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移転後の苦戦を避ける方法

SPECIAL

社内独立店開コンサルタント

株式会社ストアブレインコンサルティング

代表取締役 

経営コンサルタント。アパレル、小売、飲食チェーン指導などに強みを持ち、店長再生から店舗最盛へとつなげていく独自の「社内独立店開」手法を指導する専門家。
自らは店舗を持たない「販売・運営」に特化した経営スタイルに、多くの異業種経営者、店長が注目。路面店から百貨店、都心型SC、郊外型ショッピングモール…など、多様なチャネルで成果を上げ、店舗の強みを引き出す天才と称されている。

郊外型ショッピングモールに出店する文房具店。最近移転オープンしたばかりなのですが、思ったほど売上が取れていません。困ったオーナーからのご相談があり、現地に赴きました。

移転前の店舗はコンセプトもわかりやすく、催事スペースにもかかわらず現在の場所と同等の売上が取れていました。しかし移転後、客層も変わりリピーターの姿も消えました。ちなみに今の店舗内装は人気デザイナーにより、誰が見ても「カッコイイデザイン」に仕上がっています。

オーナーや店長にオープン後の売上や客数、客層や売れ筋、導線などをヒアリングしながら、現状を深掘りしていきます。現地視察とヒアリングの結果、売上不振の理由が絞り込めました。

…一言でいえば、「何屋かわからない」です。冒頭ではあえて触れませんでしたが、当店はただ文房具を売る店ではなく、文房具にプリントなどのオリジナル加工を施すサービスが売りの店です。

要は文房具そのものを売るのではなく、オリジナルデザインや加工サービスを付加価値として提供する店なのです。それがどこにでもある「文房具屋」になっている。現状のままではお客様も立ち止まりにくく、入店しても「ふーん」といった感じですぐに出て行ってしまう。

移転後の店舗があまりにも洗練され過ぎ、提供する付加価値がまったく伝わってこないのです。どうやらデザイナーもレイアウトやディスプレイに口を出しているらしく、結果、誰も望まぬ「カッコいいけど売れない店」が出来上がってしまいました。

この一連の流れ。実はよくある話です。古民家の風情で人気を博した居酒屋がやけに都会的なビルに移転し、顧客が離れ結局撤退。自然素材とほどよいアンティーク感で良い雰囲気のイタリアンが、BGMにこだわる謎のコンセプトと共にだだっ広い無機質な空間をウリにしてしまい、やはり撤退。路地裏にこぢんまりとあった行列店が勢いに乗ってメイン通りのビルにおしゃれな店として移転、やはり客層が変わり撤退…。

もちろん、店舗ビジネスでも新陳代謝は必要です。老朽化への対応や、時代の変化に合わせたビジネスモデルの再構築はどんな業態でも避けられません。ただ、自店が提供する付加価値、つまり強みが何なのかを理解しておかないと、事例のようにあっさりと失敗し、撤退の憂き目にあいます。

今回の文房具店では、以前の店舗で使用していた店頭看板の再設置と店内POPによる周知、スタッフの接客応対や立ち位置など細かなアドバイスを行い、改善の「はじめの一歩」としています。これである程度の集客は見込めますが、今後も試行錯誤が必要になってくるでしょう。

経営者の皆さん。まずは自店が提供する付加価値を明確にしてください。ただし、付加価値は自分だけではわかりません。高い確率で独りよがりの結論になります。まずはお客様に聞き、さらに第三者に協力を仰ぎ、あくまで客観的な視点による言語化を進めていきましょう。

 

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