大阪・関西万博で再認識できたこと ~「強靭で効果的な」グローバルビジネスの重要性~

5月下旬。シンガポール政府組織からご招待いただいて大阪・関西万博に来場。「並ばない万博」と言うキャッチフレーズを忘れるぐらい多くの訪日外国人観光客を目撃しました。大阪、京都、神戸、奈良などの街中も大変な盛り上がりとなっています。当事務所クライアントの小売店(伝統工芸品等)にも多くの外国人観光客が訪れ、売上も過去最高になっているようです。
大阪・関西万博は10月中旬に終了となりますが、訪日外国人観光客が今後も「重要な顧客の1つ」であることは間違いないでしょう。そのような「確定した未来」の中で、日本国内で自社顧客となった外国人観光客を「一見(いちげん)さん」のままにしておくのはもったいない話です。帰国後の未来においても「自社の常連客」になってもらいリピート購入してもらったり、口コミで周囲の関係者に自社商品やサービスを共有(宣伝)してもらったりすることを目指していくのが重要なのは言うまでもないことです。
このような戦略的な視点から、当事務所では「Inbound Outbound Ring(インバウンドとアウトバウンドビジネスの効果的・好循環な繋がりの仕組みづくり)」を以前から提唱しており、実際にクライアントに指導・助言しています。Inbound-Outbound Ringの「Outbound」とは「輸出・提携などの(日本国内ではなく)海外市場におけるビジネス」のことですが、このInbound- Outbound Ringについて戦略を練る際、最も重要なのは「時系列的に3段階に分類して考えること」なのです。この詳細について解説したいと思います。
まず、最初の分類は【①旅行前】。ポイントは、外国人観光客に自社の店舗や製品について事前に認識してもらうことです。その方法の1つとして、海外の旅行会社等とのパートナーシップ(提携)があります。その実現のためには、自社についてPRできる資料や動画を充実させ、パートナー企業を本気にさせる仕掛けが必要になってきます。次に2つ目は【②旅行中】。ポイントは、入国した外国人観光客に必ず貴社(店舗等)へ足を運ばせることです。そのためには、貴社でしかできない「貴重な体験」を提供しなければいけません。最後に3つ目は【③旅行後】です。日本旅行中に接触できた外国人観光客との関係を継続的に保持することが必須。そのためには、接触時に顧客情報を取得し、帰国後も外国人観光客が貴社製品を購入できる仕組みを作らなければいけません。ネット(越境EC等)での販売だけではなく、海外でもリピート購入ができる現地の小売店/販売店と提携できれば効果的です。
このように、インバウンドビジネスの拡販策を練る際にも「アウトバウンド(輸出や提携)」について同時に考えなければなりません。すなわち、(「②旅行中」だけではなく)「①旅行前」や「③旅行後」も含めた効果的な仕組みの構築には、現地のパートナー企業との協業が必須なのです。最近、当事務所には「Inbound-Outbound Ring(インバウンドビジネスとアウトバウンドビジネスの効果的・好循環な繋がりの仕組みづくり)」についてのご相談が増加しています。攻め(輸出や提携)と守り(インバウンドビジネス)を一体化したInbound-Outbound Ringの構築。ライバル企業がまだ動いていない「今」こそが、それを始める好機なのです。円安等の「他力本願」の影響によるインバウンドビジネスに過度依存した売上増加を「一過性」のものにするのではなく、外部環境に影響されない「強靭な経営の仕組みづくり」に一緒に取り組みませんか?
コラムの更新をお知らせします!
コラムはいかがでしたか? 下記よりメールアドレスをご登録いただくと、更新時にご案内をお届けします(解除は随時可能です)。ぜひ、ご登録ください。