なぜトランプ「さん」と日本人は呼ぶのか? ~その仮説と取るべきアクション~

トランプ関税で世界中が大騒ぎ。4月初旬に貿易相手国の関税率や非関税障壁を踏まえてた「相互関税」として、日本には24%の課税。また、すべての国や地域を対象に一律で10%の関税を課すこともあわせて発表し、世界経済への大きな影響が懸念されました。その後、「相互関税」を90日間停止する決定を発表。世界中がトランプ大統領の一挙手一投足に注目しています。
第1次トランプ政権から当方が不思議に思っていることがあります。メディアに登場するコメンテーターや巷のビジネス関係者の多くが、トランプ氏のことをトランプ「大統領」ではなく、トランプ「さん」と呼んでいるという事実です。今回は、なぜ日本人の多くはトランプ「大統領」ではなく、トランプ「さん」と呼ぶのか?について考えてみたいと思います。
日本人がトランプ大統領をトランプ「さん」と呼ぶ背景には、心理的防衛メカニズムが関与している可能性があります。強い権威や影響力を持つ人物に対して、親しみや敬意を込めた呼び方をすることで、無意識にその人物を「脅威」として認識する感覚を和らげる効果を「認知的不協和の解消」と呼びます。トランプ氏のような強烈な個性や発言が日本人にとって潜在的な不安や緊張を引き起こすため、「さん」付けすることでその緊張を緩和し、心理的なバランスを保とうとしているのではないでしょうか?
それほど無意識に日本人は「既存秩序の破壊者」とも言われるトランプ氏を恐れていると言えます。しかしながら、我々ビジネスパーソンが「ただただ恐れて静観しているだけ」では、ビジネスチャンスを逃し続けるだけです。日々、移り行く事態を注視しながら、最善のアクションを模索しなければなりません。具体的には、不確実性が高いアメリカ市場へ向けていた経営資源を東南アジアやEUなどの市場展開にも分散させることが1つの対応策になることは言うまでもありません。
【吹いている風がまったく同じでも、ある船は東へ行き、ある船は西へ行く。進路を決めるのは風ではない、帆の向きである。人生の航海でその行く末を決めるのは、なぎでもなければ、嵐でもない、心の持ち方である。】 19世紀に主に活躍したアメリカの著作家・詩人、エラ・W・ウィルコックスの言葉です。トランプ氏の一挙手一投足(風向き)を注視しながらも、本質的に取るべきアクション(帆の操作)を着実に行なうこと。それが2025年の今、我々ビジネスパーソンに必要な「心の持ち方」なのです。
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