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カリスマ経営者の名言と意志

SPECIAL

「信託」活用コンサルタント

株式会社日本トラストコンサルティング

代表取締役 

オーナー社長を対象に、「信託」を活用した事業承継や財産保全、さまざまな金融的打ち手を指南する専門家。経営的な意向と社長個人の意向をくみ取り、信託ならではの手法を駆使して安心と安全の体制をさずけてくれる…と定評。

「余計なことを言ったかな」とK社長。銀行の若い担当者が一生懸命に資産承継について提案するので、ちょっと検討しようかと思っていたところトーンダウン。社長の冗談混じりの一言から思わぬ展開になりました。

 

1.後退ではなく、前進

幾多の試練を乗り越えてK社長は公私にわたりエネルギー十分です。会社経営は順調そのものですが、ご家族関係では苦労しています。そのあたりのことを銀行の担当者にざっくばらんに話したら、提案攻勢が止まりました。

特に取引の多い銀行ではないのですが、担当者が変わって熱心だなと思っていた矢先のことです。K社長としてみれば、問われるがまま話していただけなのにどうしちゃったのか、と不思議なようです。

これは難しい話ではなく、金融機関としては家庭内の揉め事に関わりたくないというだけのことです。揉め事が落ち着くまでは、今回の提案は見合わせておくべきと、銀行側が判断したのでしょうね。

銀行員も目標(ノルマ)を背負って活動していますから、お客様にいろいろな提案を試みます。ただ、メインバンクと付合い程度の銀行ではお客様に関する情報量が違いますし、担当者次第で物事の受け止め方は大きく違ってきます。

金融マンたるもの危険に近寄らないのが鉄則ですが、そういう時こそ力量が試される部分もあるわけで、後退するだけというのは寂しいですね。その点、カリスマ経営者であるソフトバンクの孫社長は名言を残しています。

「髪の毛が後退しているのではない。私が前進しているのである」

さすがです。凄すぎます。

2.意志を示す

家族のありようが変わりゆく中で、変わらない、変わりにくいものが法律です。実のところ、民法の中に家族法といわれる領域はありますが、家族を規定していません。婚姻と親子は定めていますが、家族は定めていないのです。

あなたの家族は誰ですか、と問われたときに、その答えは家族の中でも人によって変わる可能性があります。この点を論じたのが上野千鶴子さんです。再婚した連れ子は新しい親を家族として受け入れられないとか、人によって家族の範囲にすれ違いが起きます。

あなたのファミリーは誰ですか、と問われたらまた違う回答になる気がします。ファミリーは家族と訳すのが一般的ですが、一家、家系などの意味があります。個人的な感覚ですが、日本語で家族というと範囲として限定される印象があり、ファミリーの方が広がりを感じます。

相続では法定相続人が定められています。亡くなられた方が何も決めていないと、相続人が遺された財産を我が物のように分捕り合戦繰り広げる、ということが起きることがあります。時として、ビジネスとは別世界の血で血を洗うドラマが繰り広げられます。

民法では遺留分という相続人(兄弟姉妹などは除きます)に認められた最低限の取り分の規定があります。さらに相続税が絡みますと、ドラマはどんどん複雑になります。利害関係に感情も加わりますと、揉め事には近寄らずということになりそうです。

一方で、何事も自分で決めてきたオーナー社長が自分の財産の行末を決めていないことがあります。そうなると法定相続人の出番です。オーナー社長が汗水流して築き上げた財産の行末を相続人の話し合いに委ねることになります。

自分の意志はこうである、と方向性を定めておくことが家族や相続人にとっての羅針盤になります。遺すものは財産だけではなく、意志であり、優しさであり、思いやりです。孫社長は宣言します。

「頭髪は、強き意志の表れ」

ちなみに、遺言を英語に訳すとwill(意志)になります。

 

3.主張が大切

オーナー社長には家族だけでなく、会社というもう一つの大きなテーマがあります。いわゆる事業承継という課題です。孫社長も後任者を見つけたと思ったら、解任するという事態に陥っています。

事業承継には、家族に資産承継する側面と、経営を承継する側面があります。資産承継は、良いにせよ悪いにせよ、民法、相続税法などの法律があります。しかし、経営承継に決められた道はありません。

オーナー社長とて人間ですから、いつかは会社を誰かに託すしかありません。親族、親族外、M&Aなどの選択肢が選び取っていく必要があります。言えることは、時が経つほどに選択肢は狭まるということです。

資産承継に比べて、経営承継の難易度が高いのはいうまでもありません。選択肢が複数あるうちに試すしてみるしか方法がありません。親族承継の可能性を探り、それがダメならば親族外、M&Aと探っていきます。

社員をファミリーのように思って決断を逡巡するオーナー社長も多いのですが、最悪なのは何も決めないことです。社員のことを思えばこそ、選択肢が多いうちに、早めに動き出すことが大事ではないでしょうか。

経営承継の方向性次第で、資産承継の流れも変わります。シナリオに合わせて、保険や信託を使うことや、遺言書を上手に活用することが必要です。孫社長の名言です。

「ハゲは、病気ではなく、男の主張である」
 ちょっと直します。
「遺言書は、遺書ではなく、男の主張である」

 

まとめ

オーナー社長には経営承継と資産承継の2つの対応が必要です。経営承継の流れを決めながら、資産承継を考えていくのが筋です。もし、今オーナー社長に何かあったら、家族に丸投げ状態になっていませんか?

 

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