ではありません。

その結果、管理者は管理者の仕事に集中し、
社長は社長の仕事に集中することもできるようになります。

 

あなたの会社の管理者は、あなたの価値観や人生観を部下に語っていますか?

 

 

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